【詩】ロマンスの騎士・Knight of Cups

カップのナイトは愛の騎士だ
ロマンスへの憧れを心に秘めて
青年は騎士道を生きている

騎士の愛は
宮廷文学のテーマだった
中世ヨーロッパの騎士道では
愛は崇高な精神性と結びついている
文学の中では多く
高貴な貴婦人を崇拝し
奉仕する騎士の姿が好んで描かれた

白馬に跨り
カップを掲げた騎士は
まさに自分の想いを満たした杯を
愛する人に渡そうとするようだ

兜とブーツには
羽の飾りがついている
この羽のモチーフは
ヘルメス神を想起させる
ヘルメスを象った像には
このカードの絵と同じような
羽のついた兜やブーツが見られる

ヘルメスは伝令として有名だが
好色という側面も持っている
ロマンスを暗示するこのカードに
ふさわしいだろう

青年の衣装には魚の模様がある
西洋文化圏では
魚はイエス・キリストと結びつき
献身的な愛を暗示する
個人的なロマンスの物語は
その奥により深い真理を
隠しているのかもしれない

カップのナイトは夢想家だ
この人物は馬に乗っているが
ワンドで描かれた馬のように
激しく躍動してはいない
白馬はゆっくりと進む

心に思い描いていること
胸の中にあたためてきたもの
それらをゆっくりと形にしていく時だ
愛を基軸に据えた歩みが
求められているだろう