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あるフリーライターおよびフードコーディネーターの一年(2022年お仕事ふりかえり)

昨年に引き続きまして、一年のお仕事を振り返るnote。ひとつひとつのお仕事に思い入れがあるため、プロフィールのようにはまとめきれず、大変長いです。また、フードコーディネーターのお仕事は、契約上名前が出せないものが多いので掲載しておりません。詳しくはお問い合わせくださいませ。


さて。
今年は、とてもとてもたくさんの本をつくりました。一冊まるっと関わることが多く、責任重大ではあったけれどそのぶんやりがいがあって楽しいものばかりでした。はじめてレシピ本の企画と編集もして、思い出深い一年となりました。

まず一冊目。はじめて「この人の本が作りたい!」と思って出版社に持ち込んだのは、お菓子研究家・本間節子さんの企画。糖質オフというかたちで企画がまとまり、夏いっぱいかけて撮影しました。

どんなお菓子をどのページに入れるのか、どんな構成がいいかどんな要素が必要か……そういうことをいちから考えるのはとてもひさしぶり。外部編集者としてではあるけれど、ライター業だけでは踏み込めないところに入り、じっくり向き合えた一冊。

本間先生のお菓子はシンプルで滋味深く、素材をしっかり選んで作られた、からだにやさしいお菓子。甘いものは好きだけど、40を過ぎて市販のお菓子を「甘すぎる」と思ったり、重たいなと感じることがあるのも事実。
いくつになってもおやつの時間を楽しめるように、そんな願いがこめられた本に仕上がりました。    

二冊目は『1年生からのらくらくレシピ』(文研出版)。
4巻のシリーズもので、編集を担当しています。小学一年生からチャレンジできるお菓子の本です。どういう表現だったら子どもにわかりやすいかな、ということをしみじみ考えた本。年内に出ているのは1、2巻のみで、2023年に3、4巻が出版されます。

監修は料理研究家の若宮寿子さん。
ページをめくるたびレシピが難しくなる章立てで、最初のほうはレンジだけだったり加熱の必要がないレシピなのですが、もう本当によく考えられているものばかり。イラストでの解説も加わって、めくっているだけで夢いっぱいの気持ちになる本でした(まだ全巻校了してないけど)。

それから忘れてはならないのが、YouTuber・ぼっち女Campさんの初めての著書『日本一おいしいソロキャンプ』(KADOKAWA)。

子どもを置いて二泊三日で撮影に行く、というのは初めてで、しかも子どもが小学校に入学して数日後というタイミング。どうなることやらハラハラの出張でしたが、撮影チームみんなで2泊もゆっくりキャンプができて、天気もよく、超楽しかったのでありました。

ぼっちさんはとっても素敵で聡明な方でした。親子ほど(でもない)年が離れてるんだろうけど、わたしなんかより百倍ものごとを考えている方で、とても勉強させていただいた出張でもあった。

膨大な量の文字を書くってことをすっかり忘れて、わー、楽しかったーって帰ってきましたが、そのあともちろん大変でございました。前半はソロキャンプのアイテムや方法などのご紹介、後半はぼっちさんのキャンプレシピで、こちらは調理も担当させていただきました。

ライターとフードっていう二足の草鞋がきっちり活きたお仕事となり、嬉しかった。こちら3刷までしております。すごくがんばったのはもちろん、Amazonのコメントにもあるとおり、とってもいい本に仕上がったので、ぜひ。(表紙は「ビールそそぐのうますぎる!」とカメラマンに褒められて嬉しかったショット)

そして四冊目は、フードのみで関わった一冊。
メスティンを使ったレシピを考える仕事だったのだけど、難しかったのが「自動レシピ」であること! つまり、メスティンの中に食材を入れて固形燃料に火をつけたら最後、できあがりまで何もいじらずほったらかしで料理が完成する……というお題でした。

成立させるのが難しいレシピもありましたが、うまくいったときの喜びはひとしお。固形燃料との戦いの日々でありました。

それから書きも料理もせず、ただただ子どもとモデルだけやってきた『プロが教えるキャンプ読本』(メイツ社)も発売になった年でした。こちら重版もされていて、キャンプシーズンになると、書店でも目立つ位置でお見かけします。こんなにたくさんの写真が使われると思わず、しつこいほど出ていておもしろい。キャンプしてみたいなというご家族にはぜひ一冊。

それから毎号書かせていただいている『CAMP LIFE』(山と渓谷社)でも、子どもと一緒にアクティビティーの楽しめるキャンプ施設を紹介しています。

また、昨年発売し、執筆とレシピ監修を担当している『キャンプでしたい100のこと』(西東社)は、韓国版が発売になりました。
前にしたことが今年また新しい喜びを生む……、という出来事はそんなに多くないし、不意にもらったプレゼントのような嬉しさがある。

そういえばおととし書いた、石井光太さんへの取材記事『日本で起きている
“子どもの貧困”の現実と、私たちにできること
』は、今年なんと教育学部の入試問題の資料として採用されたのでした。本の1ページがそうなることはあっても、web記事が選ばれることは稀ですよと石井さんに言っていただき、本当に嬉しかったなあ。

わたしが石井さんのファンで、また、そんなに簡単にはまとられないテーマであることから、普段このメディアではあり得ない膨大な文字量でまとめたわけですが、編集者に「どこも切れないよね」と言っていただき、そのまま公開したもの。熱い思いは誰かに届くんだなあと感じたできごとでした。

さて、続いてはwebの記事を。

今年最初の取材は、江戸から続く懐石料理屋「八百善」の11代目とともに懐石を作る、というお仕事からでした。兼ねてより江戸懐石を学んでいるので、八百善さんにお会いできるのはとても楽しみで、一緒に手を動かし、お料理ができたのも心に残ったできごとでした。
未知の細道『失われた東京の郷土料理を探しに

