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Yoshilog ライブ Vol.7 - 『ミラノの飲み方・デザイン・モーダ』 の感想文 〜 ミラノのデザイナー ono hiroshi

これは2020年7月8日にono hiroshi さん(@hiroshimilano)をゲストに迎えて行ったYoshilog ライブ Vol.7 『ミラノの飲み方・デザイン・モーダ』の感想分です。


テレビだったらダメだっただろうな、と思いながら、ono hiroshi さんの次の言葉を待った。普段相当にイラチな性格の自分が全く焦れない。それどころか、真空の中の静寂みたいなものがむしろ心地よかった。ガチャガチャした偽物だらけの世界から逃れられた安堵感に浸る。

Yoshilogライブ Vol.7_ミラノ_4photos

この人は本物なんだなと、頭の中にあるものを外に出す言葉を探すono さんを見て考えていた。ミラノのデザイナーって世界最高峰のリーグじゃないか。そんな人が今喋ってる。右を向いても左を向いても溢れかえる汗臭く、おしきせがましい人生論など微塵も感じない。

Yoshilogライブ Vol.7_ミラノ (1)

そこからもう少し踏み込んで話を聞きたいと思う瞬間が散らばっていた。2時間は短すぎるという感想が多かったが僕もそう思う。オノさんの言葉の向こうに広がる、広く深い世界の予感で圧倒された。いつかミラノにラキアを持ってオノさんを訪れたい。その時は和風飲み方ルネッサンスになると思うが。

Yoshilogライブ Vol.7_ミラノ (2)


クライアントの要望を満たすという話をされていた時、そこ、もう少し聞きたいなと思っだのだけど、やはり時間のことを考えて断念した。オノさんの話にすいこまれてしまった一つの理由は、自分史にも少し関係している。今話せばバカバカしい話に聞こえると思うが、小さい頃自分は絵描きになるのだろうという刷り込みがあったからだ。

父とその父(僕の祖父)が絵を描く人だった。父は若い頃、絵を描いたり芝居をやったりしていたようだが、戦争が始まり兵隊になった。戦争が終わって会社員の人生を歩み始めたが、定年退職後ようやく念願の絵に専念することができた。

祖父は正式な職名は知らないが京都で着物の絵のデザインのようなことをやっていた。戦後、仕事がなく落ちぶれていき、子供のワッペンのようなもののデザインをやっていたのを覚えている。やがて風邪をこじらせてふらふらしてる時に車にはねられて死んだ。

僕は幼稚園の頃から、近所の油屋の屋根裏部屋に住む鬼ババアのところに週2、3回送られて絵を習っていた。絵を習わそうという近代的な親心というよりも、両親とも働いていたので、子供が邪魔だったのだろうと思う。とにかくどっかで時間を潰させるという課題が親の肩に重くのしかかっていたのだろう。鬼ババアの話はいつか別に書こうと思う。

子供の頃の刷り込みというのは恐ろしいもので、高校生になってもまだそんなことを考えていた。3年生になると、文系クラスと理系クラスに分けられるのだが、そのどっちでもない生徒が芸術系として別棟に閉じ込められた。その時、アートとデザインの違いについて理解していたら、違う人生になっていたかもしれない。

オノ さんによる補足

デザインの仕事は依頼された製品のデザインをするのが基本なのでデザイナーの方からはデザインする対象を選べないみたいな話をしましたが、もうちょっと踏み込んでアートとデザインの仕事の違いまで話をした方がデザインの仕事の内容を分かっていただけたのかもと思いました。
要はアーティストもデザイナーもクリエイティブな作業をするという意味では同種の職業と思われがちですが、アーティストは自分が表現したいものを自分が表現したいように制作すればいいところ、デザイナーはクライアントの要望に合わして、何を求められているのかを客観的に判断して、その枠組みの中でのクリエイティブな作業をするところが根本的に違うのですね。
いくらデザイナーが「これが一番」と思って提案しても、そのデザインがクライアントの要望に合っていなければ採用されないし「一番」ではないのです。
デザイナーの仕事は自分の表現したいものとクライアントの要望に合わせること、最終的な利用者に便利な製品であることなどの折り合いをつける作業でもあります。このそれぞれの要素をより高次元で具現化できるのがいいデザインということになると思います。(ono hiroshi)


参加者の感想

今回のyoshilog liveは、静謐な空気感で、内容も面白かったのですが、お二人の醸し出す雰囲気や空気感がとても良かったです。なかなか日本では感じることができない成熟した感じ。お二人の日本を離れた異国の地で、これまで過ごした時間を少しだけ触れさせてもらったような気がしました。
お二人の距離感がとても心地良かったです。それぞれの人生をリスペクトしているが故の距離感。
国境を越えて同じテーマについて、わいわい言いながら、カジュアルに深いお話を伺えるのが本当に楽しいです。いつもどうもありがとうございます。
もはやテーマというより、Yoshiさんとパネリストさんがすごいです。皆さん経験されていることが私からみると特殊すぎるので、何を聞いてもいい刺激、勉強になります。
自分なりに、伺ったお話を自分の視点の中に加えて、ものごとの捉え方、考え方、行動の選択を深めていきたいと思います。

