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査定書等を使った遺産分割の危険性。不動産鑑定を知ってください編。

 今日は相続に関するちょっと怖いお金のお話し。遺産分割協議によく使われるものとして、不動産査定書があります。不動産仲介業者さんが無料で価格帯を出してくれるものですね。遺産分割ではこれを複数集めて、この不動産の価値はこれぐらいと相続人間で判断するわけです。不動産鑑定を利用する場合、最低でも20万円超の費用がかかります。なので、無料査定が利用されるのです。

 しかし、この査定書の「性格」を知らずに、遺産分割に臨むと不公平を生む可能性があります。査定書は、不動産仲介業者さんが不動産を売却するための「契約を取るため」のものです。低く査定を出すところより、高く査定を出す業者さんに売却依頼しますよね?なので各社とも高めに査定しがちです。これが査定書の性格なのです。

 そして、その査定書を持ち合い、話し合うのです。これでは、平等に遺産を分割することが出来ません。それでも相続人間で納得すれば、協議は終了です。その他相続税路線価や固定資産税路線価による方法等がありますが、これらはあくまでも「税」を求めるためのもの。用途が違います。

 不動産を相続した方が実際にはそんな価値がないことを後で知る。果たしてこれで良いのでしょうか。私は査定書が悪いとは思いません。そもそも査定書には、本来の用途以外に使わないでと注意書きがあります。ではどうすれば?

 争続とならないために、不動産鑑定を利用してください。不動産鑑定士は公平、公正な評価額を出します。もちろん評価報酬がかかるため敬遠されがちですが、誰もが納得でき、不公平感を伴わないことが争続とならないために一番重要だと思います。評価報酬の何十倍、何百倍も相続できる場合があります。

 高度成長期は過ぎ、まとまった大きなお金が入るのは相続の時だけというのが現在の日本の状況です。中には、相続する額が生涯年収より多い場合もあるでしょう。だからこそ、専門家に相談する必要があるのではないでしょうか。


 

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