また、ずっと伺いたいと思ってきた柳染織工房への取材も、民藝の100年という年に偶然伺えて、感慨深いものがありました。
この、定期的に書かせていただいているweb媒体『せたがやンソン』では、世田谷区上町に新しくできた包丁屋「ひとひら東京」にも伺いました。

自分の街のいろんな場所を取材できることは、生活にも根づいていくので、とても大切な出会いばかり。いただいたご縁も大切にしています。
せたがやンソン『柳染織工房』『ひとひら東京

人物取材系ではCREAでも、香りと植物にまつわる方々にお話を伺いました。料理の次に、というか、料理と併せて興味を持っているのが、香りと植物のこと。植物は、自然療法をずっと取り入れてきたから身近で、食べることにも通ずるところがあり、わたしは植物をすぐ枯らしてしまう人ではあるのだけど、今後も取材はしていきたいなと思った分野のひとつです。
CREA web『山野辺喜子さん』『日本草木研究所

また、生産者取材はなかなか遠かったり出張だったりで伺えないのだけど、今年はメロン農家さんに伺う機会がありました。
SHUN GATE『鉾田のメロン

もう長らく続いているweb『@Living』では、主に料理家さんへの取材を担当していて、今年は17名もの料理家さんのところに伺っていました。
料理とはまったく違う企画『おすすめイヤホン』の記事も、取材がとても楽しかった。おすすめされるがままに、娘にイヤホンを買いました。

書くという視点では、改訳新版版が出るたび本のリーフレットを書かせていただいているのが『おさかなちゃん』。翻訳家さんへの取材を通して、絵本の楽しみ方や改訳のポイントなどをまとめています。

他にも単発で書かせていただいたお仕事があれこれありましたが、全部書けないので、ひとまずこんなもので。

続いてはお料理。

わたしは、半分くらいは書く仕事をしていて、もう半分はお料理の仕事をしています。料理が多いなという月もあれば、書くことばっかりだなという月もあって、でもならしてみると半分くらい。比率はただの結果論です。

料理の仕事はさらに2つに分かれていて、ひとつは料理家としての仕事。こちらは名前が出るタイプのもので、レシピを考えています。
もうひとつはフードコーディネーターの仕事で、先の通りご紹介できない案件が多いのですが、誰もが知っている企業のサイトに載るレシピを考えたり、キャンペーンやプロモーション用のお料理を作ったりスタイリングしたりしています。スーパーで展開している動画やポスターなどでも、自分の料理を見かけることがあります。

料理家としては、今年は『CREA』のアウトドア特集ページで、たくさんのキャンプ料理を作らせていただきました。

鉄板レシピや、メスティン朝ごはんからはじまり、アウトドアで使いたい調味料の紹介や、洗剤のプロモーション缶詰レシピカルディレシピべランピングなどなど。

うまく自分のやりたいことが入れられたなと思ったのは、持続可能な社会を作るために考えられた缶詰を使って、レシピを考えたこと。「CANCAMP」みたいなレシピがもっと作れたらいいな。

日常のお料理も、『くらしラク〜る11月号』(PHP研究所)に掲載していただきました。先ほどの『@Living』ではキャベツのレシピも。

それから『フットマークナチュラル』では料理を担当して、動画とスチールを撮影していただきました。

あと、これはまたかなり特殊なお仕事だけど、林部智史さんのMV『いずこ』に子どもたちと出演していて、お料理を作っています。わたしはもともと役者をしていたので、ときおりこんな仕事がやってくるのも、過去にしてきたことが活きているようで嬉しいことなのでした。

さて、最後になりましたが、今年初めて挑戦したのが「ワークショップ」。

料理教室をしないのか、というお問い合わせをときどきいただくのだけど、人に説明するのはそんなに得意ではないし、料理教室は他にたくさん魅力的なところがあるので、人に教えようなどという気はさらさらないのですが、子どもと一緒に料理をする、というのは好きで、そんな思いからご縁をいただきました。

いずれも子どもたちとホットサンドを作る、というワークショップで、今後も機会があったらやってみたいなと思うことのひとつ。
わたしの住む世田谷区では、不登校で日中行く場所がない子どもたちが増えていたり、親の帰りが遅い子どもたちがいたり、ひとり親家庭で料理経験がなかなか重ねられない子どもたちがいたり、そんな話を耳にすることも多いので、料理が助けになる機会があったらいいなと思っています。

というわけで、お仕事のまとめはここまで。

フリーランスの人はみんなそうかもしれないけれど、わたしはどの仕事も好き。好きな仕事を選んでるのではなく、せっかくやるなら好きだって思えるようにやっていきたいタイプです。

基本的には「執筆と料理」がわたしのテーマでありますが、自分にできることはいろいろやってみたい。来年は、料理じゃないところで何か一冊出せたらいいな、という目標を掲げてみようかなと思っています。また同時に、もちろん料理についても、さらに深く考えていこうと思っています。

魅力的なものや人は他にゴマンとあるなかで、自分が関わる意味はなんだろうかと考えるのではなく、自分が関わる意味を持たせること作ること、を追求していきたい。今までやったことなかったけど、そういうのありかもしれないね、でも失敗するかもしれないね、というところにチャレンジしていきたい。

幸いにも、まわりにはそうやって一緒に考えて挑戦してくれる方がいるので、締切に追われながらも、わたしなりの「新しい景色」を作っていきたいと思います(この言葉、大好きになった)。

長々とここまで読んでくださった人……ありがとう!!
そしてたくさんのチャンスとチャレンジの機会をくださったみなみなさま、
ありがとうございました!

どうぞ2023年もよろしくお願いいたします。



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