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ゴールデンウィークというと、宇治では茶摘みの時期を指します。
せっかくの休みなのに、という感覚もありますがこれは例年のこと。
むしろゴールデンウィークと言われ出す前から、茶を摘むのはこの時期ですよね。
今年はウィルスの影響で、その作業さえも少し狂わせているようです。

夏も近づく八十八夜♪なんて歌の歌詞を聞いたことがあるでしょうか。
これは「茶摘(ちゃつみ)」というタイトルで、1912年(明治45年)の歌です。

八十八夜とは
八十八夜(はちじゅうはちや)とは雑節の一つで、立春から数えて88日目の日を指し、毎年5月2日頃がこの日にあたります。
数年前まで、仕事場に茶畑があり、この頃といえば、まず朝にお茶摘みのおばさんを迎えに行き、茶畑まで送り届ける。
宇治は手で摘むところが多いので、一芯二葉と呼ばれる茶の木の新芽を手際よく摘んでいきます。

この時期、毎日15時頃にはいくつもの茶籠にいっぱいになった茶葉は、次の蒸す工程の為に茶業所へ運ばれます。
ツバキ科の茶の木は新芽は柔らかいものの、育った木々はまさに椿の木のようにしっかりとした枝葉をしています。
素手でやると手が黒くなり、柔らかな葉とはいえ、手でちぎるので次第に指先が痛くなり、素人で摘める量は限られます。
この限られた部分だけを用い、作られる茶は本当に清々しい香りと喉越し、新茶ならではの贅沢な楽しみです。

近年、急須のない家庭も多く、茶葉でお茶を淹れることも少なくなりつつあります。
それはペットボトルによる茶飲料が手軽に入手できることも大きいとは思います。
が、比べていただくとわかると思いますが、別物です。
普段、そんな手間のかかることをしている時間がないとか、面倒くさいとか、急須がないとか。
理由はいろいろあると思いますが、そこをあえて。
その時間を作って、ゆっくり淹れて飲んでください。
時間がないなら、作ればいい。
ただその分だけ、ホッとした時間やお茶の香り、旨味を楽しめる時間が必ず生まれます。
そして団欒。
そうした時間を作ること。
昔は当たり前にあったこと。
今、なくなりつつあることや気づかなかったことを、あえてやってみるようにする。

茶のある、幸せ


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