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少年からもらった優しさを未来の誰かに届けたい

自転車の後ろに子どもを乗せてスーパーに行った時のこと。

買い物を終えてスーパーの駐輪場へ向かうと、私が乗ってきたママチャリが後から止めた数台の自転車によってギューっと奥に押し込められていた。

保育園に娘を迎えに行った後の買い物だったので、右手はパンパンに食材が入ったエコバックを持ち、左手は3歳の娘と手を繋いでいた。パンパンになっていたエコバックをなんとか手を伸ばしてママチャリのカゴに入れて、3歳の娘をすぐ傍の安全な場所に立たせた。

よし!ママチャリを救出すべく他の自転車をずらすぞ!と気合を入れた時だった。

「手伝いましょうか?」

優しいふわっとした声が聞こえた。

声の先に顔を向けると、私の予想に反してヒョロっとした小学生らしき少年が立っていた。

6年生くらいかな?と思った時にはもう少年の手は自転車に伸びていて、どんどん自転車を移動させていた。

「あ、ありがとうございます!助かります!」

とお礼を言っている間にも少年はヒョイヒョイと自転車を移動させ、あっという間に私のママチャリは簡単に救出できる状態になっていた。

「ありがとうございますー!!!」

嬉しくて嬉しくて自分よりも年上の方に言う時のようにしっかりとお礼を伝えたら、少年はペコッとお辞儀をしてスーパーの中に足早に消えていった。

小学生ってこんなに優しかったっけ?
今の小学生はこんなにスマートに人を助けられるものなの?
あの子すご過ぎない?

私の頭は少年への賛辞と思わぬ優しさへの戸惑いでいっぱいになり、誰かに言いたくて仕方なくなっていた。というか、3歳の娘には言っていた。娘はきょとんとしていたけれど。どうせなら小学校に少年を賛辞する電話を入れようかと思ったけれど、少年が通っている小学校名を聞きそびれたので断念した。

そんなことを考えながら、私は少年の幸せな未来を願っていた。

彼のやりたいことができますよに。
彼が将来仕事で活躍できますように。
大人になった時に幸せな家庭を築けますように。

おせっかいなくらい彼の幸せな未来を願った。

願いを受け取ったどこかの神様はびっくりしたはず。マジで「お前誰やねん」状態だし。


優しくされるって、やっぱり嬉しい。

そして純粋な優しさは誰かに返したくなる。少年がしてくれたことがどんなに嬉しかったのかを間接的にでも伝えたいから。

きっとあの少年に直接優しさを返せるタイミングはないから、私は彼の優しさを未来の誰かに届けたい。


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