「DX人材」とは一体何なのか?
DX(Digital Transformation)という言葉と共に、「DX推進」や「DX人材」という概念や言葉を目にするようになりました。
私の周りでも、「DXを推進しろ」と上層部から発破をかけられたものの、一体何をすれば良いのか迷われている企業や責任者がたくさんいると感じています。
では、このDXやDX人材とは何かを明確に、具体的に把握して、ゴールに向かっている人はどのくらいいるのでしょうか?
『ゴールに到達するには、そのゴールが何なのかを明確に認識していなければならない』
これは、いつも私が問題解決やデータ分析活用においてお話している「最も大事な点」です。ですが、これがどうもできていないケースが多いのではないかと思うのです。
コロナ禍により、強制的に世界に浸透しつつある、新しい生き方や働き方(「働き方5.0」などとも言われるようです)に沿って、”これまでと違って”どのようなスキルがより多くの価値をもたらすか、という観点で考えてみましょう。
ここでは、DXとして扱う対象を「デジタルシステム」と呼んでみます。
その「デジタルシステム」をどうしたいのか。それによって、”必要なもの”(人やスキルなど)が全く異なります。
考えるべきポイントは以下です:
(1)自組織で実現したいことはそもそも何なのか
(2)それを実現するために必要な要素は何か
(3)自前で揃える範囲はどこまでか
私が直接的にサポートしている対象は、ズバリ「使う人」であり、その「使う人」が必要とするスキルの育成をしています。それは、私自身のこれまでの経歴に沿うものであると同時に、上記3つの箱の中で、最も(そして圧倒的に)対象となる人の数が大きいこともあります(対象人数が多ければ、その分、実現される価値の面積も大きくなる)。
これに加えて、更にこれからの時代に更なる価値を生み出せるスキルがここにたくさんあるとも考えています。一方で、このスキルに対する曖昧な認識や古い認識もまだ多いのも事実です。残念なことに、例えば「データ分析に必要なスキル」というと「統計知識を身に付けること」などと考えている人がまだ少なくありません。
この「使う人」のスキルには、”知っている方が良い”または”覚えておくと良い”要素はあまりありません。これは、これまでの時代に必要と言われてきたものとかなり異なります。
知識として知っておいた方が良いことは、DXの世界では人以外のものが記憶しておけばよいわけで、もっと大事なことは、それを「どう使うか」なのです。
もうとっくに「単純に知識を増やすこと」から生まれる価値が下がっている(ゼロではありませんが)という事実に真剣に目を向けるべき時代に入っているでしょう。
「何を知っているか」から「どう使うか」に近づけば近づくほど、教科書的に文章に記すことが難しくなります。ハードルが上がる分、教えることにも学ぶことにも価値が高くなるのです。
ここまで書いてきて、最初の問い「DX人材とは一体何なのか?」の答えについて考えてみます。
1)あなたの言うDXとは、3つの箱のどこを指しますか?
2)その上で、必要と考える人材像やスキルは何でしょう?
3)その人材やスキルは、”人で行うからこそ価値を発揮する”もしくは”マシーンなど人以外では実現できない”ことでしょうか?
この3つを考え抜くと答えが出る気がします。そして、その答えはケースによって違ってくるでしょう。
私自身は、DX時代(本当は、この表現自体個人的にはあまり好きではありません)に価値を増大させる「使うスキル」の更なる向上に邁進していきます。
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