SonnyBoy1・2・3話考察「VRカノジョで人生やり直す」

1話

1話最大のカギはやはり、漂流に至るモノローグにあると思う。

職員室で長良と先生が面談している中、希が覗くシーン。

そもそも希は他の先生と話をしているのに、この瞬間に覗くというのはおかしい。そしてちゃんとそれを示すように希が先生からプリントを貰う描写がある。

最終話まで見て思ったのは、この覗いてから長良に話しかけるまでの希はやはりコピーの希だったのだろう。

屋上で話しかけた際、希が長良の名前を知っていたことから、屋上の希もコピーだろう。

本来の希は長良とそもそも話をするなんてことはなかったのである。

だが、このコピーされた希はやたらめったら長良を気にかける。

そうしてアプローチする希の「たんぽぽ派?ひまわり派?」という問いかけに、長良が「たんぽぽ派」といって前を進むことを告げた。

この本来ならばありえないであろう関係が漂流を契機に実現したのである。

これは想像になるが、つまりこの漂流は神が主導したが、それを望んだのは長良も同じだったのではないだろうか?

漂流のトリガーは希に問い詰められたことで「逃げたい。」と思ったところに、なぜかカギがかかっていて外に出られなかったから能力で漂流を引き起こしてしまった。

11話にて、希は「それから職員室の隅で、しみったれた顔をした男の子を見つけたら、首根っこひっ捕まえて質問するの。」と長良に言う。

これはまさしく1話と同じ構図になっている。本来ありえない関係が漂流によって起こり得た。

つまり、無意識の内に能力を使ったように、無意識の内に自分が変われる環境を求めたのかもしれない。

それが長良の「観測者」の能力としての世界構築だったのかもしれない。

それは、6話で校長が長良に言う「君がいるからこの世界は存在する。」から、この作品が始まるという瞬間そのものも指していると考えることが出来る。

だから1話ラストで希が飛び立とうとしたとき長良は希の手を掴んでしまう。

このまま行けば希は本当に帰れたのだろう。だが、そうしてしまえば長良がわざわざ彼女を呼んだ意味がなくなる。

そして帰っても希に待つ運命は終わりしかない。

ただそれは、12話の校長が見せる幻影だったことから考えるに、希に帰って欲しくない理由を校長は作っていた。

だが、そうしていく中で長良はそうして自身が望んだ存在である希のお陰で変わっていき、最後に自分から飛び出すことを選択できた。

ある種、漂流というのは12話のラストで長良が変われる理由を希に求めて見た夢だったとも言える。自分の人生を前向きに納得できる理由としてこの物語を夢想したとも。

ただ実際は、中3の夏に望んだ自分を救ってくれる存在を無意識に作り上げたが、そんな彼女が自分で歩き出し、自分もそんな彼女のお陰で変われた。

だから最後にそんな彼女が望む最後にたどり着けたことで、彼女はオリジナルの人生を歩み、自分は未練を捨てることが出来た。かなり円満なEDだったと思う。

2話

やらせポニー。

ほいで先生と瑞穂の関係。

そして元の世界で瑞穂はポニーに謝らなかったことで、明星の圧力により先生は監督不行届でいなくなる。

それを漂流世界でのトラ失踪との関係に落とし込む。

今度はトラを失ってしまう。

「お互い事情がある。」
「そんなの誤魔化しです。」
「正しいだけじゃ上手くいかないこともあるんだよ。」
「でも私は嫌なんです。」
「だとしたら君はまだ子どもでも良いんじゃないかな。」
「そうですか。」

先生を引き合いに出すホシ

「君が謝れや〜。」ポニーの尻拭いをするホシ。

→今回もまた失うぞ色々と宣告する。それを分かってる間に揺れて
→「みんなインチキだ。」と言う。

そこへ長良が来る。僕のせいなんだ。僕が余計なこと言ったせいで。みんなが…

→炎が二人を包む、希はアツいと言うものの長良は気にしない。
それは自分以外を拒む炎ということだろう。そして拒めない何かがあるものは燃えない(学校とか)

まあつまり、得てして長良は自分と同じやまびこの世界を見つけてしまった。

そこで皆が暮らそうとするから。セキュリティとして燃える。

対価を払うと燃えなくなるのは何でだ?

