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同じ月を見ていた

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#最終回です

同じ月を見ていた⑥〈終〉

同じ月を見ていた⑥〈終〉

話があると蒼一の家に行ったのは、火曜の夜のことだった。
指輪は受け取れない、と箱を返すと、蒼一は虚をつかれたような顔をした。
遼への想いに気付いてしまった今、何でもないふりをして蒼一の傍にいることはできない。

「ごめんなさい」
「……理由を聞かせてもらえる?」
蒼一はわたしの前にコーヒーの入ったカップを静かに置いた。
付き合いだして1年目の記念日に、一緒に買ったペアのコーヒーカップだ。
「蒼一と

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