2021トラックシーズン前半総括

この記事では、竹ノ内がこれまで苦手であったトラック種目(ここでは5000m,10000m)を本格的に強化することに決めた経緯、そのトレーニング内容を綴ったものである。自らの備忘録的な位置づけで書いたものであるが興味のある方は、覗いていって欲しい。

この記事で一番伝えたいこと

・考え方を変える~やればできる~
トラックのスピードは、才能だと考えていたが努力を続ければ獲得できる能力であると信じるようにした。絶対に自分にも出来ると日々言い聞かせた。
苦手な事を取得するにあたり、正しい努力を積めば必ずできるようになると自分自身が信じることが大切。

参考 Carol Susan Dweak 2016『マインドセット「やればできる」の研究』草思社

なぜ、トラックを本格的に強化するか

それは昨今のマラソンの高速化に対応するためである。これまで多くの日本人選手のレーススタイルは30kmまで3'00/kmで進み、ペースメーカーが外れてからの30km以降、いかに失速を抑えてゴールするかというものであった。
しかし、厚底シューズの登場により前半から3'00/kmより速いペースで進み、30km以降さらにペースアップするというスタイルに変わりつつあるのだ。例えば、2021年びわ湖毎日マラソンで日本記録を樹立した鈴木選手の走りが象徴的ではないか。
つまりトラックのスピードを高めることが出来れば、これまでよりもマラソンのレースペースを省エネで走れるようになり、それが後半のペースアップに繋がる。最も、変化走などの特異的な練習も必要であるが後半のペースアップを考える上では、トラックのスピードは重要な要素の一つと言える。

こうしたことから、トラックシーズンを迎えるにあたり今シーズンは明確なターゲットタイムを設定し、それをクリアするための取り組みを設定した。
タイムを狙うのは、7月のホクレンディスタンス。ただ、規模を縮小して開催されることから、ここ2年間トラックのタイムを持っていないためエントリーしても出場できない可能性があった。そこで、トラックシーズンを二つに分けた。

①ホクレンディスタンスに確実に出場できるタイムを狙う
5000m13分台、10000m28分40秒を狙うことにした。
・5/4 GGN→5/9 日体大記録会5000m
※GGNが中止となったため、日体大記録会にスライド
・5/14 関西実業団選手権10000m
(当初予定していなかった東海大記録会5/29にも出場した。)

②7月のホクレンでタイムを狙う
(ターゲットタイム5000m13'50 10000m28'20)

トレーニング計画

トレーニングで大切なことは、継続と積み重ね。
大切なことは、必要なトレーニングを適切な時期にきっちりとやることだと考えている。
そのため、狙うレースから逆算してトレーニング計画を立てることを大切にしている。

上述の通り、5月にターゲットレースをセットした。
そこから逆算すると

1月~2月基礎構築(ペース走、距離走中心)
3月スピード移行期(インターバルを徐々に増やす)
4月スピードの質をあげていく(速いペースでのトレーニングがメイン)

頭の中には、ぼんやりとこんなイメージがあった。
しかし元旦のニューイヤー駅伝後、アキレス腱に痛みが出たためトレーニングを中断。その後、jogを再開したのが1月28日。さらにペース走を再開したのが2月4日。
少し計画に狂いが出てしまったが、2月~3月中頃までを基礎構築に充てることにした。

トレーニング実績

トレーニング計画の前提
基本的に朝とメイン練習の二部練
走行距離は、1日30km目安
時期を問わず、長めのjog(20km~25km)や距離走は積極的に実施

2月
走行距離777km
2/4 8000m 26'38(3'20/km) 166bpm
2/7 16km 57'13(3'34/km) 149bpm
2/8 800m×5 R200m 2'18-2'18-2'17-2'19-2'18
2/11 24km 88'27(3'41/km) 138bpm
2/13 1000m×6 R200 2'57-2'57-3'00-2'57-2'59-2'58 163bpm
2/15 12000m39'52(3'20/km) 156bpm
2/17 朝jog中、転倒。膝打撲。
2/19 200m×10 膝打撲の影響はなし。
2/20 20km 72'15(3'36/km) 141bpm
2/22 400m×8 R200m(40")  69"~65" 173bpm
2/24 24km 86'26(3'36/km) 141bpm
2/27 4000m×2 R6' 11'48-11'39 170bpm-171bpm

距離走、ペース走が中心の時期。
時折、短いスピードを入れ同じ刺激ばかりが続かないように注意した。
怪我明けの影響もあり、身体はきついが我慢しながら地味なトレーニングをこなしていた。
27日の4000m×2本(2本目後輩の小林君に離されそうになりました(笑)彼はかなり余裕をもってこなしていた印象)である程度手ごたえを感じ故障から、順調に体力を戻せていることを実感。

