スターウォーズとラーメン ネタバレあり

※この記事にはスターウォーズ スカイウォーカーの夜明け のネタバレがあるので注意

子門真人が歌った「スターウォーズのテーマ」という歌がある。
おなじみのスターウォーズのテーマに日本語の歌詞をつけたものだ。
歌詞が第1作(エピソード4)の公開前に本編を見ずに公開された情報だけで作ったというものである。
しかし、この歌詞、ある意味スターウォーズをと聞いてライト層が想像する内容に近いのである。
ルークがライトセイバーでダース・ベイダーを倒してレイアを救う。

単純だが、スターウォーズの一般イメージはこういうものである。

そしてファンの多くもスターウォーズに期待しているものはこれの延長、つまり主人公がライトセイバーでバッタバッタと敵を切り倒したり宇宙船で敵宇宙船を撃滅して勝利することである。

今年1月に公開されたシティーハンター映画版は「ラーメンを注文したらラーメンが出てきた」と評された。結果は15億円の大ヒットである。


2年前に公開されたエピソード8は散々な評価だった。
今まで血筋が重要だった世界で主人公の1人レイは一般人の娘で名家の血を引いてない。
もう1人の主人公フィンは唐突に出てきた容姿醜悪なヒロイン・ローズとこれまた唐突に恋愛する。
パルパティーンに代わる帝国の残党ファースト・オーダーの首領スノークはカイロ・レンにあっさり斬り殺される。
レイアは宇宙を生身で放り出されても元気に戻ってくる。
あげくルークは甥のカイロ・レン(ベン・ソロ)をダークサイドに突き落としたダメ師匠になってしまい、カイロ・レンとの戦いで力を使い果たしてあっさり死ぬ。
そもそも軍縮していたとは言えエピソード6で帝国を倒したはずの共和国軍はなぜあっさりファースト・オーダー相手に劣勢になるのか?

欠点を数え上げればきりがないだろう。
すでにエピソード7でハン・ソロの死やダース・ベイダーの海賊版みたいなカイロ・レンの衣装に批判が出ていたのである。

エピソード7,8はラーメンを頼んだらまずいタピオカミルクティーが出てきたようなものである。


こうした中でエピソード9 「スカイウォーカーの夜明け」では軌道修正した。
レイの父はパルパティーンの息子でレイはパルパティーンの孫だった。これならルーク・レイアと並ぶくらいの名家ではある。
さらにスノークはパルパティーンが見せていた幻影のようなものでパルパティーンは生存していたのである。スノークはわざと弱くしていたのだ。
レイアも力尽きる。さすがに兄と夫の死、息子の悪行、自身の宇宙投擲、レジスタンスの苦戦と心身ともに弱りきっていたようだ。
ローズに代わりフィンの相手となるヒロインにはフィン同様脱走ストームトルーパーのジャナが、さらにポーの相手にボバ・フェットを思わせる衣装の旧友・ゾーリが登場する。2人共主人公の相手としては相当な美人だし、関係性も高い。
パルパティーンはレイに自身を殺させて暗黒面に落とし皇帝の座を継がせようとしたり、レイとベンの力を吸収したりするがレイの全ジェダイの力の前についに死ぬ。スノークよりはよほどラスボスに相応しい最後だ。

それなりには見られるものになった。


だが、エピソード9は「ラーメンを注文したら麺が伸びて覚めたラーメンが出てきた」というべきだろう。

唐突に出てきたレイアのライトセイバー。
いきなり大量の宇宙船があるパルパティーンのシスの艦隊。
レイとカイロ・レンがフォースで引っ張り合いしたくらいであっさり爆発するファースト・オーダーの輸送船。

ラーメンだがまずいのだ。

「おいしいラーメンが出てきた」といえるスターウォーズは今後作られるのだろうか?

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