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ひと相手の仕事は簡単だよね

新規就農1年目のさいこうファームは、無尽蔵の力を持つ雑草軍に押されまくっている。数日前はチョロチョロチョロと本当に細かい草が生えていただけの畑が、雨上がりにチラッと眺めてみると、「ここは昔から草原でしたよ」と言わんばかりに大きくびっしりと生えそろっている。

「男子、三日会わざれば刮目(かつもく)して見よ」と三国志の呂蒙は言ったらしいけど、ぼくはこう言いたい「雑草、三日会わざれば草原を覚悟せよ」。

各所にできてしまった草原を前に、幸枝さんにぽつりとつぶやく。
「はぁ、今年も雑草に負けまくってるねぇ。思う通りの農業はなかなか難しいね」
「そうねぇ、今年も勉強だね」
「どちらかと言えば、ライター業とかの方が順調なくらいだね」

「うん、ひと相手の仕事は簡単だよね」

幸枝さんのこの表現がなんだかとても気に入ってしまった。確かにそうかもしれない。ひと相手の仕事の場合。

「すみません、仕事が立て込んでしまって」とか「息子が体調を崩してしまって」、なんなら「あれ?なんかここ電波が悪くて・・・」とか相手に納得してもらえる事情(最後は納得できる?)を説明することで、納期や打ち合わせのタイミングをずらす交渉ができる。

ただ、自然はそうはしてくれない。

「ごめんなさい、雑草さん。ちょっとあっちの作業やらないとなんで少しだけ待ってもらえますか?」とか「息子が熱を出しているので、まだそちらの畑には行けないんです」と言ったところで、自然さんは

「そうですか、だがわたしは待ちません」

まったく待ってくれない、常に交渉の余地なしだ。ジョジョのスタープラチナだって数秒しか待ってもらえないのだ。雑草退治の優先度が低いままで、他の作業に取り組んでいると、いつの間にやらいたるところが大草原。草生えるだ。はぁ、こんなはずじゃなかったのに。

うん、自然相手の仕事は難しいよね。


幸枝さんの名言を噛み締めながら、とは言えひと相手の仕事の方がストレスに溢れているのは「自然と違って「相手を何とかすることができる」と思えてしまうことにあるのかもなぁ」と考えるのだった。

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