3月
走行距離800km
3/1 12000m 40'03(3'20/km) 149bpm
3/3 1000m+2000m+1000m×4 R200m 164bpm
2'50-6'00-2'55-2'55-2'55-2'55
3/5 (300m×5)×3 R100m 50"-22"
3/9 30km 112'51(3'45/km) 145bpm
3/11  (300m×10)×2 R100m 50"-22"
3/13 25km 89'39(3'35/km) 144bpm
3/15 朝練習で足底に痛み。3日間ノーラン
3/19 jog再開
3/23 12000m+300m×2 39'36(3'18/km) 50"-49" 160bpm
3/26  (2000m×1000m)×2 R200m SR800m
5'57-2'45-5'57-2'43
3/29 12000m 39'15(3'16/km) 162bpm

3月中旬に、足底に痛みが出たが幸いにも軽症。
三日間のノーランで完治。
苦手なショートインターバルを入れつつ、引き続きベースづくり。

4月
走行距離762km
4/1 1000m+1000m×3+1000m R400m R'200m
2'45-2'53-2'53-2'54-2'42
4/3 20km 74'31(3'43/km)
4/512000m 39'46(3'18/km) 158bpm
4/8 1000m×2+400m×2 R200m-400m-200m 168bpm
2'46-2'46-63"-62"
4/10 中国実業団記録会5000m 14'17 174bpm
4/13 12000m 39'55 (3'20/km) 156bpm
4/15 600m×5 R200m
1'40-1'40-1'40-1'40-1'38
4/17 3000m×2→2本目を2000mに変更 R5' 8'33-5'37 166bpm-170bpm
※1本目で集団から離れる。
4/20 12000m+300m×3 39'51(3'19/km) 48"-48"-47" 155bpm
4/23 2000m+1000m+400m R4'-3' 169bpm
5'40-2'45-59'8
4/24 25kmjog (4'24/km)
4/27 12000m 39'23(3'17/km)+300m×5 158bpm-175bpm
49"3-49"1-49"5-49"9-47"1 
4/29 3000m×2 R600m 8'39-8'36 164bpm-172bpm

4月は予定通り記録会に出場しながらスピードの質、身体のキレを上げていくことに取り組んだ。前半は苦しい走りが続いたが、後半より調子が上がってくる感覚が現れる。
10日の記録会は、調整なし(jogの距離は減らさず)で出場。
1000m過ぎで独特なきつさが表れ、失速。14'10を目標にしていたが届かず。続く17日の3000m+2000mは、1本目の3000mで集団から離れる。この時は、次の2000mの方が身体が動いた。記録会でもそうであったが、序盤身体が動かない傾向があった。この対策として、23日よりアップの流しを100m×4~5本から200mを2~3本追加。結果、この日のポイントは序盤から身体が動いた。29日の3000m×2はレース時の中間走を想定したトレーニング。一人で行ったが、最後まで設定通り押し切れた。このポイントの後、徐々に調子が上がり始める。

5月
走行距離691km
5/2 800m×5+400m×3 R400mjog-200mjog
2'12-2'12-2'11-2'10-2'11-63"-64"-59" 164bpm
5/4 12000m 39'06 (3'15/km)+300m×5 167bpm-179bpm
48"0-48"3-48"3-48"6-46"7 
5/8 1000m×1 2'40
5/9 日体大記録会5000m 14'13
(2'47-2'55-2'50-2'55-2'44)
5/10 20kmjog
5/13 1200m+300m 3'22-43" 168bpm
5/14 関西実業団記録会 10000m 28'53 4位
(2'55-2'54-2'53-2'55-2'53-2'51-2'53-2'53-2'51-2'50)
5/19 24km 89'38(3'44/km)
5/22 1000m+2000m+1000m+400m R200m 169bpm
2'44-5'59-2'43-58" 
5/25 10000m 33'01 (3'18/km)+300m×5 154bpm-174bpm
48"7-49"1-49"4-49"4-48"6
5/28 1000m×1 2'42 167bpm
5/29 東海大学記録会5000m 14'01
(2'45-2'44-2'51-2'52-2'47)

5月は、レースに向けた仕上げの時期。
そのためVO2maxを刺激しつつ、ペース走で乱れた動きを整えることを重視した。
9日の日体大記録会は平凡なタイムに終わったが、レース内容は満足するものであった。苦手であったペースの上げ下げに対応し、ラスト1000mも身体が動き組2着とこれまでの取り組みの成果を感じた。
続く、関西選手権10000m。ラスト1000mのペースアップに対応できず表彰台を逃した。しかし、最低限28分台でまとめられ、後半5000mをペースアップできたことはよかった。
29日の東海大記録会は、急遽出場を決めた。関西選手権後、若干疲れが出始めていたため、高負荷のトレーニングは避け、ロングjogや距離走で繋ぐことに。結果、14'01と入社1年目以来の13分台が目前に。

前期まとめ

5000m 14'01
10000m 28'53

目標のタイムには、少し及ばなかったが、気象条件等を考慮すると及第点。
ペース変化にも対応できるようになり始め、後半も身体を動かすことができた。しかし強化は、まだまだ始まったばかりだ。
引き続き、トラック強化に必要なトレーニングを積み重ねていくのみ。

いよいよ次は、ホクレンディスタンス。
5000m13'50切り、10000m28分20を目指す。



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