赤ちゃんの証明写真は難しい
妻が、次男の櫂を白いおくるみの上に寝かせ、スマホを構えて、あーでもない、こーでもないとやっている。
「何してるの?」
「マイナンバーカードの写真撮ってるんだよね。ちょっと櫂の手をおさえててくれない?」
ぼくは言われるがままに、櫂の手が顔にかからないようにおさえてみる。
カシャカシャカシャ。
スマホのカメラでシャッターを切る。その間も櫂は右にゴロゴロ、左にゴロゴロ、目をつむってみたり、変な顔をしてみたり、顔を真赤にしてみたり。
「うーん、うまく撮れないなぁ」
カシャカシャカシャ、カシャシャシャシャシャシャ。
途中からバーストモードで撮影しているようだ。
「あ、携帯、電池切れた。あなたの貸して」
「はい、どうぞ」
カシャカシャカシャ。
どうしても、正面からの写真を撮るのが難しい。
撮影した写真を確認する妻。笑い出す。
「みて、コレ!」
そこには立派な二重顎を蓄えた、小さくてかわいいお相撲さんの姿が。
「いい二重顎だね」
しばらく撮影するも、結局は「まぁいいか」と撮影終了。ぼくはリビングの隣のキッチンに移動し、パソコンを開き仕事を始める。
それからも時折、リビングの方からは、カシャカシャっと音が聞こえてくるのだった。
赤ちゃんの証明写真は難しい。
↑妻の苦労
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