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公認会計士がBig4監査法人を分析・比較してみたPart1-Deloitteトーマツ①-

こんにちは。

公認会計士よしみんです。

初投稿です。

監査法人の財務情報ってなかなか見る人も少ないのではないでしょうか。公開情報からしっかり監査法人を比較したものがなく、また、監査法人の実態を知る公認会計士から見えるものもあるのではと思い、この度、分析してみました。

監査法人志望の公認会計士受験生、転職希望者などの一つの情報として活用いただければと思います。また、分析の仕方としてもご参考になる部分もあるかと思いますので、ご一読いただけると嬉しいです。

Part 1は私の古巣、有限責任監査法人トーマツです。

まずは、全容を把握しましょうか。

監査でもいきなり監査しませんよね。監査計画策定時にクライアントの経営環境や業況を把握するため、木を見るのではなく森を見るため、まずは、全体像です。試験でも最初に問題を全部見て瞬時に判断し戦略を立てるのは、これのわかりやすい訓練なのかなと社会人になってみてふと思ったりします。

最もわかりやすい指標、監査法人の売上高、業務収入の時系列分析です。会社がイケイケどんどんで元気なのか、市場が飽和状態で伸び悩んでいるのか、衰退しつつあり経営に苦しんでいるのかなどなど金額規模や傾向を見るだけでも、得られる情報は非常に多いです。グラフ化すると以下の通り。

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ここからまず何を思うでしょうか。

成長期を終えた大企業の様な推移かなという印象です。監査品質の高度化がより求められ、監査クライアントを選別して監査報酬単価を高めつつ非監査報酬を獲得して収益獲得を進めているものの、バサバサと監査クライアントを切るわけにもいかずなかなか監査報酬比率を下げられない状況で行き詰まっているイメージでしょうか。非監査報酬は微増しているものの、監査報酬と非監査報酬の比率推移の時系列推移は以下の通りです。

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うーーん苦しそうですね。微増微減を繰り返し監査報酬:非監査報酬を7:3から脱却できない(しない?)状況です。

では、クライアント数推移はどうでしょうか。

以下の通りです。監査クライアント、非監査クライアントそれぞれ時系列で見てみます。

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監査クライアント増えてますね。一方、非監査クライアント減ってます。これ、どんなことを意味するか。

一般的にですが、監査報酬は非監査報酬に比べ、単価が低いです。

なぜならば、監査を受ける被監査会社からすると毎期毎期実施される監査であれば、経験則の定理のように効率がどんどん高まり、原価は逓減して行くだろうという心理もあるというのが一因だと思います。一方で、非監査の多くは非定型業務のため、イレギュラー対応であり監査法人側も高単価水準で請求をしやすいという背景があることがあると思います。

監査業務において、監査法人からすると原価逓減効果は一定程度あることは認められるものの、監査品質管理は年々厳しい水準を監督省庁から強く求められており残業も多くなるし、昇進者が増えていき給与として支払う額は増えていくし、離職率も低くなく、原価(人件費)は年々大きくなっていくので監査報酬をなんとしても上げたいという心理・戦略があると思います。その落とし所として、現状維持、もしくは何か監査法人側が無料でサービス(社内研修実施などなど)をつけるから微増させてくださいな、みたいなケースがよくあるのではないでしょうか。

そんな監査法人の監査実施者の公認会計士はどんな風に働いているのか。

ただでさえ、監査品質の向上を求められ監査法人内の品質管理部と場合によっては重箱の隅をつつく議論を乗り越え、監査証拠の元となるその水準を満たすことが必ずしもできない監査クライアントとの議論し、指導し、監査クライアント自身も把握していないようなこと(システム制御などなど)まで把握し、新会計基準の自己研鑽し、その上で無料サービスの提供。。。書いてて目眩がしてきます。

そんな状態だと、個人の印象ですが、監査部門の人らは他人に対する余裕が大きくない人が少なくなくギスギスし仕事の満足度が著しく低下していく、なんてことも起こると思ってます。(既になっている状況かもしれませんが。。)

◉入りたい監査法人を選ぶ際にどうするか。

ここで一つ気づきがあるのではないでしょうか。監査報酬・非監査報酬の比率、人員数が将来的な監査法人での働きの充実度・満足度に影響すると思います。

それらを時系列比較するだけでも、法人がそれを改善しようとしているのか、現状維持に近い形で消耗戦をして行くつもりなのか見えてくるのではないでしょうか。やり方も、少しでも監査業務に集中するために付随業務を手助けする監査補助者・事務者を増やし公認会計士を減らして行くのか、その逆か、などなど考えられますね。

次回は、その辺りを深掘りしていきたいと思います。


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