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大学教育

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大学教育に関わるテーマについて考えたり、学んだことを書いた記事をまとめています。
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#アクティブラーニング

アクティブラーニングの陥穽に関するメモ

教育の世界で「アクティブラーニング」という言葉を耳にする機会が増えている。最近、小針誠『アクティブラーニング:学校教育の理想と現実』という新書を読んだ。アクティブラーニングに懐疑的な著者が、その歴史、そして、現場から湧き出ている課題について書いている。 さて、アクティブラーニングとは何だろうか。それに関する説明には、例えば、以下のようなものがある。 この説明では、アクティブラーニングには〈認知プロセスの外化〉が含まれていることが言及されている。アクティブラーニングは、(ざ

アクティブラーニングに関するメモ

「アクティブラーニング」は、大学の大衆化に伴って、高等教育において取り上げられ、初等・中等教育へも広がっている。今や、教育の現場にいれば、よく耳にする単語に一つになっている。 教育政策がどれほど教育現場へ影響を与えるのかを、アクティブラーニングを通して、強く感じる。 アクティブラーニングとは何か。ここでは二つの説明を取り上げよう。 教師が一方向的に何かを伝えるのではなく、学生が何か(書く・話す・発表する)をしながら、その講義で獲得すべき能力を醸成する営みがアクティブラー

言い伝えだった学習ピラミッド

学習指導要領や大学教育(特に初年次教育)において「アクティブラーニング」「能動的な学習」「主体的な学び」「深い学び」といった言葉が良く使われる。そして、それらと共に登場する図に「学習ピラミッド(Learning Pyramid)」がある。その図については以下の文献[1,2]が参考になる。 [1] 松下佳代「『主体的な学び』の原点 -学習論の視座から-」大学教育学会誌 31 (1) p14-p18 (2009) [2] 山本富美子「明快で論理的な談話に見られる具体化・抽象化