見出し画像

【資本主義をチートする07】マイホームは半額で買うものだ。

 わたくしヨシイエが子供の頃から愛読してやまない漫画に「パタリロ」という大名作がある。

 作者の魔夜峰夫さんは、今だと「翔んで埼玉」のほうが有名だが、実は「パタリロ」は、もう40年以上も連載されている、「こち亀」に匹敵する大長編漫画である。

 そのパタリロの名言に守銭奴である主人公が言う

「1円節約することは1円儲けるのと同じことだ」

という台詞があるのだが、当たり前のことながら奥深い。


 そこで、前回までは「儲ける」(つまり、お金をゲットする)話が中心で、ちょっと脂っこかったので、今回は逆の視点で口直しといってみよう。

 当然ながら、100万円節約できれば、100万円儲けたのと同じ事で、とてもうれしい。うれしいったらありゃしない。いや、喜んでいる場合ではなく、100万円分の労働を考えるとそりゃあ大変なのだから、ある意味「不労所得」のようなものだと考えても差し支えない。


 さて、わたくしヨシイエは、「半額でマイホームを買った」ことがある。今のところ2軒の不動産を所有しているが、いろんな意味で、2軒とも半額で買ったと言ってよい。

 ちなみに、最初の家は、「800万円節約」できた。そう!ざっくり言えば1600万円の家を800万円しか払わずに入手したのである。

 もっと厳密に言うと、うちの家は中古のリフォーム済み一戸建てだったのだが、1680万円が売り出し価格で、途中で一度価格改訂があり1280万になり、最終的にヨシイエが買ったのが980万円で、かつ住宅ローン減税で100万円戻ってきたので、

1680ー(980ー100)=800万円浮いた

ことになるわけである。


 もう一軒の家は、今他人に貸しているのだが、1000万の売り出し価格だったのが、最終的には500万円で買った。だからこちらも半額である。


 こんな風に書くと、ヨシイエはさぞすごいことをやっているかのように見えるかもしれないが、何もたいしたことはない。ここ、大事だから耳の穴をかっぽじって聞いてほしいのだが、

 不動産において500万円くらいの差は、一夜で消えるものである

ということが、テッパン当然当たり前の事実だ。

 ヨシイエは小説が好きで、ミステリー好きなので、「消えた500万円事件」として不動産推理小説を書きたいくらいだが、実は「屋根裏の徘徊者」というネタも温めていて、まるで江戸川乱歩の「屋根裏の散歩者」のオマージュみたいだな、と思っていたら、本当に某レオ○レスのアパートの壁が屋根裏まで到達していなくて、冗談抜きに屋根裏を徘徊できるような

仕様です(キリッ)

になっていたので、これはさすがに笑えないとボツにした。


 しかし、500万円のほうはよく消える(笑)。ヨシイエさんはもともと「年収300万円の僕が4LDK庭付き一戸建てマイホームを買えた理由」というブログを書いていたこともあって、不動産ネタがメインだったのだけれども、

何回も500万円が消える

瞬間に出くわしたことがある。

「ぶわっかもーん!そいつがルパンだ!」

と叫んでみても後のまつり、500万円はすっきり跡形もなく消え失せたのだ。


 というわけで、マイホームが半額で買えたり、大金が消失したり、一体全体何が起きているのか、ということを一緒に考えてゆこう。そう、これはもちろん「資本主義のしくみ」の話だからである。

 この「資本主義社会」に生きているヨシイエさんは、ちょっとしたチート術を使うことで、800万やら、500万やらを節約し、儲けることができたのだ。


☆ちなみに、うちの本業のお客の一人が、600万円の負債を抱えて倒産しやがった。わが社の損失は、10万円ぽっきりだったが、それにしても600万ごときで自己破産だなんて、しょーもないにもほどがある。たかだがベンツ一台ではないか!

