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前川のニュースレターNo.27

いつも私のニュースレターを読んで頂き有難うございます。
日本は15日で旧盆、各地で盆踊りや花火大会の筈が、台風7号で楽しみも台無しの様ですね。いつもこの時期は戦後何年と終戦から数えて今年は何年たったとニュースが流れますが、何年たっても日本だけが戦後何年と言い続けています。 何時になったら戦後が終わるのでしょうか?
もう時代は、アメリカの世界の覇権が崩れ、世界大きく変わろうとしている真っただ中にある様に思われます。 
さて、本日8月14日のニュースレターをお送りいたします。
 
【株式市場の動き】
今日午前中は一進一退の株価の動きでしたが、午後に入り下落し始めました。理由は米国長期金利の上昇です。米国長期金利の指標は米国10年国債の利回りが基準になりますから、先週からじわじわ上昇し始めた長期金利は大手企業の資金調達、住宅ローンの金利に悪影響を与えます。その為、企業の業績に先行き不透明感が出て、株価も弱含みです。Dow工業株は46.78ドル下落して、35,234.62ドル、S&P500、ナスダックは上昇しています。
 
 
【不動産・住宅ローン金利動向】
株式市場の動きで触れましたが、長期金利が上昇しています。さて、それではどうして長期金利が上昇しているのでしょうか?
新聞報道によると、FRBが長期にわたって政策金利を高い水準にとどめるとの見方が根強いので金利が上昇していると言っていますが、それは今日突然始まったことではないので、あまり良く分からない説明ですね。ウォール・ストリートのトレダーたちは、実質金利(国債利回りからインフレ率を引く)が2009年以来の高水準になったことを見て、今後もヘッジファンドなどが米国債売り、ドル買いに入るとの見ており、それが理由の一つだと思われます。また、最近天然ガスと原油価格が上昇しているので、インフレが今後順調に下がって行かないとの見方も出てきており、その為、FRBはこのまま利上げ打ち止め、来年早々には利下げに転じるとの見方が後退し、米国債の金利上昇圧力が高まっていることが長期金利の上昇に繋がっていると思われます。 いつもの様に、FRBの理事の発言や経済指標の発表がきっかけで反転することはいつものことなので、このままの上昇が続くとは考えにくいですね。 この長期金利は住宅ローン金利の上昇に影響します。実際にこの所またじりじりとローン金利が上昇しています。
この金利の上昇は住宅市場に大きな影響を与えています。市場にうり出されている中古物件(米国では日本と違って、中古物件が取引の中心です)の供給件数が年初と比べて、20%ぐらい減少しています。当然供給件数が減ると、価格が上昇するのですが、ローン金利の上昇で、その分が相殺され、逆に売買は19%の下落となっています。
しかし、購入希望者が全くいないわけではありません。今でも購入を希望している人たちはそれなりに裕福なので、良い物件が出てくると物件の取り合いになり、価格が上がります。
売買数の約36%は売り主の希望価格より高く売れています。 全米の平均をすると物件価格はやや下落となっていますが、人気のある街、家は高く売れているのです。
それでも、金利高と物件不足が相俟って、不動産市場は未だに低迷しています。オフィスビルを含めて、不動産市場の不況は米国経済に大きな影響を与えます。 

参考までに、新規の物件売り出し件数が大きく減少している街TOP5は以下になります。
 

  1. Las Vega, NV                   43.4%

  2. Phoenix, AZ                     39.7%

  3. Providence, RI                32.0%

  4. Sacramento, CA             31.9%

  5. Oakland, CA                    30.7%

 
全米で最も家賃が高いエリアと低いエリアTOP5(一戸建て)

  1. Los Angeles – Long Beach-Anaheim, CA          $4,987

  2. San Diego – Carlsbad, CA                                    $4,862

  3. Naples-Immokalee-Marco Island, FL                  $4,821

  4. Bridgeport-Stamford-Norwalk, CT                       $4,750

  5. San Jose-Sunnyvale-Santa Clara, CA                 $4,629

 
 

  1. Litle Rock-North Little Rock-Conway, AR            $1,267

  2. Montgomery, AL                                                     $1,394

  3. Birmingham-Hoover, AL                                        $1,441

  4. Louisville/Jefferson County, KY-IN                     $1,492

  5. Cleveland-Elyria, OH                                              $1,506

 
家賃が高いエリアに住んでいる人たちは、頭金次第では、家賃を払うよりも家を買った方が毎月の支払いも低く、将来の値上がりや子供世代に引き継がせるなどの期待もあり、購入への意欲が高くなります。 Remote workが進んでいる現在、Little RockとLos Angelesの収入の差はレント価格のさほどは無い為、家賃、物件価格が高すぎる場所から、住居費、生活費の低いエリアへの人口移動が進んでいます。  
 
