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我が家のFIAT、ヤドカリ形態に変身

 値段の安さと、フォード3000にはないパワステとフロントローダーに惹かれて購入したFIAT。小柄なオレンジの車体に、ニョキッと生えたフロントローダーがエビやカニのような甲殻類を連想させるかわいいやつだ。このFIATがついにヤドカリ形態にトランスフォームした。スプレーヤーを装備したのだ。ちなみに、フロントローダーはトラクターの前につけるアームで、スプレーヤーは農薬散布機のこと。

 最終的には無事に進化できたFIATだが、ここまで来るのが意外と大変だった。FIAT納車後、役場で車両登録を済ませ、意気揚々とスプレーヤーが置いてあるみらい農業センターまでトコトコと走っていく。パワステのハンドルで楽々とスプレーヤーの前にバック。まずはアタッチメントの取り付け、と思ったら、アタッチメントがどうにもつかない。トラクター側のロアリンクの穴に対して、アタッチメント側の棒が太すぎて全く入らないのだ・・・。

 途方にくれながら、センターの技術員さんに相談。どうやらロアリンクを改造しないとだめらしい。意気消沈しながら家に戻る。ワクワクしながら買いに行ったNintendo Switchがどこの店でも売っておらず、悲しい気持ちで家に帰ったときのことを思い出す。Nintendo Switchはまだ持っていない。それはそれとして、ロアリンクを取り外し、トラクターの整備工場へ持ち込み改造をお願いする。

 数日後、ロアリンクを取り替えたFIATに乗り、ノリノリのルパン三世気分でみらい農業センターへ。また、スプレーヤーの前にバック、アタッチメントを取り付ける。

「よしよし、今度はバッチリ付けれたぞ」

 そして、トラクターに取り付けたアタッチメントでスプレーヤーを持ち上げる。持ち上がらない・・・。トラクターを降りて様子を見る。アタッチメントの角度的にどう見てもスプレーヤーは上がりそうにない。

 「おお、神よ」と思いながら、またもや技術員さんに相談。今度はアタッチメントを調整する必要があるとのこと。「でも、こんなに錆びてて調整できるかなぁ・・・」ポツリと不安な一言。またもやFIATで残念な気持ちで家に変える。Nintendo Switchが抽選でも全く当たらなかったときのようなやるさなさだ。

 気持ちを切り替え軽トラでみらい農業センターに向かい、アタッチメントを回収。数日後、家の倉庫で、オイルを吹き付け、吹き付けしながら、ネジやボルトをゆっくりと少しずつ回す。なんとか無事に外れた。外す前の状態を写真に撮らなかったことを軽く後悔しながら、長さを調整して再度組み立て。FIATに取り付け、またみらい農業センターに向かう。最終的な調整は現場だ。

 3度目の正直でトラクターをスプレーヤーの前に。ゆっくりとアタッチメントでスプレーヤーを持ち上げる。前よりだいぶいい感じだが、まだ角度が悪い。技術員さんにも手伝ってもらい、再度角度を調整。また持ち上げる。上がった。

 天岩戸を開けることができた神々のような晴れ晴れとした気持ちで、最後にPTOジョイント(トラクターの動力をスプレーヤーに伝えるもの)を取り付ける。付かない・・・。どうやらPTOジョイントが完全に錆びついてしまい、交換したほうが良いとのこと。「うん、これは来年の課題だな」、問題を棚上げすることに決める。

 スプレーヤーを背負い、カニからヤドカリ形態に最終進化を遂げたFIATで「まあ、なんとかなってよかった」と家に帰るのでした。

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