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米国発前川のニュースレター

いつも私のニュースレターを読んで頂き有難うございます。2月に入って、
南カリフォルニアでは雨季に入り、数日間雨が降り続いています。火曜日まで雨が続く予想です。昨年に続き、今年も雨が多い年ですね。いつも雨季が開ける前は雷が鳴り、その後は春と言うより、一気に夏の天気になるのがお決まりです。この写真はオフィスの裏の自然保護区です。
水たまりが出来て、写真には写っていませんが、水鳥が泳いでいました。

カリフォルニアの雨季

【株式・為替市場の動き】
金曜日のビックリの雇用統計を受けて、また、米サプライマネジメント協会(ISM)非製造業景況感指数が市場予想を上回り、53.4となったので、主要株価は下落しました。特にDowは274ドルも下げました。景況感が高いという事が今後も高インフレが続くと受け取られ、また金曜日の雇用統計では予想に反して、35万3,000人の就業者増となり(予想の2倍)景気、雇用が引き続き強含みなので、3月の利下げが遠のいたと市場が受け取り、株価が下がり、また、ドルも対G10諸国通貨に対して全面高となりました。これは、米軍のイエメン空爆など軍事行動によって、有事のドル買いがあったこと、米国債の利回りが上昇したことが理由として考えられます。現在1ドル148.53で取引されています。
 
【不動産・住宅ローン金利動向】
先週の金曜日、本日と住宅ローン金利(長期金利)の規準となっている米国10年国債の利回りが急上昇。先に述べました、雇用統計、ISM非製造業景況感指数が予想を上回る強さを示すデータが発表されたことがその理由です。この米国10年国債利回り上昇によって、本日の住宅ローン金利が0.25%ほど上昇しました。いつものことですが、このようなサプライズの発表で急上昇した利回りは数日後には落ち着くことが通常です。また、雇用統計の異常な上昇の理由をがハッキリするとまた今まで通りに推移する可能性が高いと思います。このまま、金利上昇とはならないでしょう。不動産市場は、徐々に売り物件が増えてきています。これは全米平均なので、地域格差が大きいですね。州単位ではなく、街単位で見て行かないと実態を見間違えてしまいますので、注意が必要です。今までにも言いました様に、不法移民の増加に伴う治安の悪化、ホームレスの増加、犯罪の増加に伴うスーパーマーケットや小売店の閉鎖が不動産マーケットに大きな影響を与えています。スーパーや小売りの店が周りになくなると、生活が出来なくなりますから、もっと住みやすい場所に人々が移動するのは当然ですね。日本でも過疎化が進んでコンビニが無くなるような場所はますます人口減少が進むのと似ています。このような動きが大量に移民を受け入れている州に明らかに起こっています。ニューヨーク、イリノイ、カリフォルニアです。
また、ウエスト・バージニア、ルイジアナ、ペンシルバニア、ハワイ、オレゴンなども人口減少しています。
人口が最も早く減少しているのはニューヨークです。2022年の7月から2023年7月までの間に全人口の0.5%の人口が失われました。
上記の人口減少している3州でも、都市によって大きな差があります。ニューヨーク市、サンフランシスコ市、シカゴ市がそれぞれ一番都市が荒廃し始めています。 また、これらの都市はオフィスが沢山ありますが、そのオフィス需要が低迷しています。恐らく今より大きく回復することは無いとオフィスビルディングのオーナーは考えて、オフィスを住居や店舗へ改装するconversionが盛んに行われ始めました。
更に、米国の商業物件への融資が多い地銀はオフィス向け融資の審査基準を厳格化してるので、借り換えに困っている投資家が多数出てきており、これからも増え続けてゆくと予想されます。
その理由としては、通常、オフィスやアパートなどへの融資はキャッシュフローを最大化する為、5年固定金利で利子だけ払うタイプのローンが多いのです。その場合、5年後には、物件の値上がりを考慮して、物件を担保にキャッシュを引き出したり、条件の良いローンに切り替えたるすのが通常なのですが、コロナ後の低金利でローンを仕込んだ投資家は現在3-4%高いローン金利での借り換えとなり、或いは、オフィス需要低迷によって物件価値の下落から、ローン借り換えの承認を銀行から貰えない場合もあります。ローンの支払額の上昇が起これば、キャッシュフローの減少、或いは赤字転落となりますので、場合によっては銀行はローンの貸し倒れ、物件の差し押さえその後の競売などに見舞われますので、商業物件価格の下落は必然です。米商業銀行のニューヨーク・コミュニティ・バンコープなど貸し倒れ引当金を増額して、決算が赤字になり、株価が急落している銀行もあり、あおぞら銀行も同様、引当金増額で赤字転落、そのあおりで東京海上、第一生命T&Dホールディングスなどの株価も下がりました。これらの状況は商業物件の価格下落を誘引しますので、ある意味では物件を安値で仕入れる絶好のチャンスと考えることもできます。
 