 そうだ。志ある若者のために、倒産するときのチート術、裏技を教えておこう。今回自己破産した彼は、そのことを知らなかったので、これから人生苦労するだろうが、この記事を読んだあなたは大丈夫だ。ぜひ活用してほしい。

 何か事業をしていて、倒産しバンザイするときは、その事業の仕入先に迷惑をかけてはいけない。たとえば、あなたがちっちゃな工事店を運営していて、何かを仕入れて工事をして、お金を稼ぐ仕事をしているとしようじゃないか。その場合、仕入先に「売掛金」が発生するだろう。つまり、仕入れ品の代金を後回しにしている平たくいえば「ツケ」である。

 さて、事業が立ち行かなくなり、「ツケ」を払わず、踏み倒すと、あなたは同じ業種で二度と仕事をすることはできない。業界全体に、あなたの話がすぐに伝わるからである。そして、あなたは二度と、その業界から仕入れをすることができなくなる。

 ところが、おなじ600万円の借金でも、たとえば金融業者から全額借りて、仕入先には「全額ツケを支払う」ことを澄ませておけば、いったん破産しても「仕入先にはいっさい迷惑をかけていない」ので、踏み倒した相手は金融業者のみということになる。

 その場合、ほとぼりが冷めればもう一度、仕入れ先はあなたに商品を販売してくれる。なぜなら、「関係に傷がついていない」からである。


 さて、ここまで読んで「自分は事業をしていないので、僕たち私たちには関係のない話だ」と思っている人がいるかもしれないが、実はそうではない。このルールはすべての人に適用されるので、覚えておくに限るのだ。

 たとえば、住宅ローンを借りていて、いろんな事業でローンが払えなくなりそうだとしよう。その場合は、上の話とまったく同じで、「住宅ローンを払う相手との間に傷がつかない」状況を気にかけてほしい。

 つまり、「住宅ローンのリスケ(リ・スケジュール・返済計画の変更)」を願い出る時、「まだ一回も滞納していない」間であれば、あなたは「銀行にとって顧客」であるが、「一回でも滞納してしまうと」あなたは「敵認定」されてしまうのである!

 傷がついていなければ、返済変更にも相談に乗ってくれるが、傷がついてしまえば、「不良債権、悪徳債務者」に早変わりというわけだ。これが資本主義の基礎的なルールである。

(なぜなら、ツケやローンは「信用」だけをベースにしており、その「信用」とは約束を破っていないというその一点だけで成立するからである)


 時を戻そう。ひゅーう。

 そうそう、500万円が消える話である。ヨシイエさんは懇意にしていた不動産屋さんに、よもやま話をするために定期的に出入りしていたのだが、そこで500万円が一夜にして消え失せるのを何度も目にした。

 どういうことかというと、朝不動産屋さんに行ってみると、チラシが増えているのである「最後の一区画です!今なら500万オフ!」と。

 建売や建築条件付き分譲の場合、6とか10くらいの区画割をして、そこに一戸建てが建つ売買が多いのだが、1500万円の区画が、最後の売れ残りだけ1000万円になったりすることは日常茶飯事だ。

 「おいおい!最初の区画を買った人は丸損じゃねえか!」と言いたくもなるが、これと同じ話は「マンションの1期分譲と2期分譲で価格が違う」なんて場合でもゴロゴロ転がっている。

 やってることは、夕方にスーパーで刺身が半額になったり、30%オフになったりしているのとまったく同じことなのだが、不動産だと額がでかいので、数百万が消えるなんてことはよくある。

 それを知らないのは「定期的にその地域の価格を見ていない」から、という理由だけである。


 資本主義の本質は「情報の非対称性」だけである、とこれまでに何度も書いているが、どんなアホでも定期的におなじ地域の不動産価格をある程度の期間見ていれば、「値動き」がどうなっているのか丸見えでわかる。

 一時、その瞬間調べるだけだと、「今の情報」しか入らないから、安値で買うことはできないが、ある程度の期間見ていれば(1年程度でもいいが、3年くらいがベスト)、「底値」は自ずとわかる。

