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株式会社設立の登録免許税を半額にするには(15万円→7.5万円)2024/3/31まで

司法書士事務所YOSHIDA OFFICEの代表吉田といいます。

本記事では、株式設立の登録免許税を半額にする方法をご紹介します。司法書士へ依頼する場合だけでなく、本人で申請を行う場合にも利用できる制度です。無論、合法で、特段のリスクもありません。ちょっとめんどくさいだけ。

前提として、株式会社の設立登記を申請する際には、登録免許税として通常15万円*がかかります。

* 厳密には、株式会社設立の登録免許税は、資本金の額×0.007円で算出します(最低額は15万円)。つまり、資本金が約2142万円未満であれば登録免許税は15万円となります(登録免許税法別表第一第二十四号)

ただし、創業者が、市区町村*1から支援*2を受け、証明書を発行してもらえれば、株式会社設立登記の登録免許税は半額の7.5万円に軽減することが可能です*3。

なお、合同会社の設立登記であれば6万円が3万円に減額されます*4。

*1 「市区町村」について
国から産業競争力強化法に基づく認定を受けた市区町村に限られます。令和2年6月26日時点での認定件数は1,299件(47都道府県1,455市区町村)。

産業競争力強化法に基づく認定を受けた市区町村別の創業支援等事業計画の概要(中小企業庁)
https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/chiiki/nintei.html

※以下の府県では、すべての市町村で認定されています。宮城県、茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、石川県、福井県、山梨県、三重県、滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県、鳥取県、広島県、山口県、福岡県、長崎県。

* 2 「支援」について
「特定創業支援等事業」を指します。創業者に経営・財務・人材育成・販路開拓に関する知識を習得させるために、市区町村が支援する事業のことです。本支援を受ければ、登録免許税の減額以外にも種々の優遇が受けられます(創業融資の税率優遇、利子補給など内容は市区町村によりけり)。

*3 *4
2024年(令和6年)3月31日までの間に登記を受けるものに適用。(令和4年までだったのが令和4年度税制改正で2年延長となりました)

租税特別措置法(令和4年4月1日改正法施行)
(認定事業再編計画等に基づき行う登記の税率の軽減)
第八十条 (1項省略)
2 個人が、産業競争力強化法第百二十八条第二項に規定する認定創業支援等事業計画に係る同法第百二十七条第一項又は第百二十八条第一項の認定を受けた市町村(特別区を含む。)の区域内において、当該認定創業支援等事業計画に記載された同法第二条第二十六項に規定する特定創業支援等事業による支援を受けて会社の設立をした場合には、当該会社の設立の登記に係る登録免許税の額は、財務省令で定めるところにより同法の施行の日から令和六年三月三十一日までの間に登記を受けるものに限り、登録免許税法第九条の規定にかかわらず、次の各号に掲げる会社の区分に応じ、当該各号に定める金額とする。
一 株式会社 当該株式会社の資本金の額に千分の三・五を乗じて計算した金額(当該金額が七万五千円に満たない場合には、申請件数一件につき七万五千円)
二 合名会社又は合資会社 申請件数一件につき三万円
三 合同会社 当該合同会社の資本金の額に千分の三・五を乗じて計算した金額(当該金額が三万円に満たない場合には、申請件数一件につき三万円)

本制度は、低迷する日本の開業率(5%)を英米並み(10%)に押し上げるべく、平成26年に施行された産業競争力強化法に基づく地域の創業促進施策の一つです。

なお、5年が経過したものの開業率は全く改善されていない模様…
「支援しても起業進まず? 開業率、18年度は急低下(日本経済新聞)」
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO49402420U9A900C1EA1000/

支援対象は、原則として、数ヶ月以内に新たに事業を始めようとする個人としている市区町村が大半です。ただし、市区町村により細かい要件は異なります。

大まかな手続きとしては、
1.開業予定の市区町村窓口へ相談
2.アドバイザーと相談、またはセミナー等参加
   ※複数(3~4回)の参加・相談が必要
3.創業計画書等の作成、提出
4.市区町村に証明書交付申請を行う

格別難しい要件もなく、また、抽選というわけでもありませんので、時間にゆとりのある方は特定創業支援に乗っかったほうが得です。ただ、設立間近ともなると、役場へ3回、4回と足を運ぶ時間がないので断念する方が少なくないのが実際です。

そこで、創業をはっきりと志すまでいかずとも、まだぼんやりとした段階で一度足を運んでみることを私はお薦めしています。特定創業支援の創業相談を受けることにより、逆に自分の行う事業が明確化されていく効果も期待できます。

なお、市区町村により、資格要件と受給のための手続きが微妙に異なりますので、「(開業予定地)+特定創業支援等事業」で検索し、各市区町村窓口に詳細を確認ください。

特定創業支援等事業につき市区町村リンク先(一部)
(東京都)
千代田区中央区渋谷区新宿区文京区台東区墨田区江東区品川区目黒区大田区世田谷区港区中野区杉並区豊島区北区
板橋区足立区
(政令指定都市)
札幌市仙台市さいたま市千葉市横浜市川崎市相模原市新潟市静岡市浜松市名古屋市京都市大阪市堺市神戸市岡山市広島市北九州市福岡市熊本市

ちなみに、私は東京都品川区で特定創業支援等事業の支援を受け、証明書を発行してもらいました。品川区の場合は、中小企業診断士と1回1時間の面談が4回必要なうえ、オンライン不可で対面での対応のみの受付でしたのでまぁまぁ大変でした。

2020-07-12特定創業支援証明書 (1)

以上です。皆様にとっての起業がよりよきものになりますように。

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