【経済の動き】
米国経済の強さを示すデータが出ています。雇用統計、小売売上高、ISM景況感指数、GDPなどなどです。これほど金利を上げても景気にブレーキが掛からないとは常識では考えられません。物価の下落はサプライチェーンの正常化と原油価格の下落による輸送コストの下落、ガソリン価格の下落などで説明が付きます。また、インフレ率の高止まりの原因としては住宅価格、家賃の高騰でした。これらも落ち着き始めています。先にも触れました米国雇用者数の異常な上昇がどうも納得できません。一つの仮説は大量な移民の流入です。メキシコ、カナダ国境を越えて不法入国している人の正確な数字は分かりませんが、現政権になってからでも1,000万人は超えているとの推計です。その人たちの人口が増えて、どこかで低賃金で働いている実態は雇用統計には出てきません。データ上の人口が変わらず、労働者が増えているのであれば、失業率は上がらず、就業人口が一挙に上がっていることの説明になります。ADP(給料計算会社)の統計とJOLTSの雇用統計が全く逆の結果を示していることも移民労働者が理由であれば納得がゆきます。米国の雇用統計にはっきり出ているのは、正社員の雇用が減り、パートタイムの雇用が増えていることです。これら不法移民に州によっては毎月5,000ドル分のデビットカードを配っているところもあり、いろんな形で生活費を配っています。1,000万人全員が5,000ドルを毎月貰って、消費すれば、GDPは伸びてゆくでしょう。 まさか、こんな統計では中国のGDPと同じになってしまいますね。 就職難、転職が難しいのが現実です。レストランの顧客数の減少も明らかで、レストランに食品などを供給している会社の情報では、購買金額の低下がみられるそうです。更に、今後以下の会社はレイオフを発表しています。
Alphabet、 Amazon 500人、American Airline656人、Business Insider社員の8%、CITI Group20,000人、
ドイツバンク3,500人、Forbes社員の3%、Google数百人、IRobot社員の31%、Levi‘s本社人員の15%、Okta社員の7%、
UPS12,000人などです。米国経済は何処へ向かっているのでしょうか?
  
【今週の???な国際ニュース】
中国とインド両国が世界の国外移住者の大部分を出しています。大きな戦争や内乱が起こっていないのに両国から海外への移民が増えています。それも、高学歴の人や富裕層が海外に移住しているのです。今後の繁栄と安定が確実ならばどうしてなのでしょうか?米国に不法入国するために、生命の危険を冒すことをいとわないインド人と中国人が毎年何万人もいるのです。2023年の国境取締局(CBP)の統計では、インド人9万7,000人、中国人5万3,000人が不法入国をしようとしました。2021年と比べて、インド人が3倍強、中国人が2倍強です。 2024年さらに大幅に増える見込みです。10年前は不法移民と言えばメキシコ人や中南米諸国出身者が圧倒的に多かったのです。中国、インド両国からは合法移民もいるのですが、不法移民は増加の一途です。今までは、中国人は学生として入国し、卒業後帰国する確率が高かったのです。インド人は学生ビザから終了ビザへの切り替えが多く、H1-Bと言われる就労ビザ8万5,000件の半分以上をインド人が取得しています。インド人は現在、米国内でメキシコ人に次いで大きな移民グループとなており、中国人が3番目です。
2019年の統計では、米国に移民しているインド人は1,750万人、メキシコ人1,180万人、中国人1,070万人となっています。
因みに日本人は日系人、日本生まれの日本人も含めてハワイを含む全米で約150万人150万人弱です。けた違いですね。
中国人とインド人合計すると、世界人口の36%となります。これらの国からの移民は10%強ですから、これからますます増える可能性があります。それも富裕層の国外流出です。通常は繁栄している国は資本と人材を引き付けますが、両国は逆になっています。
中国からの富裕層の流出の主因は習近平の民間企業締め付けと共産党の支配強化なのは明らかでしょう。インド人の移民の理由としては統治面の不備、例えば都市部の環境汚染、税務当局からの嫌がらせ、劣悪な公衆衛生やインフラなどです。
果たして、この両国は今後のアジアをリードしてゆく国になるのでしょうか?富裕層や高学歴者の流出が止まらなくても???
 
           
【豆知識】
カリフォルニアにおける夫婦共稼ぎで子供二人の家庭の最低必要収入は?
 
$125,037(約1千850万円)

【2月5日のローン金利】

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