ド屑
奈美は生涯須賀さん以外に髪を切って頂きたくない
奈美は「Ash 自由が丘店」の須賀さん(実在します。素晴らしい腕前なので是非検索してください。)に10年以上髪を切って頂いている。
須賀さんはとうとう「Ash 自由が丘店」の店長になってしまった。非常に喜ばしい。おめでとうございます。
奈美は生涯須賀さん以外に髪を切って頂きたくない。
大体ゲームや芸能の話をして、奈美は須賀さんのプライベートの話は伺わない。
自分の髪は正直何のケアもしていないが、健康だそうで韓国の美容院さんにも褒められたことがある。
2か月に1度切って頂かないと、毛量で森林になってしまう。
須賀さんにいつもの期待以上のカットをして頂き、嬉々として結婚相談所に向かった。
37歳、年収2,500万以上の方の名前を憶えていない自分に少しショックを感じた
「単刀直入に申し上げます。藤田さんから仮交際辞退の申し出が出ました。」
奈美はショックだったが、37歳、年収2,500万以上の方の名前を憶えていない自分に少しショックを感じた(これは作者も結構経験しています)。
「藤田さんはご登録いただいてる男性の中でもトップクラスです。
年収・年齢・ルックス・性格、全て完璧。
ただ、社長なのでご多忙と真面目過ぎる性格故に、結婚相談所を利用しているのです。
仮交際どころか、もう貴方のようなタイプの女性は推薦候補者から外して欲しいとおっしゃっています
優しい藤田さんがそんなことを仰るのは初めてです。」
奈美はひどく混乱した。
「え…?ちょっと理解できないんですけど、どういうことですか」
『待ったをかけた ちょっと考えた 馬鹿な女 まんまと掛かった
だからどうした?
自ら望んだと言ってんじゃん 待ったをかけた ちょっと考えた
少々ちょっと考えたから
だからどうした? お望み通りの末路です!』
【歌詞引用】なきそ『ド屑』
相手のスペックしか興味がなかった
「では奈美さん、藤田さんがどのようなタイプで、どのような結婚を望んでいるかご存じですか?」
「…初対面だったのでそれは伺っていません。」
「ではお話を伺って、実際藤田さんはどのような方ですか?」
「37歳の経営者で、年収2,500万以上の方は東京都目黒区在住、慶応義塾大学総合政策学部出身。経営するIT系のベンチャー会社の社員や約30名程度で、5期目で経営は順調そうだと伺いました。」
「そうですよね。貴方は表面的なスペックで、藤田さんに好感を持った。
だからどのような女性を求めているか全く考えもしなかった。
藤田さんの話を殆ど聞かずに、ご自身の仕事や人生の自慢話ばかりされていたそうですね。コミュニケーションが一方通行だったんですよ。」
確かに奈美は藤田さんの名前すら憶えていなかった。
奈美は怒りを通り越して、だんだんと悲しくなる。
黙って私に従って
『なんでなんでなんでなんでなんで
なんでなの どういうつもり なんでなんでなんでなんで
黙って私に従って 黙って私に従って 黙って私に従って 従え 従え 従って
君に一切の拒否権ないよ』
【歌詞引用】なきそ『ド屑』
自分の意志でうまくいかなかったことが人生で一度もないので想像以上のダメージを受けている
「奈美さん。僕の意見は多少堪えるかもしれませんが、今後は改善に努めてください。目標は結婚です。
奈美さんは男性慣れしていない。悪いことではありませんが、今後の為に、ご自身でも男性と接する機会を積極に設けてください。
既にお見合いは12件埋まっておりますし。表面的には奈美さんは素晴らしい女性なんです。場数を踏んで、一緒に頑張りましょう。」
奈美はこれからある12件のお見合いでうんざりしてきた。
奈美は学業や就職で苦労したことがない。人生初の挫折なのだ。
自分の意志でうまくいかなかったことが人生で一度もないので想像以上のダメージを受けている。
『黙って従って 黙って私に従って 従え 従え 従って
お願い お願い お願い お願い
黙って私に従って 黙って私に従って
従え 従え 従って 従え 従えって言ってんの』
今回で無理ならもう結婚を生涯諦めよう
今回で無理ならもう結婚を生涯諦めよう。行動するのが遅すぎました。
カッコ良くて誠実で優しくて高収入で30歳前後で話が面白くて、一緒にいて楽しい、好きになれる方。恋愛感情芽生える方はもう残ってる訳がない。
そういう方は既に既婚者か彼女がいる。
もう残飯から頑張って食えそうな物探すしかないんだ。無理。
『黙って私に従って 黙って私に従って 従え 従え 従って
お願い お願い お願い お願い お願い お願い お願い お願い お願い』
【歌詞引用】なきそ『ド屑』
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