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【詩】15・悪魔というあなたのシャドウ

魔は外からやってくるのではない
己の内側に巣食うもの
欲望や本能の抗い難い誘惑に
引き寄せられる弱さこそ
心の中の悪魔である

15番・悪魔の構図は
6番・恋人と対をなしている
「恋人」の主題は楽園のアダムとイブで
まだ知恵の実を食べる前の姿であったが
「悪魔」ではすでに
禁断の果実を食べてしまった後の
欲望という鎖に繋がれた二人が描かれる

私たちは禁断の果実を食べたものの末裔
知識の目は開かれ
自らの意志で運命を拓く視座を手に入れたが
その代償として
心の中の善性と魔性に
常に引き裂かれることとなった

カードに描かれた鎖が緩いのは
この鎖が実は自らの意志力によって
抜け出すことが可能だからと言われている
アダムとイブは自らの欲望のくびきに
繋がれているのだ
執着や貪欲さ、惰性といったものは皆
自らが課したくびきなのだ

一つ前の節制のカードによって
制御できなかったものこそ
己の内なる悪魔であった

火と水に象徴されるような
異なる性質のものの融合は
ときに反発しあい
ときに調和をしながら
化学反応を起こしてゆく

内にあるものは炙り出され
個人的な習慣や偏見などは
厳しく精査されることになる
不均衡なものを焼き尽くすための
試練の期間となるだろう

ユング心理学でいうシャドウが
意識の表層に浮かび上がってくる
それは直面することを回避していた
あなた自身の影だ
未解決のまま放置してきた
自分自身の一部との対面なのだ

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