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茶の飲み方、口からですよと書いた後、ふと。
お茶をいただく時に3回まわして...(ワン!と言いそうだけど)、3口で飲みきるとか、そんな話をたまに聞きます。
これは流儀によるので、一概には言えないのですが、正直なところそこまでこだわるところではありません。
熱いお茶なら、一気に飲めと言われても、味もわからないだろうし。
それはただの拷問でしかない。
茶盌には、正面という一番カッコいいところがあって、飲むときに敬いそこを避けよ、ということからの流れなのでしょう。
が、またしかし。
あえてその正面からいただくという流儀もあるのです。
他流の席だからと、変に気を使い、知りもしない他流の作法を真似て肩こりながら飲む必要もなく、ご自身の作法でいただけばよいと思います。
そして飲みきって一言

結構なお点前で

これもほとんど聞いたことがない。
基本的にお茶席では、皆が好き勝手に雑談するものではなく、正客(しょうきゃく)という、一番上座の方と亭主がお話し、皆がそれに耳を傾けるものである。
お茶の塩梅に関しては、大寄せの茶会などでいただくことの多い薄茶ではなく、茶事の本質である濃茶。このお練り加減を亭主がいかがでございましたか?とたずね、いいお練り塩梅でございましたとか、大変美味しゅうございましたと答えることはあります。
なので、言葉だけが広がってしまい、使うところが少し違う。そんな感じです

茶盌の正面に話を戻します。
これは作り手からすると、なんとも言えないところもあります。
京焼のように、下地はおとなしく色絵が煌びやかなような作品の場合は、絵の綺麗なところが正面。
これは作った時と焼き上がりとが、ほぼ変わることがないので、作者の意図が使い手に一番伝わりやすい。
その他に歌と絵と書いてあるものは文字の方が格が上なので、文字の綺麗に見えるところが正面です。
しかしながら、土が窯の中で起こす変化や釉薬の表情で綺麗なところを見いだすと、それはきっと窯から出てからの判断なので、作者の意図と異なることが多々あります。
高台という、茶盌の足付近には作者の印が押してあったり彫ってあったり。
その文字の上側がお客さんの方を向くのが、基本的な正面でもあります。
とまあ、作り手から見てもこんな風にいろいろあるのに、茶会で使っていただいたときに、お運びしていただく方がお客さんにどの向きで出されるか、最後のそれで全てが覆るのです。
なので、お茶をいただく方。
あまり気にせず、90度ほど時計回りに回してからいただき、飲み終えたら軽く指先で口元を拭い、お茶を取りに来られる方に正面が向くようにして、返してください。
それだけです。
どこから飲むかはあまり気にせず、美味しくいただいてください。
大丈夫なのは飲み切った後自分の膝前に懐紙を敷いて(官休庵の場合)、その上で優しく愛でてください。
その方がきっと茶盌も喜んでくれます。

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