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平屋を建てる 9週目

20240618記

上棟の予定が7月4日に決まった。上棟というのは、コンクリートの基礎ができて、その上に木材の土台、骨組みを組み立て、梁をわたし、家の骨格の全体ができあがる状態のことをさすらしい。上棟したら、あとは屋根をふき、壁を作り込み、といった順番でまず家の外側をつくり、そうしてから、内部の工事に入っていく。おおむねそんな風にイメージしているのだが、正確ではないかもしれない。

昔は上棟できたタイミングで近隣の人たちを呼んで、お菓子やお餅を家の中から外にいる人に向けて投げてまいたりするイベントがあった。僕も親戚の家に遊びに行ったときに、近所の家で上棟式があるといって、いとこと一緒に参加したことがある。二階建ての家だったから、家の主は二階から下にいる僕たちに向かって、お菓子やお餅をばらまいた。お菓子やお餅だったと思う。地面に落ちたものをひろおうとして屈んだときに上から降ってきた固い何かが頭にぶつかってとても痛かったのを覚えている。そうやって、新しい家が周囲の人たちにお披露目され、受け入れられていく。今ではもうほとんど見なくなった光景だ。

周囲の人たちを呼ばずとも、大工さんをねぎらって、建てている最中の建物の中でご飯やお酒をふるまうイベントはあるようだ。家を建てた体験記や著名な建築家の本を読むと、そうした記述を見かける。それならやってもいいかもと思わないでもないが、なんだか大げさなような気がして、気が引けてしまう。僕たちは上棟を迎えても、とり立てて何かをやるということはしないことに決めた。あるのは、工務店と建築家への何度目かの支払いである。

土曜日の朝、現地を訪ねようと道を歩いていくと、大きなトラックが道幅いっぱいにふさいでいるのが見えた。トラックの前面の顔の部分の横幅だけで、道路をまるごとふさいでしまっていた。デカい。よく見るとミキサー車だった。今日も作業をしているらしい。道が通れないので、別ルートで土地を見に行く。何人かがせわしなく動いていて、コンクリートを型枠の中に流し込んでいた。数えると5人で、ひとかたまりになって移動しながら、作業していた。いままさに進行中の作業を見て、ずっと見ているわけにも行かず、明日また見にくればいいと考えてすぐに立ち去った。

日曜日。再び、土地を訪れる。ベースとなる平らなコンクリート部分はできていて、今度は図面をなぞるような形で垂直にコンクリート壁を立ち上げるようにコンパネが細かく組まれていた。コンパネとコンパネを並行に建てて並べて、そのなかに鉄筋を組み、そこへコンクリートを流し込んで固めることによって、木材の基礎を置くベースを作っているのだ。高さは30cmから50cmくらいだろうか。昨日やっていた作業はこの細長い穴へコンクリートを流し込む作業だったのだろう。コンクリートが底までしっかり詰まるようにスクリューでかき混ぜたりしていたのだと思う。

基礎が徐々にできてくる。着実に進んでいる。でもまだ完成は先なのである。じれったい。早く住みたいなあと思う。狭いのではないか、とここへ来るたびに妻が言うので、そんなことないよと繰り返し答える。

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