見出し画像

我が家の食卓は、早くも戦場の様相を呈してきた

僕がまだ小学生くらいだった頃、我が家の食卓は、僕と姉、時には父も含め、おかずのおかわりをめぐる戦いが繰り広げられていたと思う。僕らが成長するに連れ、次第に相互理解が進み、争いはなくなり、やがて平和が訪れる。

それから時が流れ、場所をオホーツクの地に移し、また、戦いの火種がくすぶり始めた。

朝、いつものように僕がご飯を用意する。一時は毎日オムレツだったが、卵焼き器を買って以来、いまは毎日卵焼きの日々だ。

卵焼きにソーセージ、ご飯に即席の味噌汁。食卓に並べ、声をかける。

「できたよー」

「いぇい、いぇい、いぇーい」

戦士が歓声をあげて、食卓に入場してくる。

「たまごだぁ」

毎朝同じメニューでも、卵料理があれば大喜びしてくれるのが息子の可愛いところだ。僕と幸枝さんも席に着き、食事を始める。

まずは味噌汁から。少し暖まったところで、次はご飯。最近はコープで売っているお米、「ほしのゆめ」がマイブーム。

さて次は卵焼き。ふと、横を見ると息子のお皿はすでに空になっている。

「やばい、出遅れた」

椅子から体を乗り出し、すっと手を伸ばしてくる息子。小さい手でガッチリと僕のお皿を掴み、ぐっと引き寄せる。自分の領地(おかず)を平定することに満足せず、すぐに新たな領地(おかず)を求め襲いかかってくる。

「つむ、それ、だでぃのだよ!」
「ぼぉくのぉ!」

理不尽な主張を押し通し、徹底抗戦の構えだ。

画像1

「わかったよ。じゃあ、一つずつだでぃに頂戴」
「ぼぉくぅー」

征服者は容赦が無い。

最近の我が家の食卓は早くも戦場の様相を呈してきた。食欲旺盛の最強国家つむぎの前では、僕と幸枝さんは目をつけられる前におかずを食べきるしかないのだった。

まぁ、いっぱい食べてくれるのはいいことなんだけどね。

この記事が参加している募集

#子どもの成長記録

31,513件

サポートとは「投げ銭」の意味です。 サポートにて100円でも200円でも頂けるとやる気に繋がります!皆様のサポートありがとうございます!!