熱狂を生むローカルスーパーの姿とは / ひまわり市場 ~北杜市大泉町編~
こんなにも買い物が楽しくなるスーパーマーケットはあっただろうか。
最近は簡単にネットで何でも買い物ができてしまう時代。
スーパーに行かずともネットでレシピキットが売られ、配達員がなんでも家に届けてくれる。私も面倒な時はよく色んなサービスを使い、手軽に食事を済ませることもあります。
しかし地方ではネットで簡単に今日のご飯を時短で済ませる、なんてことは困難だ。車は欠かせない生活の中で、地方の人たちにとってスーパーは家庭の台所のような存在なのだ。
県外の人たちが時間をかけても買いに来るほどの"奇跡のスーパー"と呼ばれる「ひまわり市場」を今回ご紹介させていただこうと思う。
1.ローカルスーパーという概念の再構築
「ひまわり市場」は今は山梨県北杜市で有名なスーパーとなり、県外からもお客様が集まるスーパーマーケットとなっているが、元は赤字経営のスーパーだった。しかし最近ではメディア掲載も増え、年商も数億円となったスーパーマーケット。なぜローカルスーパーが有名スーパーとなったのか。
まずひまわり市場と地域性の関係から紐解いてみようと思う。
山梨県北杜市にあるスーパー
まず北杜市にあるスーパーマーケットをマッピング。
*生活消耗品や食料品があるスーパーマーケットのみ表記*
・ひまわり市場 (大泉町)
・オギノ長坂店 (長坂町)
・セルバ白州エブリ店 (白州町)
・スーパーおの (武川町)
・ザ・ビック北杜須玉店 (須玉町)
各町に生活に必要なものを買えるスーパーマーケットが1店舗あることが分かります。
(同じようなスーパーマーケットな同じ町にはない)
地図上の直線距離みると、それぞれのスーパーマーケットの距離は3~4kmで点在していることが分かる。実際田舎の道のりは色々と入り組んでいて4~5kmの距離感となり、車の移動時間だと8~10分ぐらいの時間だ。
地方においてこの距離感は近いと言える。
そのため、ひまわり市場に買い物に来る主な客層は小淵沢町・長坂町・大泉町・高根町など近い範囲となる。
小淵沢町・長坂町・大泉町・高根町の地域性
この地域にいる人たちの特徴として
・地元住民
・週末移住の人たち
・リタイヤした年代が移住
・有名リゾート地やペンションなどの宿泊客
が想定される。
私自身何度もひまわり市場を利用する客の一人として感じたことは、平日は地元の人たちが訪れ、土日・祝日になると県外から買い物にくる人たちがいます。
*google mapにて「北杜市 ペンション」と検索*
八ヶ岳南麓にはホテル・ペンションなどがあり、距離感としてはひまわり市場は利用しやすい場所にある。
より地元に特化した品揃えに
変革のポイントの1つが「地消地産」にある。
入り口から入ってすぐ右手にある地元農家グループ「のらごころ」の野菜コーナー。写真がとても魅力的で、キャッチの「のらと共に生きる。」が良い塩梅のキャッチコピーだ。
生産者の方々のプロフィールを手書きでコメントしているのを見ると、農家への姿勢や生産している場所の息遣いが想像でき、思わずカゴの中に吸い込まれていく気持ちになる。
2.一つ一つの商品にリアルなメッセージを
変革ポイントその2、「POP広告」。
商品を見て行くと、必ず目にするのがPOP(ポップ)。
ひまわり市場のPOP広告は普段のスーパーマーケットとは一風違った内容が記載されている。
どんなPOP広告かというとこちら!
商品説明と言うよりも、スーパー従業員の心の声が聞こえて来ます。
POP広告と言うのは本来、購買意欲促進を狙いにした物。いかに消費者が商品を取って見たくなるメッセージをどうように提示するかが重要となる。
このPOP広告を制作しているのはひまわり市場の店長さん。
一つ一つの商品の生産者を理解し、自ら制作している。
だからこそ本当のPOP広告が生まれているのだと思う。
私たち消費者は生産者がどのような人で、どのようなストーリーを持っているのかを知ることは難しい。
だがこうして「伝えたい心のメッセージ」を表現してくれることで、私たち消費者が買って食べてみたくなるようなイメージができるのだと感じている。
皆さまにも店長からの熱いメッセージが伝わってきませんか?
POP広告を通り越してラブレターのように私は感じている。
さらに熱量はPOP広告だけではなく、
店長自ら店頭に立ちマイクパフォーマンスでその熱量を表現している場面も見られるのだ。
3.愛が凄すぎて引くほどのマイクパフォーマンス
変革ポイントその3、「マイクパフォーマンス」。
ここに来た際は一度は聞いてもらいたいパフォーマンス。
台本があるのか?と思わせるくらいのパフォーマンスに魅了されてしまう。そのすごい熱量から伝わるメッセージが私たち消費者の商品購買をあげています。
その熱さは「八ヶ岳の松岡修造」と呼ばれているほどです(笑)。
*実際のマイクパフォーマンスはこちらの動画から見れますので、是非見て下さい※
伝える為の言葉の選択と情報の密度
動画見ていただいて分かる通り、
これこそが本当の衝動買いが生まれる仕掛けではないだろうか。
こうしたパフォーマンスは一歩間違えればお客様に不快な気持ちを与え、購買意欲を減らす要因にもなりかねない。
だが伝える言葉と情報の密度が明確で適切な量であることによってお店側とお客様側の良い関係性が作られているのではないかと思う。
まさにお店とお客のコミュニケーションが生まれているのだ。
そして何よりもこの北杜市を愛し・生産者を愛し、買って食べてもらえる喜びを店長自ら体現していることで、言葉を通り越した人間性がもっとも伝わってくるマイクパフォーマンスなのだ。
こんな店長がいるスーパーマーケットで買い物したことがありますか?
6.まとめ
何でもネットで完結できる時代だからこそ、今求められるローカルスーパーの姿がここ「ひまわり市場」にはあるのではないだろうか。
私自身普段何気ない買い物の中で「楽しさ」を求めたことはこれまでなかった。だが、ひまわり市場を通してこの地域の生産者や何が今旬なのかを知り、食べてみたい物を毎回発見できることは、買い物欲を高ぶらせてくれている。
ひまわり市場が取り組んでいることは、その土地にしかないもの、その土地でしかできないことを表現することではないだろうか。
これからのローカルスーパーの在り方について教えてくるのが山梨県北杜市大泉町にある「ひまわり市場」だ。
最後まで読んで頂き有難うごさいました。
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