【ショートショート】憑き物の予約
カランコロンと扉が開いた。
「いらっしゃいませ。おや、先日はいかがでしたか」
つい2週間前に来店した客なので店主は顔を覚えていた。
「小バエで散々な目にあったぞ」
「それは申し訳ございません。予めご了承いただいたハズですが…」
「苦情を言いに来たんじゃない。肝に銘じて早々に来年の予約を取りに来たんだ」
「そうでしたか。承知致しました」と店主は棚から商品メニューを取り出した。
「何!?もう売り切れがあるのか」
「はい。やはり人気の憑き物はシーズン終了と同時に来年度の申し込みがあ