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新規就農1年目は戦慄迷宮を歩むが如し

ロータリー、野菜移植機、ポテトプランターなどなど、新規就農1年目の今年、初めて自前の農業機器を使う場面が何度も到来する。そのたびに、「本当に動くかなぁ?」「もしダメだったらどうしよう」「あぁ、不安・・・」と、一歩踏み出すのに時間がかかっていた。

それでも、日々成長してく苗にお尻を叩かれるようにしてメンテナンス、動作確認、作業実施とひとつひとつなんとかハードルを越えてきた。それはまるで、びくびくしながら富士急ハイランドの「戦慄迷宮」を歩いて回るかのようだ。

そして、おそらく最後に立ちはだかるハードル。それがスプレーヤー。

同じ地域の農家の方から「もう使っていないから」とゆずっていただいたスプレーヤー。「たぶん、動く」「動いてほしい」「あぁ、うまくトラクターにつかないなぁ・・・」「ようやくついた」「ただ、動くかなぁ?」「あ、あっちを先にやらなくては!」。といった感じで、もらったのは昨年だったのに、今の今まで動作確認すらやれずにいた。

しかし、ついに試すときが来た。もう、じゃがいももブロッコリーも待ってくれないのである。

スプレーヤーを背負わせたトラクターのエンジンをかける。タンクに水を給水。PTOを回して・・・。あれ、シャフト付け忘れてた。どこおいたっけ?あ、あったあった。あれ、このシャフト固まって抜き差しできない・・・。

↑PTOシャフトはこういうの。トラクターと作業機をつなぐもので意外と高い。

さっそく、曲がり角から化けものが飛び出してきた。怯むぼく。こんなとき、ものすごく頼りになるのが、いつもお世話になっているお隣の農家さんだ。

「あの、このシャフト抜けなくて困ってるんですけど。もう使えないですかね?」
「どれどれ、曲がってるんじゃない?」

シャフトを確認したのち、農家さんは倉庫に向かう。もどってきたとき、手に持っていたのはドラクエのおおきづちが持っているような巨大なハンマー。そして、ぶったたく。コーン、コーンとぶったたく。

少しずつ抜けてくるシャフト。何度も叩いているうちに。ついに抜けた。

シャフトはこれでもかというくらいサビついていた。農家さんにお礼を言い、自宅に持ち帰る。シャフトをワイヤーブラシでゴシゴシ。その後、グリースをしっかり塗ってもう一度シャフトを差し込む。少し引っかかりもあるが、今度は問題なく抜き差しできるように。

PTOシャフトお化けはお隣の農家さんのおかげで退治できた。さぁ、もう少し奥へ進もう。

トラクターとスプレーヤーをシャフトでつなぎ、トラクターの動力をスプレーヤーに伝える。おそるおそるスイッチを入れる。ゆっくり動きはじめるスプレーヤーのブーム。

「動いた!よかった」

次は、散水する栓をひねる。シュー。水が吹き出してくる。

「やった、水も出る!」

エビのようなフォルムのトラクターに背負わせたスプレーヤーからは無事に水が出ました

こうして、スプレーヤーの動作確認を終え、新規就農準備の戦慄迷宮の出口が見えてきたのでした。あとは、噴口を付けて薬をちゃんと散布できるようにしないとなぁ。

新規就農一年目は、戦慄迷宮を歩くかのように、日々スリル満点だ。ドキドキするし、気が重くなったりするけど、うまくいったら嬉しくて、うまくいかなかったら焦るけど、どちらに転んでも少しずつ見える世界が増えてきている。

それにしても、お隣の農家さんの隣で新規就農できて本当によかったな、と思うのでした。いつもありがとうございます!

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