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先輩農家さんの意見に、とても考えさせられた話

美幌町の人と食事しながらいろいろと話す機会があった。そこで出てきた一つの意見に、なるほどなぁと考えさせられた。

メインテーマは「美幌のアスパラ」。美幌のアスパラをどうやったら価値の高いブランドにすることができるか、についてあれこれ話そうという目的の集まりだ。と言っても正式な議論の場、ではなくて、アスパラを作っている人やそれを盛り上げたいと思っている人が4人、ちょっと集まって、実際どうなの?とワイワイ話す感じだ。

美幌町のアスパラガスは、春のハウスアスパラ、初夏の路地アスパラ、秋にかけての立茎アスパラ、冬の伏せ込みアスパラと一年を通して殆どの期間出荷することができる。こういう産地はあまり他に無いらしい。そこが売りになるんじゃないか?とか、伏せ込みアスパラのストーリーをもっとアピールしたらいいんじゃないか?とか、アンバサダーみたいな人をつくれたらいいなぁ、などなどいろいろな話が出てくる。

その中で特に納得させられたのは、個人の売買を少し抑えて、各農家が農協に出す量を少し増やしたほうが良いのではないか?というアイデアだった。実は美幌のアスパラはかなり人気があって、各生産農家に買いたいという話が直接来ることも多い。農家さんとしても直接売れたほうが、当然お金になるので、買いたいという人がいれば売ってあげることになる。そのアスパラが良いものだと、しだいに各農家にファンがついていく。それはとても良いことではあるんだけど、美幌町という単位で考えた場合、それは「美幌アスパラ」というブランドを構築するのにはつながらないかもしれない。だから、個人売買ではなく、例えば農協でまとまって販売する量を増やした方が、美幌というブランドを高めやすくなるのではないか、というのがその意見だった。

そんなアイデアが農家さんから出てくるのはとても意外だった。僕が就農したときにも、できればネットを通じて大都市の人と直接取り引きできるようになりたいと思っていたし、そうすることが農家として進むべき道だろうとなんとなく考えていた。ただ、それが運良くうまくいって成功したとしても、個人としての成功で、美幌町全体を良くしていくことにはあまりつながらない場合もあるだろう。そうすると、長い目で見た時、子どもたちが大人になるくらいまでの先を考えると、必ずしも本当の成功とは言えないのかもしれない。個人だけでなく町も良くなっていくことを考えていくべきなんじゃないかというアイデアに触れて。なんだか、自分の視野が広がった気がした。

どこにだって、すごい人はいるんだなとあらためて思う。そう言えば、こっちで研修に入る時の入社式で、誰だったかに1人の成功ではなくてみんなで良くなっていくことを考えて欲しいって言われたなぁ。さて、僕らはこの町で、どんな農業をやっていけるだろうか。

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