京阪杯の頃 2023

 僕の大好きだった馬、ファンタジスト。彼が競走を中止し、亡くなった京阪杯から、もう、4年の時が経った。彼のことを考えると、胸が締め付けられる様な気持ちになった時期もあった。ただ、今はもう、それだけではない。今年の小倉2歳で彼の全弟アスクワンタイムが、思い出させてくれた。鮮明に、ターフの上で輝く彼の姿を。小倉2歳でのアスクワンタイムの叩き合いは、まるでファンタジストの京王杯2歳の様に僕には見えた。嬉しかった。輝いていた彼を、心の奥から引っ張り出してくれて。だから、アスクワンタイムには感謝している。
 今、僕には、ガイアメンテという応援している馬がいる。東スポ杯2歳のパドックで彼の姿を見た時、「落ち着いてくれ、落ち着いてくれ。頼む。」という祈りにも似た想いと共に彼を見つめていた。そういえば、こんなことがあったな、と。どこか懐かしい気持ちにもなった。ファンタジストは、パドックでよくクビを上下に振っていた。ふと、そんなことを、想い出した。僕の心の中に、彼はいる。僕の心の中で、彼はまだ生き続けている。僕のこの命が尽きるまで、彼は生き続ける。僕はこれからも、生きていく。彼と共に。
楽しいことも、悲しいことも全て、あの時期の僕は、彼と共にあった。その全てを想い出として抱えて、生きていく。
彼とは、もう、会えない。けれど、いる。彼は。僕と共に。
僕も行く。やがて。彼の処へ。
いつか行くその日まで、僕は生きていく。彼と共に。


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