別に遅かれ早かれ私が疑われてた。

でもごめん

そこでネコを渡す。この相補性が肝なんだよね。逆側の助け、見つけること。

この細やかな思いやりで、瑞穂は長良に驕るようになるというわけだ、

→希が「いつまで不貞腐れてるの。」と本当のことを告げる。

ここでのやり取りは外に出ようとする瑞穂で、戦争が希で、こだまが長良で、

それを見たヤマビコが出ることができた。

瑞穂の成長もここからある。

そうして、自分の若さゆえに住居をダメにしてしまった瑞穂。

朝風の重力の力で雲をおびき寄せ雨を降らせて鎮火を思いつくラジダニ。

(セリフにはないが絵だけで読み取ってね。)

どうせ僕たちに世界は変えられないんだ。だから大丈夫だよ。

うん。

→これがラストにつながってるのは、希が長良を変えたように、長良が瑞穂を変えたシーンが
ここでは描かれたからんだね。それをまあ心情説明しないから分からないのなんの。

以下12話考察から抜粋。

2話で瑞穂は、ポニーの炎上に加担し、ポニーに謝らなかったがゆえに明星の圧力故か、資料室にいた先生が監督不行届としてクビになってしまった。

そこへの後悔に続き、2話でもまたあのことを謝らなければみんな生きていけなくなると脅され、今度はみんなインチキだと言い放って、札束を振らせて島を燃やした。

そうして世界を変えようとして変えられなかった、瑞穂の怒りは逆に彼女から全てを失わせていく。

2話での先生のやりとり
「お互い事情がある。」
「そんなの誤魔化しです。」
「正しいだけじゃ上手くいかないこともあるんだよ。」
「でも私は嫌なんです。」
「だとしたら君はまだ子どもでも良いんじゃないかな。」
「そうですか。」

から、先生は答えの一部を提示していた。だが瑞穂は間違えた。

そうして失った瑞穂に対し、長良はその先生を代弁するかのように

「どうせ僕たちに世界は変えられないんだ。だから大丈夫だよ。」
という。

炎上加担で敵を倒そうとしても、嘘くさい生徒会連中の政治体制を破壊しようとしても、結局何も変わらない。だから君は君のままで大丈夫なんだよ。

そう言われたことで瑞穂は、長良が希のおかげで変わっていったように、瑞穂もまた長良のおかげで変われたのである。

世界への怒り、でもそうして動く世界は仕方ないということを受け入れて瑞穂は少し大人になった。

ここでは暮らせないね。

それを聞いてそっちをチラミしてた長良が前を向くと世界がもとに戻る。
まあ無意識のサプライズってやつですか。或いは、ヤマビコが世界作り直したのかなあ。
→外に出られたから。ありがとうねってことで。

ラジダニが最後に

「炎上せずにもののやり取りが出来るのです。」

言ったのってそういうことか。

つまるところ「最初の何か時事ネタっぽい感じがいやだなあ」って思ってたけど、それが今回の通底するテーマだったということなのだろう。

瑞穂が炎上加担→先生がいなくなる。 この世界のやりとり→島が燃える。

という風に実は1話毎に出されている謎みたいなものだと思ってたもの(先生と瑞穂の関係)はちゃんと1話の中で終わるように構成されているし、それ以上の意味性をもたせないように構成している。

だから最終回でも、あらゆる舞台装置が最後意味をなさなくなるのもそういうこと。

それを履き違えてストリーとしてのあれこれを考えてしまうからこの話の根本を掴みそこねる。

トラと瑞穂でありがとうと言って麦わら帽子。決済しなくちゃ→この世界の仕組み。驕りだから→この驕りを長良だけの好意だと受け取れなかったから3話に続く。

最後に、希はこの世界に来てしまったことで、光の位置が遠くなったことを告げる。

それはまさしくこの世界に突入してしまったことで、この世界からの帰還、作品からの帰還が遠のく。

やはり希は、この現実と作品との距離を指し示す存在だったのだ。

3話

初見で3話は「輪るピングドラム」の印象が強かった。

箱に閉じこもってしまう人たちは誰かが見つけること、運命の果実を分け合うことで救われる。

それはまさしくカーテンを上げて見つけてあげるということに近いと思った。

だが、実際には外へ出されたことで、一部の人間にはより一層ヘイトを買ってしまった。

つまり、本当に救うとなると最後にフォローが必要だった。

けれども、形は違えどその役割はなんだかんだアキ先生が果たしたんではないかと思う。

役割を持てなかった彼らは兵士としての役を演じた。その中では少なくとも閉じこもることはなかった。

だが、10話で加賀くんは何者にもなれなかったと独白する、まさしくピンドラと同じ流れ。

そうしてピンドラでは陽毬を失いかけたように、運命の至る場所にて希を失った。

ただこの回の重要ポイントは2話の続きで、長良と瑞穂が本格的にブツカッたことだろう。

お互い不器用ながら痛いところを突き続けた。そうして最後に二人が協力することで一応の解決を見た。

ブツからないと分かんないことがあるとは正しく、箱に閉じこもった人を救う特効薬だったのかもしれない。

最後に

1話は何だか、「こんな子に人生肯定して欲しい」という願望が形になったような1話だったと思う。

つまり現実に落とし込むと、VRゲームで漂流して帰ってくる話とも捉えることが出来るかもしれない。

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