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【小説】『恩送り Pay forward』(第3話)

【恩送り3】Pay forward

同じ地域に住んでいても一生会うこともない人もいる。

それに反して、外国で出会って共に時間を共有する人もいる。

同じ時代に生きていること自体が奇跡であり、生きている時代が違っていたら決して会うことはない。

本当に人とのご縁は奇跡である。

ご縁とは、人とのご縁だけではない。

本との出会いもあれば、映画や絵画、音楽、車や洋服、ペンやパソコン、自分の身の回りの物全てとがご縁である。

ペットとの出会いもある。

日本語には自分がいつも気に入って使っている物に愛用品と言う言葉がある。

愛と言う字を使っている。

特に、車やバイクには愛車と言う言葉を使う。

どこに行くにも愛車で出掛け、嬉しい時も悲しい時も辛い時もいつも愛車が共にいる。

愛車と思い出を共有している。

不思議と洗車をしたり、エンジンオイルを交換したりと車をメンテナンスすると走りが良い様に感じる。

車内を綺麗に掃除をすると車が若返った様に感じる。

本当に不思議である。

きっと物にも心があり、こちらが大切に思っている事が伝わるのだろうと思う。

自分が愛用している物に名前をつけている人も多くいる。

名前を呼ぶのは一つの愛情の証なのだろう。

当然、ペットには名前を付ける。

ペットは、もはや家族であるから当たり前のことだろうが。

花や観葉植物等の植物も名前を付けて呼ぶと育ちが良いと言う。

名前ってその人を現すアイデンティティだから、物にも名前を付けると固有の存在としてアイデンティティを持つことになる。

つまり、そこにあると自己の存在を現すことになる。

そのことが物に命を吹き込むことになるのだろう。

人は、自分一人では限界がある。

人は、肉体的にも物理的に限界がある。

だから、道具や物を使って自分の力以上の力を発揮させる。

または、人の助けを得て、自分一人では出来ない事を助けてもらう。

人は、生きていると誰かの助けを受け、何か物の便利さの恩恵を受けている。

その恩恵に気付き、感謝する事で利他の心で自分自身も他の人に接する事が出来るのだろう。

相手の気持ちに寄り添う。

相手の気持ちになって考えてみる。

そうすると、視野が広がり、どの様に行動すれば良いのかと発想が膨らんでくる。

そこに自分自身の成長が伴い、またそのことで人から恩恵を得る事になる。

その人の存在が、自分自身に学びを与え、成長させてくれているのだ。

だから、人は、毎日毎日、成長しているのである。

些細な日常の中にも学びはある。

例えば、ラジオからの言葉であったり、映画の中の一つの台詞や本の中の一文であったりする。

本は、著者との一対一の対話である。

つづく。

人と組織の専門家
問題解決プロデューサー、心理意識分析家、著者、起業プロデューサー、ブランドプロデューサー

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