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米国発前川のニュースレター

いつも私のニュースレターを読んで頂き有難うございます。
2月の19日から東京に出張していましたので、2週間ニュースレターを
お送りできませんでした。3週間ぶりのニュースレターです。
この写真は芝公園の隣にある芝東照宮の庭に咲いていた寒桜(多分)に鶯(多分)が偶然止まったので写真を撮りました。もうすぐ春ですが、寒かったです。

梅に鶯?

さて、本日3月4日のニュースレターをお送りいたします。 
【株式・為替市場の動き】
今週は大きな発表が目白押しとなります。明日の大統領予備選挙の1つの山場であるスーパー・チューズデイ、15の州で予備選挙があります。次はFRBのパウエル議長の議会証言、(6日と7日)、8日の金曜日は雇用統計の発表です。今日はFRB議長証言で今後暫くは金利を下げないとの議会証言が行われる懸念から米国債利回りが若干上昇。先週末の株高での利益確定売りと議会証言でネガティブな話が出る懸念から主要株価は下落、特にナスダックは大きく下落して終了しました。為替は、ドル円が150.43前後で推移しています。2月の29日に日銀の高田審議委員が2%の物価目標実現がようやく見通せる状況になって来たと証言。また、出口戦略にも言及して、国債金利が上昇して利払いが増えても、日銀の当座預金残高が減れば利払いが減るので問題が無いとの認識を示しました。そのため、近々のゼロ金利解除と利上げ期待が広がり、一時149円台半ばまで下がりましたが、結局戻通りの150円半まで戻ってしまいました。 米国の10年国債の利回りが一時上昇したので、ドル高で金が下がりました。 
ドルが下がれば金が上がるという関係はこの所ずーっと続いています。今後インフレデータが下がり続けて、ドルが下がり、国債利回りも下がれば、金はさらに上昇すると思われます。
日本の株価が4万円を越えてきました。景気がそれほど良くないのに4万円越えはおかしいとよく聞きますが、今までが低すぎたと考えれば納得がゆきます。企業の収入と株価の関係を見て、米国と比較すれば一目瞭然です。 その視点で見ればバブル期の株価が過熱して高すぎた為に、その後、株価がなかなか上がらなかったのでしょう。 当時はドル円が150円前後、GDPの伸び率が5%、インフレ率が3%(実質成長率は5-3で2%)、失業率は3%ぐらい(ほぼ完全雇用状態)と完璧でしたから、先行き期待で株価が異常に高かったのでしょう。 今もAIへの期待が大きすぎると同じ轍を踏みかねません。一つの危険信号として、イーロン・マスク氏がオープンAIを提訴しました。その内容は詳しくは書きませんが、オープンAIが敗訴すれば、マイクロソフトにも及び、その時はAI関連株の下落となるかもしれませんね。   要注意!!
 
【不動産・住宅ローン金利動向】
個人住宅市場は2月と変わらず、じわじわと売り物件の件数が増えてきており、売買契約も増えています。私への物件購入の問い合わせも昨年と比べ物にならないぐらい増えてきました。しかし、住宅ローン金利が一旦6%半ば近くまで下がった後、また7%超へリバウンドしましたので、市場は一進一退となっています。業界では、夏ごろ以降に金利が再度下がり始めるとの予想が大勢を占めています。と同時にFRBの利下げも6月から夏ぐらいに第一回目があると見込まれています。しかし、この時期を境に急に物件購入が盛り上がることは無いと考えます。依然として物件不足と更なる金利下落期待が新たに始まり、物件価格が高止まりしているからです。S&P・コアロジック/ケース・シラー指数によると、前年比で最も上昇したのがサンディエゴで8.8%、ロスアンゼルスとデトロイトがそれぞれ8.3%の上昇です。と言ってもエリアでかなりの差があります。この上昇は勿論インフレ率よりも大きくなっています。物件不足が原因です。いずれは物件不足が徐々に緩和されてゆき、価格上昇も緩やかになってゆくでしょう。 データによると、未だに、720万戸の家が不足しており、その主因は過去10年間の人口増加に対して物件の供給不足です。新築物件が少なすぎるという事です。この所のアパート、戸建て建設の増加が幾らかは住宅不足緩和に繋がり、家賃の下落に繋がっています。 しかし、過去3年の不法移民の1,200万人とも言われている増加がどう影響してくるかが気がかりです。単純に計算しても、4人家族で3百万戸の家が必要ですから。
次に、商業物件ですが、リモートワークからオフィスワークへの回帰が日本と比べて米国では遅い或いはリモートが定着してしまっており、その為オフィス需要が約15%減少、物件オーナも貸付している銀行も問題を抱えることになりました。米国では基本的に通勤手当が出ませんので、
社員は出来ればリモートのままを希望する人が多いのです。ただし、最近のデータではリモートで働く従業員はオフィス勤務の従業員よりもレイオフされる可能性が高いことが分かりました。この傾向は引き続きで、多少のオフィス需要回復に貢献するかと思いきや、この所のレイオフの増加でオフィス需要には明るさが見えません。 商業物件関連の倒産が増えることは空き部屋が多い安い売り物件が増えるという事ですね。
高金利に切り替わる変動制ローンはアパートの売り物件を増やし、空室が多いオフィスビルは買い得なオフィスビルを増やします。いずれにしても商業不動産はこれからスランプに入り、資金力のある個人や会社が値ごろのアパート、オフィスビスを搔っ攫ってゆくことになるのでしょう。
 
