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写真うつりが悪い

昔、漫画『あたしンち』で、みょうに心に残るシーンがあった。

みかんが変な顔に写っている写真を「写真うつり悪い」と言ったら、友達に「いつもこんな感じだよ」と言われるシーンだ。みかんはショックを受け、「セルフイメージのレベルを落とそう」と思う(記憶で書いているため、細部は違うかも)。

思春期の私はこのシーンに唸った。

私はそれまで、自分のことを「写真うつりが悪い」と思っていた。でも、それは思い込みかもしれない。写真うつりのせいではなく、写真が真実の姿だったのだ。

それ以来、変な顔に写っている写真(つまりほとんどの写真)を見ては、「他の人の目にはこう写ってるんだ」と思った。

昨年、ある写真を見て、自分の容姿に深く落ち込んだ。

毎日鏡を見ているから美しくないことは知っているが、それにしたってヒドい。でも、これが真実なのだ。受け止めねば……。

その写真をある友人に見せると、はっきりと「写真うつり悪いね」と言われた。

「でも、いつもこうでしょ?」

「ううん、別の人みたい。ふだんのサキちゃんはもっとユルくて気さくな雰囲気だけど、この写真だと、なんかすごい真面目な人みたい。ふだんのほうが素敵だから安心しなよ」

そっか……!

『あたしンち』以来、「写真うつりが悪いというのは思い込み」と思い込んできたが、どうやら本当に、写真うつりが悪かったようだ。

友人は「雰囲気が違う」と言った。いつもと同じメイクと服なのに、写真では雰囲気が再現されず、ぎこちなくなる。

だとしたらそれは、表情のせいではないか。

そういえば写真を撮られたとき、知らない人ばかりで緊張していた。だから表情が固かったのかも。


同じ写真を、母にも見せてみた。

母は不思議そうに言う。

「あなた、なんで目を細めてるの?」

「なんでって……笑顔を作ろうと思って」

「でも、目をぱっちり見開いた笑顔で写真に写ってる人もいるじゃない」

たしかに。若いときはプリクラに写るとき、目を少しでも大きく見せようとかっぴらいていた。いつの間にか、「もう目をかっぴらく歳でもないな」と思い、やめていたのだ。

そうか、照れずにかっぴらいてよかったのか。

やっぱり、写真うつりを改善するには表情が大切なようだ。

思うに、被写体も「撮られる練習」をすれば上達するのではないか?

「撮る練習したい人」と「撮られる練習したい人」がマッチングすれば、お互いに鍛錬できていいかもしれない。




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