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3月17日、蕗のおひたし

蕗の皮をむいていると、思いだすことがある。小学校低学年のころよくとおっていた通学路に、蕗のようなストロー型の植物が生えていて、その皮をむいて齧りながら帰った。

母が教えてくれた。まだひとりで家まで帰れなかったころだから、小学校にあがってすぐだったんだろう。これ食べられるんだよと皮をむいてむしゃむしゃと食べはじめ、ぎょっとして母を見ると、太いほうがおいしいよとその茎を渡された。

ならって皮をむくとみずみずしく、緑色の水がしたたりそうだった。でも齧ると渋かった。すっぱくて、筋っぽくて、おいしいとは言えなかったが、なんとなくこの道をとおるときはよくこの植物を齧りながら帰ったし、友だちにも教えた。みんな「うげ!まずい!ぺっぺ!」と吐いたけれど、わたしはそこまでじゃなかったから日々食べ続けた。

おいしくはないけどまあまあおいしい、くらいものを探すのも楽しかった。細いものは硬くて食べられない。中太くらいのものでも、渋さが尋常じゃないものもある。太くて、皮をむいたときみずみずしいものはしゃりしゃりしていてまあまあおいしい。これが皮をむいてみないとわからないもんで、通学路に佇んでさんざんむき散らかした気がする。

母は「すかんぽ」と言っていた。変な名前だが、タピオカを飲むストローのように太くて柔らかい茎には似合っている。すか、という部分がすかすかの穴を指しているんだろうと勝手に思っていた(全然違う)。

大人になってから、道の駅とか山の中の産直でごくたまに同じ植物を見かけたことがある。「すかんぽ」ではなく「いたどり」が正しい名前だそうだ。ごまあえとかおひたしとかにして食べるそうだ、蕗のように。

小学生のころ以来、食べたことはない。でも必ず蕗の皮をむくと思いだす。

蕗のおひたし
蕗は塩をまぶしていたずりする。
熱湯でさっとゆがき、冷水にとって冷やす。冷えたらざるにあげる。
おだしとしょうゆ、酒、砂糖、塩などお好みで沸かし、蕗を浸して冷蔵庫でよく冷やす。




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