コンサルタントの3つの質問能力
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「仮説力」がなければ話は始まらない
先ず一つは、「仮説力」です。
質問力の基本の基です。
コンサルタントは、質問をする前にあらかじめ仮説を立てています。
だからポイントを突いた深い質問が出来ます。
仮説のない質問は行き当たりばったりのものとなり、相手の心に響くものにはなり得ません。
先ず今回のインタビューの目的を定めよう
コンサルタントがインタビューをする時には、先ず今回のインタビューの目的を定めます。
そしてその目的に沿って、インタビューする相手から実際に何を聞き出すことが出来そうか、相手の興味関心の中心はどこにありそうかについて仮説を立てます。
その上で、具体的な質問項目に落とし込んでいきます。
インタビューは「生き物」
但し、インタビューは「生き物」です。
実際にインタビューが始まったら、相手は事前に建てた仮説とは全く違う話を始めるかもしれないし、予想外の情報を持っているかもしれません。
そこで求められるのは、すぐにロジックツリーによって仮説を立て直し、質問ツリーを書き換えることです。
一旦ゼロベースにするかの判断は微妙なことが多い
「軸がどうしてもずれている」、「話がうまく流れない」という感覚は質問をする際には大切です。
一旦ゼロベースにするかの判断は微妙なことが多いです。
小さなことの積み上げでの矛盾を感じ取る嗅覚が、この際に必要となる。失敗を恐れないことだ。失敗の先にこそ、この感覚・嗅覚・完成・センスの習得が待っています。
「本質力」こそ、こだわりの質問を生むエッセンス
2つ目は「本質力」です。
簡単に言えば、「そう、そういうことなんだよ!」と言ってもらえる能力です。
多くの人が質問力のある人として思い浮かべるのは、込み入った話の中に光をパッと照らすような「鋭い」質問を投げかけることのできる人でしょう。
その鋭さこそが「本質力」です。
質問を通じて、相手に問題の本質を気付かせる
本質に1人で迫るのは困難です。
質問を通じて、相手に問題の本質を気付かせます。
そして目標や目的を再構築し、行動を起こすまでの手助けをするのです。
「シナリオ力」で、質問の目的を達成する
そして、3つ目が、「シナリオ力」です。
これは質問プロセスのシナリオをデザインできる能力です。
大きな流れを読みながら、その質問プロセスのゴールに向けて、適切な質問を相手に投げかけることが出来る能力です。
プロセスに厚みが生まれ、シナリオにも共感が挟まれてくる
質問をしてそれに答えてもらうプロセスの中で、インタビューの対象者自身さえこれまで言語化出来ていなかった潜在的な問題意識や感情が引き出せる瞬間があります。
こうした言葉を引き出せたときは、本人にとってもインタビュアーにとっても大きな発見であり、感動を生みます。
プロセスに厚みが生まれ、シナリオにも共感が挟まれてくるのです。
インタビューの最終目標は相手に行動を促すこと
さらにインタビューの最終目標は相手に行動を促すことです。
インタビューを通じて問題の本質と解決策に気付いた相手が、インタビューが終わった後には新たな目標に向かって意欲的に行動を起こせる状態になるように仕向けなくてはいけません。
これもインタビューが、いかに相手にとって有意義であったかにかかってきます。
共感や納得感得を醸成する
人はお題目のように掲げられた理念や目標だけでは動こうとしない。
「確かにその理念は大切だ」「その理念を実現するためにこの目標を達成しなければならない」という納得感があって、初めて体と心を動かすことが出来ます。
その共感や納得感得を醸成するためにシナリオに基づくストーリーテリングが必要なのです。
まとめ 質問力は、仮説力・本質力・シナリオ力の組み合わせによって威力を発揮する
「質問力」は仮説力・本質力・シナリオ力の組み合わせによって威力を発揮します。
この3つの能力は、単独では存在しえない。いつも一緒に動き、いつも同時に相乗化されます。
優れた質問力はいつも同時に組み立てられるものだ。コンサルタントの仕事は、クライアント起点であり、クライアントとの共同作業の中にしか存在しません。
最大の効果、最高の効果を実現するコンサルタントの基本スキルとは、「質問力」であると断言出来ます。
【参考】野口吉昭(2008).『コンサルタントの「質問力」』. PHP研究所