 スーパーと同じで、昼間と夜に値段を見にきているだけなのだが、不動産の場合は「夜」がいつかわからないので、継続が必要なのである。


 もっとおもしろいことがある。例えば3年スパンくらいで物件を見ていると、「Aという物件が競売にかけられた」「Aという物件が1000万円で落札された」「Aという物件を業者が買って一部リノベした」「Aという物件が2500万円で売りに出された」という動きが全部わかったりする。

 そうすると、競売前の状態を知っていたら、「ははあ、トイレと風呂だけ新品か。じゃあ、変更になったのは数百万の部分までだな」と読めるから、最終売値が何円であれば「お得」であったか、あるいは2500万円なら業者の利幅が何円あったのか、まで全部わかるのだ。

 トイレと風呂の値段?そんなもんヤマダ電器かジョーシンにいけば全部リフォームカタログに載ってる。


 我が家の経歴を正確に書くと、中古住宅として再販業者に買い取られた値段はおそらく600万円で、フルリフォーム(屋根・壁塗装、壁紙チェンジ、風呂トイレ新設、電灯類新設、駐車場増設)して1680万の価格設定であった。

ところが、同時期に3棟くらい同じように販売したものだから、最後の1つが売れ残って1280万に値下げ、それでも決算期まで残ったから、在庫処分で980万という流れである。仕入れ額から差が380万あるから、一般価格だとギリギリきついが、業者の施工原価でみると、トントンだからそれでも販売主は損はしていない。その間隙をついて買い付けを入れたのがヨシイエさんというわけである。


 もう一軒のほうは、ちょっと特殊なのだが、そもそも建物そのものは「倉庫」だった。それを前オーナーが「倉庫リノベ」をしたかったらしく、水回りを全部いれて、バス・トイレ・流し台・洗濯機置き場などを新設した上、無垢板を貼って一・二階ともただの倉庫から居室へと仕上げたものである。だから外側は倉庫だけれども、中身はムク材のログハウスに見えるという、まさに外装は荒っぽいが中身はお洒落な「狼の皮をかぶった羊」のような物件だったのである。

 だから前オーナーは、全部持ち出しで1500万くらい突っ込んでいるので、1000万くらいで売りたかったのだが、誰も好き好んで外から見て「倉庫」な物件を買わないから、いよいよ彼が遠方に引っ越す段になって、500万で叩き売ったのである。


 ちなみに、どちらの物件もヨシイエは、それぞれ1680万、1000万の時に「内見」を澄ませてじっくり見ている。初期にちゃんと中身を見ているからこそ、安くなったときに即買い付けができたのであーる。

 見るのはタダだぞ。


 というわけで、資本主義の仕組みをしっていると「500万や1000万でガタガタしない」度胸が出来上がる。そして、値動きのキモもわかってくる。

 昨日も、奥さんが冷蔵庫を買えというものだから、10万5千円の冷蔵庫が型落ちになった瞬間を狙って買いに行ったのだが、現品限り5万円になった。ほら、半額で買えた。資本主義チート術では、なんでも半額で買うものなのである。


 これもすっごい余談なのだが、中古でもいいかマイホームを2軒持っていると、何かあったときに使いまわしが利くから生きやすさが大きく変わってくる。たとえば災害があっても、一方が川に流され、地震でやられてもあと一つが残っている。たとえば嫁はんと別れることになっても、快くくれてやることだってできる。

 これが新築で3980万もぶちこんで、70歳まで住宅ローンを抱えて欠陥住宅だったりしたら目も当てられない。それくらいならヨシイエは4000万もあるなら4棟買って2棟貸して、家賃で残りの2棟分の支払いに当てたりするだろう。つまり、最終的には半額で買うことになるわけだ。


 今回のまとめは「資本主義の信用、とは支払いが遅れないことである」という世知辛い話と、「資本主義における価格、とは売れ残りが出るとほぼゼロベースになる」という話だった。というより、そもそも「売れ残っても利益が出る価格」というのが値付けの真髄だ、ということに気づくことが大事かもしれない。




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?