 
【経済の動き】
先週から、米国債の利回りが上昇しています。インフレ率の先行き再上昇の懸念も出てきました。今まで予想してきたよりも金利が下がってくる時期がずれ込みそうだとの認識が広がっています。私も、今年中には金利が大きく下がり始めると考えていましたが、今はもう少しずれ込むかもしれないと思い始めています。インフレに大きな影響を与えるのは、燃料費、住居費、それから今問題になり始めている保険代の値上がりです。原油価格はOPEC, OPEC+の産油量による影響、世界経済の動きによって大きく動きますが、住居費は国内問題です。インフレによる家賃上昇、供給不足による物件価格は高金利が問題です。もう一つの保険代ですが、健康保険, 自動車保険、カリフォルニアでは特に家の保険が危機的な状況に陥っています。これが保険代値上がりに拍車を掛けそうです。過去2年間、大きな山火事、自然災害などで、2年続きで過去最悪の保険の請求額で、カリフォルニアでは保険金額の大きな引き上げを認めないので、大手保険会社が家の保険業務から撤退を始めています。コロナ禍によるサプライチェーンの逼迫と人手不足による人件費の高騰で、古くなった屋根の修理代が高騰し、私の家も屋根の葺き替えをしましたが、コロナ以前の倍の金額を請求されました。家の修理代そのものが高騰してしまっています。お金に余裕のない人たちは屋根の修理が出来ないままの状態で、昨年から今年の春に例年よりもたくさん雨が降ったこともあり、雨漏れなどの保険求償請求が激増しました。その為保険代の高騰だけでなく、保険そのものを保険会社が受けてくれなくなっています。
これも住宅購入に関する経費の上昇の1つになっています。保険会社は保険の申し込みがあるとドローンを使って、屋根の状態を調べたり、実際に家の状態を自分の目で確かめるないと保険申請を受け付けない様になり始めています。 これらの事実が今まで思ったほどインフレが一直線で下がり続けることは無いかもしれないとの悲観論が広まっていることの一つの要因として考えられます。 
一方、先週から引き続き、景気後退を予感させるニュースも多くみられます。景気後退の兆候は長期金利の下落圧力を強めます。
例えば、米国の銀行は4-6月期に貸倒で約190億ドルの損失を被りました。クレジットカードや商業不動産に関連した借りてによる債務不履行が増加して、過去3年以上で最高の水準です。回収不能の貸付債権を189億ドル償却し、前年同月比で75%の増加を記録しています。
収入が頭打ちの銀行はこの所個人のカード発行やローンの勧誘に力を入れています。ほぼ毎日、銀行各社、カード会社からの勧誘の手紙が届きます。一方べいこくの消費者は約1兆ドルのクレジットカードローンを既に抱えていて、この分野で銀行は4-6月期に107億ドルの損失を出しています。銀行は不況になると預金者確保の為預け入れ金利を引き上げたり、カードローンの申請をプロモートしたリしますが、まさに今がそうなっています。
商業不動産に関連する損失も11億7000万ドルと過去10年以上で最悪となっています。 このまま高金利が続くと、不動産、銀行、中小企業の借り入れ、政府の国債の利払い額の増加など大きな影響が出ますので、早く政府は無駄な支出を止め、適切なインフレ対策を打って、FRBは利上げ打ち止めを発表したほうが良いと思います。
先週も言いました様に今のところは日米の長期金利の金利差がドル円の為替レートの動きに連動しています。米国の長期金利(米国10年国債の利回り)が上昇していますので、ドル円の金利差が広がり、円安が進んでいます。今日現在米国10年国債の利回りは4.195%、日本の10年国債の利回りは0.607%となています。この動きを見ているとある程度のドル円の動きが分かります。
 
 
 
【今週の???なニュース】
バイデン政権がウクライナへの支援を続けるています。7月19日に追加支援約13億ドルを発表、2023年会計年度に合計108億ドル、2022年度には63億ドル。など、今までの総額約410億ドル。何の為、何を守る為の支援なのか?との疑問を呈する国民が増えています。米国債の格付けを下げるほどの財政赤字でも国債追加発行を余儀なくされている現状でも追加援助を止めません。他にお金の使い道があるだろう?と思うのは当然のことでしょう。嘗ては、西海岸で一番おしゃれで洗練された港町、サンフランシスコがいまはホームレスが溢れ、オフィスビルは空室だらけ、にぎわっていたUnion Squareからも店舗が逃げ出し、犯罪が急増し、留置所が満員だから、窃盗、麻薬などの犯罪は殆ど逮捕されずに釈放されています。ニューヨーク、シカゴ、ロスアンジェルスも似たような状況になりつつあります。
このサンフランシスコに本社があるツイッターのイーロン・マスクはこの町は世界が滅亡した後の様だとつぶやいているそうです。他国の政治、戦争に口出しし、お金を使うよりも先に、荒廃する大都市、崩壊する国境、インフレ問題とほかにお金を使うところはいくらでもあるはずですが、どうしたのでしょうか? 日本の岸田政権も、外遊してお金をばら撒き、米国に言われるままに、ウクライナ支援金を出していますが、国内景気刺激策にはお金を使わず、増税ばかりに熱心です。将来の為にお金を使って欲しいですね。
 