前半はミラノを拠点に各国で活躍する小野さんの仕事に圧倒され、後半は小野さんの語るイタリアやミラノの街の空気にウットリしていました。「デザイン」は、それが洋服だろうと自転車だろうと私にとって心を豊かにも慰めにもなるものです。またの機会があれば勿論参加します。一杯のグラスを手に持って。2時間丸ごと至福の時間でした。ありがとうございました。
小野さんの人柄や経歴がユニークで良かった。工業デザインという型を作る仕事をしているのに、型にはまることのなないイタリアの自由な精神、クリエイター魂を感じた。これはやっぱりイタリアだからだと思う。
やはり、一般的な日本人とは異なった生き方をされてきたので、発言がどれも面白かったです。
今回のオノさんのお話はとても内容が濃く、自分の中で噛み砕いて仕事に活かせる部分が沢山あると思いました。日本時間で参加したので、眠る前の時間帯にしていただき、思い返しながらほくそ笑んでぐっすり眠れると思います。
いつもいつもyoshilogliveの楽しく充実した時間があっという間に過ぎてしまうのが残念です。

今日は、しっとり、暖炉の前で喋っているようでした。(夏ですが…)
日本は夜だからかもしれません。
歩まれた道や、仕事としてからもデザインを飛び越えた範囲の努力がものすごくあり、えーっ!!えええーー!!と言いたいところが複数あったのですが、onoさんの淡々とした喋り口調に、聞き入っていました。
ミラノのお酒の文化、なんだかお酒と共に流れる時間が豊かで素敵だなあ、と感じました。いいですね。
目的が違いすぎて別の行為に思えます……お喋り、酔うこと自体、酔うことによる連帯感!?
うーん、面白いです。
本日もありがとうございました。

素敵なお話に加えチャットもとても充実していました。ツイートの鋭さと普段のオノさんの静かな佇まいのコントラストに深く納得しました。アートのコンセプトやより機能的な付加価値について考えさせられるお話でした。
素敵なお話に加えチャットもとても充実していました。ツイートの鋭さと普段のオノさんの静かな佇まいのコントラストに深く納得しました。アートのコンセプトやより機能的な付加価値について考えさせられるお話でした。
おのさんの切れ味鋭いツイートとは少し印象の違う、優しいお声とお話にほっこりしました。デザインされたものは、とても素敵で、お仕事への情熱と、イタリアへの愛を感じました。おのさんの誠実さが、遠慮しない直球のツイートにつながっているように思います。
周りにデザイナーがいないので、かっこいいなという月並みなイメージしか無かったのですが、デザインの作り方や様々なジャンルのデザイナーのお話を伺って、少しデザイナーの頭の中を覗けたような気がして嬉しかったです。
お酒には気をつけます。

イタリアで働く際に安月給で職を得てそのまま7年過ごした上での独立を聞いて、なかなかできることではないなと思いました。
こんなところに自分が参加していいのだろうか?
と思いつつ、なんとかzoomアプリを入手し、操作し、
参加させていただきました。
onoさんの深い知識と洞察力と、ユーモアのあるツイートをいつも拝見し ファンだったので、思っていたより、もっと素敵なお人柄を感じることができ 、とても嬉しかったです。
このような機会を作って下さったyoshi さんに感謝します。
有難うございました。

自分からすると全く専門外の話でしたが、どういったことに気をつけてらっしゃるか、等ものの見方などがとても参考になりました。
デザイナーの方なので実際に作られたものを見せてくださったおかげで、お話をさらに興味深く伺うことができたし、チャットでの参加者同士のコミュニケーションも触発され、共有できるものが多かったと思います。視覚的要素が機能するところが大きかった。
オノさんのデザイン素敵です。ミラノに住まれていると、デザインを外部発注したい海外の会社から問い合わせがあるとの話は、興味深かったです。
酒造メーカーで働いているので、個人的にはもっとお酒についてのお話を聞いてみたかったです。

イタリアの工業デザイン事情や個人的背景など伺うことはあまりないので、非常に興味深かったです。最後、少し音声トラブルで手間取ってしまって流れが変わってしまったのが少し残念な感じもしますが、Part2などがあれば良いなと思います。
ミラノと言うと時代に合わせた多様な素材や手法を投影可能な感覚の可視化に優れた場所というイメージが強いのですが、私の受取るミラノのイメージにOnoさんが重なった部分があり、もうちょっとデザイン関連についてお話を伺いたかったです
とても面白かったです。ミラノのデザイン事情やヨーロッパの酒の飲み方、コメントも和気藹々でライブ感たっぷり、イヤホンマイクの不都合すらもコールアンドリスポンスっぽくて可笑しかったです。個人的にはボスニアヘルツェゴビナのハシゴ酒調査で吹き出しました。
デザインのお仕事の内容や、どういう経緯でイタリアに渡られたのかなどをお聞きできてとても興味深かったです。
ヨーロッパはデザインの世界において優れているのが伝わってきました。
小野さんのツイッターでの印象と実際にご本人が話されている時の印象が少し違っていていて、ホンワカしました😊
Onoさんの人柄が伝わってよかった。
デザインの知識がなかったり、お酒を飲まない身ではありますが、色々なお話を聞くことができて良かったです
イタリアの素晴らしさを再確認しました。
小野さんの言葉の紡ぎ方のペースでは2時間設定の方が良いなと思いました。もっと小野さんが考える今のイタリアデザイン業界の向いてる方向とかアップデートなお話が聞きたかったです。
初めて参加させていただいて、いい時間が過ごせました。


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オノさんの話に出てきたデザイナーグループMemphisのサイトはこちら(↓)。 

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オノさんの会社、HAPPYDESIGN のサイトはこちら(↓)。

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