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インドのナグプールに(南天竜宮城)に行った話12 (マンセル遺跡篇)

久々の投稿になります。 


ナグプール滞在中、私は佐々井秀麗師と弟子のTさんからマンセル遺跡に連れて行ってもらいました。

マンセル遺跡とは、佐々井秀麗師が発見した南天鉄塔の跡だと目される遺跡のことです。

では、「南天鉄塔」とは何でしょうか。

真言密教には、 「付法の八祖」と呼ばれる人(ほとけ!?)たちの名が伝わっております。

まず、密教の教主である「大日如来(だいにちにょらい)」が第一祖 、そして「金剛薩埵( こんごうさった )」「 龍猛菩薩(りゅうみょうぼさつ)」 、「   龍智菩薩( りゅうちぼさつ )」、 「金剛智三蔵(こんごうちさんぞう)」 、 「不空三蔵(ふくうさんぞう)」 、「 恵果和尚 (けいかおしょう)」と続き、我が国の「弘法大師・空海(こうぼうだいし・くうかい)」が第八祖とされています。


言うまでもなく、密教は仏教から派生したものであり、また「密教」とは文字通り「秘密の教え」という意味で、歴史を経るにつれて仏教の神秘主義思想が土着の宗教やバラモン教・ヒンドゥー教などの影響を受け発達し形成されたものです。

従来の仏教ではもちろん、実在したお釈迦様ことゴータマ・シッダールタを教主としますが、密教では、「大日如来」という架空の仏を教主とします。

しかもその大日如来は、宇宙の真理そのもの法身で、この世の悉くの現象は大日如来の現象である、また色も姿も形もない法身でありながら過去・現世・未来の三世において常に説法を行っていると云われています。とんでもないスケールの話です。


その大日如来が説いた教義を、南天竺( 南インド )の金剛薩埵(こんごうさった)が受け継ぎ、その経典を南インドのどこかに鉄塔を立てて秘蔵した。この鉄塔が「南天鉄塔」です。

時代は下り、” 竜宮 ”のどこかにあるとされるこの南天鉄塔を開き、そこで文殊菩薩もしくは竜王菩薩から教義を授かったのが、第三祖の「龍猛(りゅうもう)」であり、彼は大乗仏教の興隆者「龍樹 (りゅうじゅ):ナーガルジュナ」、つまり、佐々井秀嶺師を夢告によりナグプールに導いた聖者と同一人物だとされております。 (龍樹と龍猛は別人物であるという説ももちろんあり、戦前から長く論争が行われているようですがここではその話はしません。)


また、真言密教天台密教ではこの伝説の内容が若干異なっており、天台密教では、龍樹は塔外で文殊菩薩から教義を授かったと伝わっているそうです。(塔外相承)

また、この塔は、架空の象徴的なものであり、実在したものではないという「理塔説」と、実在したとする「事塔説」とがあり、これまた決着がついていないようです。

しかし、真言密教の第八祖である弘法大師・空海は、」

「南天鉄塔は実在した」


と明言しているとのことです。


これはナグプール滞在中に聞いたことですが、京都の仁和寺の秘蔵の、弘法大師が描いたとされる「南天鉄塔図」をお忍びで持ってきた人がいたらしいのですが、その「南天鉄塔図」と、マンセル遺跡はそっくりだったのだとか

弘法大師はインドには行ってないはずですが、南天鉄塔の実在を明言しているという根拠はどこにあるのか!?と思ったりしますが、弘法大師のことですから、神通力でもって、日本からインドを眺めたのでしょうか。もしくは霊的存在と交流したとかで誰かが教えてくれたのでしょうか。 弘法大師は謎めき過ぎていて我々常人の思考や常識をもって計ることができません。


佐々井秀嶺師は、インドのラージギルでの修行をやめ日本に帰ろうとするその日のまさに前夜に、「龍樹(りゅうじゅ:ナーガルジュナ)」が現れ、

「汝速やかに南天竜宮城に行け、南天鉄塔もまたそこに在り」

という夢告を受けています。 

南天竜宮城とはナーグプールのことで、「ナーガ(龍)」+「プール(宮城)」でナグプールだと、前回までの記事で説明しました。

佐々井師は、龍樹のお告げがずっと頭に残っていた為、ナーグプールに来た後も、この「南天鉄塔」を探し続けていたといいます。

ある日ナーガルジュナ連峰という地名があると聞き、またそこから仏像などが多数発掘されたため、師は何かを直観しツルハシで遺跡を掘り当てたそうです。 それがマンセル遺跡です。

しかもその時で50歳を超えていたのだと(^-^; 

そんなマンセル遺跡ですが、ヒンドゥー教社会であるインドではなかなか受け入れられない。 

しかも、ガンジーの暗殺に関わったRSS(民族義勇団)というヒンドゥー教至上主義組織の本部があるナーグプールですから、かつての仏教の一大聖地だったという証拠がでてきてはたまらない。 やはり発掘にはかなりの官民問わずの邪魔が入ったそうです。

また、日本の研究者もマンセル遺跡を否定するものもいるようです。


ナグプールの滞在中、佐々井師は私をそのマンセル遺跡まで連れていってくれました。 佐々井師としても、日本からのお客さんにはどうしても、この仏教史上の一大発見でもあるマンセル遺跡を見せておきたいのでしょう。

真言密教における伝説上の物語だと思われていた南天鉄塔がインドで見つかったんですから、仏教関係者以外ではあまり騒がれていないようですが、とんでもないことです。 

私は真言宗の家ではありませんが、小さい頃から真言宗の霊場参りによくつれられていたことや、実際に四国の八十八箇所を回ったこともあり、真言宗には親近感を感じております。そんな真言密教における重要な場所に実際に行けるというのはとても幸運なことだと思いました。


次回は、実際にマンセルに行ったときの話を書きます。

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