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髪チョキチョキ屋さんで息子の成長とたくましさを感じた日

 日曜日、朝からほんのり緊張感がただよっている。つむぎをヘアカットに連れて行く日だ。前回髪を切ったのは4ヶ月以上前。髪を切るときのハサミの音が大の苦手なつむぎ。「びょういんと、かみチョキチョキと、ようちえんがいやなの!」と、ことあるごとに言っている。最近でこそ幼稚園(こども園)は克服し楽しく通えるようになってきたものの、残り2つはなかなか難しい。

 「髪チョキチョキ屋さんが嫌なら、家でダディが切ってあげようか?」
 「うん、そうする」
 このやり取りから、何度か家で切ることも試みたが、1ハサミ、2ハサミ入れた時点でどうしても「もういやだ!」となってしまう。こうして、ぼくらは決断した。「もう二人がかりで押さえつけてでもヘアカットに連れていこう。なるべく短時間で嫌なことを終わらせてあげることがベストなはず」。

 幸枝さんがヘアカットの予約を入れる。電話越しに、いつもの美容師さんとの作戦会議が伺える。ぼくがつむぎを抱っこして、幸枝さんがつむぎの頭を固定して、可能な限り速やかにヘアカットを終えよう、となったらしい。予約は日曜日だ。

 土曜日、いつものようにつむぎと一緒に列車に乗る。つむぎの希望で釧網線の北浜駅に向かう。ホームに入ってきた列車はルパン三世のラッピング車両。これにはぼくもちょっとテンションが上がる。一駅乗って浜小清水で下車。幸枝さんの運転で列車に並走していた車に乗り込み、家路に着く。

銃を構える銭形警部がめちゃくちゃかっこいい!

 車中にて、 
「あした、かみチョキチョキ?」「え?」
 つむぎのふいの言葉に驚くぼくと幸枝さん。もちろんつむぎに明日ヘアカットに行くことなんて教えていない。
 「え、なんでそう思うの?」
 とくに答えはない。つむぎは座席にセットされたiPadに集中している。どうして、そう思ったんだろう・・・。野生の感、か?

 そして、日曜の朝がきた。これから始まるつむぎの大泣きを想像してぼくは落ち着かない。つむぎはいつも通り朝食を食べた後はのんびりすごしている。

 10時、予約の時間だ。「お出かけするよ!」とつむぎを連れ出し車に乗せる。いつもの通り家の脇の坂を下る。いつもなら信号まで真っ直ぐ行くところを手前で右に曲がる。髪チョキチョキ屋さんだ。

 「え、だでぃ?だでぃが?」
 異変を察知したつむぎ、今にも泣き出しそうな声で、髪を切るのは自分ではなくだでぃだよね?と確認してくる。無言のぼくと幸枝さん。
 「かみチョキチョキいやだー」
 だでぃではなく自分の髪チョキチョキであることを認識し大泣きを始める。つむぎを抱きかかえて、髪チョキチョキ屋さんに入る。すぐに席に座り、しっかりと抱きかかえる。幸枝さんは横にスタンバイし、持参したタオルでつむぎの涙を拭き、目の前にiPadをセット。

4ヶ月も髪を切っていないつむぎ、ついにこの日が来た

 iPadどころではないつむぎは涙をポロポロ流している。それでも、だでぃの腕でガッチリと抱きかかえられていることに観念しているのか暴れる様子はない。いつもの美容師さんが笑顔で近づいてくる。白いエプロンをかけられる。さぁ、急いでヘアカットだ。幸枝さんも頭を固定するためにスタンバイ。

 「ぼく、がんばるよ!」
 ふと泣くのをやめたつむぎが決意を表明する。それまで大泣きしていたのが嘘のようにおとなしくなる。幸枝さんの頭固定も、ぼくの抱き抑えも全く必要なかった。少し怖そうにはしているけれど、泣くことも暴れることもなく髪を切られている。ぼくも幸枝さんも美容師さんも、つむぎの成長に感動しながら、静かにときが流れていく。

決意して、驚くほどおとなしく髪を切られています

 20分ほどして、そこには髪がスッキリしてまた一段と可愛らしくなったつむぎがいた。その顔には口癖になるほど苦手な「かみチョキチョキ」を克服した自信が溢れている。
 「ぼく、かみチョキチョキだいすき!」
そう言い残してつむぎはかみチョキチョキ屋さんをあとにするのだった。

また1つ壁を超えた男の顔

 息子の成長とたくましさに驚かされた一日だった。子どもは本当に、日々、成長するんだなぁ。

帰りがけにはもちろんご褒美のアイスをゲット。早速駐車場で食べ始めるのでした。

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