【経済の動き】
EVには将来がないとこれまで何度か言いましたが、とうとうアップルがEV開発の中止を発表しました。やっぱりね。10年越しで数十億ドルを掛けてきたプロジェクトを中止するのですから、かなりの決断と言いうより、余程EVはもダメと確信を持ったのでしょう。アップルはこれまで開発にかかわって来た2,000人の従業員をAI部門に配転しました。自動車労組は喜び、テスラの株価は下落です。EV関連ビジネスは凋落でしょう。EUでも完全EV化を撤回。この業界でもレイオフが増えそうです。
先に触れました商業不動産不振でカリフォルニアでは差し押さえ件数が前月比72%増加、昨年1月から3倍になっています。この業界でもレイオフ増加で、IT業界でもレイオフが増えています。どうして米国の雇用が強く、消費が強いのか? 私は大量移民の影響があると疑っています。 移民受け入れに積極的な街では不法移民に住居と生活費を提供しています。この消費金額は具体的な数字は手元にはありませんが、過去3年で1,200万以上ともいわれる不法移民が流入している現状、例えばニューヨークでは4人家族で家族あたり毎月1,000ドルの生活費をくれるそうです。仮に3百万世帯が毎月1,000ドル消費すると単純に10億ドルの消費になります。少なくとも15兆円越えの毎月の消費増です。 しかし、一般の生活者にとっては治安の悪さは実感するし、市町村の財政悪化でパブリックサービスの質が下がることは実感していますが、生活が楽になる実感は持てないでしょう。
次に、CPI(消費者物価指数)が1月は上昇したとレポートが出たために、国債利回り上昇、ドル高、円安、FRBの利下げが後退につながりました。株だけはAI特需と中国株スランプで上昇しましたが。
そのCPIに最も大きく影響を与える統計要素がShelter costと言われる住居費です。実は1月統計からこの住居費がCPI統計に占める割合が上昇したのがCPI上昇の1つの要因でした。また、この計算方法ですが、家賃プラス、持ち家をもし貸し出した場合期待できる家賃の平均で計算されます。実際の持ち家の家賃は家のオーナーからの聞き取り調査です。大体の場合オーナーからの聞き取り調査では市場より高めの数字が出てきます。実際は大量の新築アパートの供給により、家賃は下がって来ています。しかし、これが正しくCPIに反映されていません。インフレは収まっているのに適切にデータに反映されていません。 また、アパートの家賃などは契約更新、新規入居などが無いと変わりませんので、ゆっくりとデータに反映されてきます。これらのことを考え合わせると、これから徐々にしかCPIは下がらず、金利もゆっくりと下がって行くと予想されます。とはいう物の、食料価格は上がり続けています。統計によると、1月の飲食店における価格は前年同月比で5.1%上昇、食料品価格は1.2%上昇となっています。レストランや食品会社によると労働コストの上昇、現在場価格の上昇によりその分を値上げて賄っているとのことです。最近のレストランの顧客減少は値上げによるところが大きいようです。カリフォルニアでは最低賃金が4月から25%引き上げられますので、飲食代はますます上昇するか、或いは店員を雇えず、人員不足でサービス低下を招くことになるでしょう。
 
イスラエル対ハマスの紛争によってハマス側に立つイランが支援するイエメンのフーシー派が航海を通過するイスラエルとその支援国家の船を攻撃しています。間違ってロシアの船が攻撃されましたが、これは間違いだとフーシー派が認めています。故にEU諸国の船は紅海を通れず、アフリカの喜望峰周りとなり、2週間ほど運行期間が延びて、運賃が3-4倍にもなっています。これではEUの経済が良くなるわけがありません。
一方中国、ロシアは影響を受けてません。また、EU,中国などの不況による原油消費減少による原油価格の下落圧力をこの紛争が止めています。
産油国はこの状況を喜んでみているでしょう。本来なら1バレル50ドルぐらいの価格になってもおかしくない消費状況だからです。
  
【今週の???な国際ニュース】
日本の自衛隊は人員確保に問題があり、特に海上自衛隊では人員不足が著しいとのことですが、それは米国の軍隊でも同様です。
米国では政府がLGBTQ差別撤廃を推進しており、(共和党主流の州では反対しています)またあらゆる差別を撤廃するとの方針から軍隊での昇進スピードも能力よりも平等を優先し、或いは、白人の昇進を遅くして、マイノリティーを優先しており、軍隊全体の士気が落ちています。  また将来の昇進が望めず、中途除隊をする軍人が増えています。人員確保の方法として、議会民主党が提案しているのが、不法移民を入隊させるというものです。 シカゴでは行き過ぎたマイノリティー保護によって白人警官が黒人などマイノリティーを逮捕できない、逮捕すると逆に訴えられるという状況に陥って、警察官のなり手が少ない状況から、先の軍隊の例と同様に、民主党の州議員から不法移民を警察官に登用する案が出ています。不法移民と言っても本国で指名手配されている者、或いは麻薬の運び人などパスポートもなく、身分証明書も持たずに米国に入国する犯罪者の不法移民も多い中、法と正義を守る警察官、軍隊に不法移民をリクルートするという案がどうして出てくるのか理解に苦しみます。自由平等の国だったはずが、自由平等を求めすぎて、おかしくなってしまったアメリカがここにあります。
 
          
【豆知識】
2024年全米で家のレントの競争が激しい街ベスト10

  1. Miami-Dade, FL

  2. Milwaukee, WI

  3. North Jersey, NJ

  4. Suburban Chicago, IL

  5. Grand Rapids, MI

  6. Oklahoma City, OK

  7. Bridgeport-New Haven, CT

  8. Cincinnati, OH

  9. Lansing-Ann Arbor, MI

  10. Orlando, FL

【今日の金利】

3月4日の金利表

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