 
【国際政治ニュース】
私は今まで、アフリカ諸国と言うと貧困、水不足、内紛、低開発などの言葉を思い浮かべていました。アフリカは気候が厳しく産業が発展するのは難しいいのだろうと漠然と思っていました。しかし、それは間違いだったようです。概して言えば、アフリカ諸国は植民地主義の欧州諸国に搾取されてきた為、発展できなかったのだと。決してアフリカに住む人々の能力の問題ではなく、植民地支配の為に人々が自立できない様に、宗主国に反抗しない様に巧みに支配されてきたのです。アフリカの国境線を見ると、定規で引いたようにまっすぐになっているところが多くみられます。誰がこの国境線を決めたのですか?アフリカの人々ではなく、ヨーロッパ諸国です。これもアフリカで紛争が絶えない一因となっています。アフリカ諸国は未だに、旧宗主国に反植民地化されています。アフリカ難民の問題で、フランスともめたイタリアのマローニ首相が、この前その実態を暴露していました。アフリカからの難民を受け入れろとフランスが言ったことに対して、難民を作っているのはフランスが植民地政策で現地が発展しない様に搾取しているからだ。移民を他国に受け入れろと言うのはお門違いだ!!と言ってのけました。日本では殆ど報道されていないでしょうが、世界中の話題になりました。また、つい最近アフリカ、ニジェールでクーデターが起こり、フランスべったりの前政権を追い出しました。ロシアの後ろ盾がありました。 フランス系国有企業がニジェールで産出する金やウランを本国に送り、ニジェールの富を搾取、また安価なウランを使って原発を推進してきました。フランスは旧植民地国に対して通貨発行権も未だに持っているのです。 細かく言えばまだまだあるのですが、今までアフリカ諸国が発展できなかった大きな理由の一つが旧宗主国の今も続く搾取です。通貨をフランスがコントロールし、輸出競争力をそいでいます。国力のない国が、強い国の通貨で物を売ると誰も買ってくれません。日本が戦後発展できたのは1ドル360円だったからで、その時米国から1ドル100円だと言われていたら、日本製品は誰も買ってくれなかったでしょう。高品質で低価格だったから売れたのです。また、これらの国は、富を半分を搾取されていますので、国の発展の為の投資が出来ません。勢い、世界の先進国からの援助を待つことだけになり、働く意欲もわきません。その矛盾にロシアが目を付けました。反米の立場を取るロシアはアフリカ諸国の独立を助けて、アフリカ諸国への影響力を強め、相対的に欧米諸国の力を落とす作戦に出ている様です。その動きに呼応して中国が中東、アラブ諸国との連携を深め、ロシア、中国、中東、アラブ、アフリカ諸国と反欧米勢力を纏めようとしています。意図的かどうかは分かりませんが、バイデン政権は上記の動きのお手伝いを間接的にしている様な外交でますます、西側諸国とその他に世界が分裂してゆく流れを加速させています。日本と言えば、全く蚊帳の外。中東、アラブ、アフリカ諸国とのつながりがますます薄くなっています。周りを見れば、自分のことだけを考える国ばかりで、友好国はほとんどいない状況になりつつあります。
アメリカも現政権は日本を利用することしか考えていませんので、何か事が起これば見捨てられるだろうと言うのが日本の識者たちの共通認識になりつつあります。岸田さん、しっかりしてよと言っても無駄でしょうか?
 
 
【豆知識】
全米主要50都市で平均の家のサイズ、土地の広さのトップ5は?
土地のサイズ

  1. Nashville, TN 11,810sqft (約1,098坪)

  2. Atlanta, GA 11,560sqft

  3. Louisville, KY 10,890sqft

  4. Charlotte, NC 10,600sqft

  5. Raleigh, NC 10,450sqft

家のサイズ(居住スペース)

  1. Milwaukee, WI 2450sqft (約228坪)

  2. Omaha, NE 243sqft

  3. Austin, TX 2020sqft

  4. Miami, FL 2010sqft

  5. Atlanta, GA1950sqft

*Square Feetに0.093を掛ければ坪数が出ます。

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