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息子の性格に、親からの遺伝はどれほど関わる?調べてみた。

幼稚園の帰り道。

「つむ、今日は子ども食堂だから。ママと櫂をピックアップしたら行ってみようか?」
「やったぁ!でも……」
「でもなに?」
「また、いっぱいで売り切れてるかもしれないよ?」
「どうだろう」
「きっと売り切れてると思う」
「そんなの、行ってみるまでわからないじゃん。すぐそう『だめだと思う』って言わないの」

長男のつむぎは、つねに目の前にあるリスクを考えるタイプのようだ。
子ども食堂は大好きだけど、もしいっぱいで入れなかったらどうしよう……。
そんな思考パターンになることが多い。

これ以外にも、
幼稚園の雪遊びは大好きだけど、長靴がうまく履けないかもしれないから嫌だなぁ。(ジャンプスーツを着たあとに長靴を履くのはサイズの問題でかなり難しい)
塗り絵は大好きだけど、この細い部分はどうしてもはみ出してしまいそうだ、どうしよう……。

つむぎはまずうまくいかない場合のリスクを想定しがちだ。

なんだかぼくに似ている。
ぼくもどちらかというと、事前にさまざまなリスクを想定することが多い。
リスク度外視でいきなり農業を始めた人が何を言っているのだか、と思われるかもしれないが、基本的にはリスクを想定して動きがちだ。

その性格のおかげで前職でチームをなんとかうまく回していくというのは得意だった。
大体のことは先回りしてなんとかしていくからだ。

一方で、リスク高めの挑戦に踏み出すことが難しかった。
またまた、縁もゆかりもない場所で新規就農して何を言ってるのだか、と思われるだろうが、ベースはそういう人間なのだ。

ともあれ、つむぎの性格は良くも悪くもぼくに似ている気がする。
この性格で今後良いことも、困ることもあるだろう。

まぁ、それはそれとして……

気になってしまった。

「性格は遺伝するのか?」

なのでちょっとだけ調べてみた。

まず見つけたのは、公益社団法人日本心理学会のページだ

性格は遺伝で決まるのか?の質問に対して、慶應義塾大学文学部教授の安藤先生は答える。

「どの性格特性を見ても遺伝の影響が無視できないことが、ふたごや養子による数多くの研究で示されています」

そうなんだ!やっぱり遺伝するのか。
安藤先生は続ける。

「性格に関わる遺伝子が親から子に伝わるときには父母から半分ずつランダムに伝わり、両親のいずれとも異なる新しい組み合わせが生まれるので、どちらかの親と同じ遺伝的素質になることはありえません」

なるほど、まあ、全く同じにはならないということね。
さらに安藤先生。

「こうした遺伝子の違いがどのくらい一人ひとりの性格の違いを説明するかをふたごのデータから算出すると,だいたい50%前後になります。これは残り50%が環境によることを意味します。しかし親の影響や家庭の影響(これを共有環境といいます)は先にも述べたようにほとんどみられません。むしろ一卵性のふたごですら違う一人ひとりに独自な非共有環境が重要なのです。これは状況により時間とともに変わる影響です。要するに性格は,自分のもともとの素質のうえに,そのときの環境の影響が加わってあらわれ出たものといえます。そこにあなたの努力が加われば,環境によってあなたの素質をより美しく表現することができるでしょう」

50%くらいが遺伝的要素によるものというのは、なかなか大きいなと思う。
もうひとつの影響が非共有環境かぁ・・・。

なに?非共有環境って。

別の資料で調べてみると、非共有関係とは簡単に言うと親以外との人間関係、つまり子どもにとっては友達との関係が重要らしい。

教育投資としての居住地選択 大東建託賃貸未来研究所長・麗澤大学客員准教授 宗健 (2020)

友達、交友関係、やっぱりかなり重要なのね。
ちなみに、この資料にはちょっと気になることも書かれていた。

「小学校受験は一般的ではなく、多くの子供たちは居住地によって通う小学校が決まってくる。行動遺伝学では非共有環境(お友達関係)の影響は、年齢が低いほど大きいと言われており、居住地によって当然、非共有環境は大きく異なるため、居住地選択は子供の能力・ 性格形成に大きな影響を及ぼすことになる。居住地の選択では、家賃や価格の安さも大きな要因ではあるが、居住地の選択とは、子供に対する教育投資でもあるのだ」

つむぎと櫂が行く小学校、良い小学校であれ!

せっかくなので親と子どもの性格についてもう1つ資料を見てみることにした。
その名も、「母親と子供の性格の類似性」。

牧野と中尾 (2019) 母親と子供の性格の類似性

この研究は母親に自分の性格と5歳のわが子の性格を妥当性・信頼性のある尺度で診断してもらい、それを分析している。
分析に使用したのは15組の親子だそうだ。

親子で似ている性格特性と、似ていない性格特性を分析しているところがこの研究のおもしろいところだ。

分析の結果、似ている性格特性と似ていない性格特性は以下のようになったとのこと。

似ている(類似性がみられた)性格特性:
「活動性」「非協調性」「神経質」「抑うつ性」「共感性」「持久性」「攻撃性」
似ていない(類似性が見られなかった)性格特性:
「社会的外向性」「進取性」「規律性」「自己顕示性」「劣等感」

似やすい性格特性についてはなるほどなぁという感じ。
一方で似ていない性格特性については、まだ5歳では、それらの項目の特性が固まってないんじゃないかなと感じる。
ただ、それは、後天的に獲得する特性と言えるのかもしれない。

夜中にひとり、リビングのストーブの前で暖まりながら調べてみたことにふむふむとうなずく。

やっぱりつむぎの性格がぼくの性格に似ている気がするのは遺伝的要素もあるようだ。
それに、お友達関係の影響がものすごく大きいことはちょっと驚きだった。

これを受けて、「だから〇〇をしよう!」ということはあまり思いつかない。
ただ、ある程度似た性格を持つ人生の先輩として、息子の気持ちを想像して相談に乗ってあげることはできるかもしれないなぁ、と思うのだった。

英語の論文も気が向いたらみてみようっと。

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(登場人物)
ぼく:東京大学で農学博士取得後、ベンチャーで8年勤務。その後、北海道で新規就農。
幸枝さん:ぼくの妻。北海道大学で生命科学修士、ぼくと同じベンチャーで同期入社。2015年に結婚。
つむぎ:4歳の長男。北海道で元気いっぱいに成長中。電車、働く車、飛行機など乗り物大好き。
スピカ:3歳の猫。女の子。網走の病院で保護されていたところからぼくの家にやってくる。
櫂:1歳の次男。長男が騒ぎ回る横で、どっしりと寝ている大物感を漂わせる。


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