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遠慮なければ近憂あり

2020年4月に緊急事態宣言が発令されましたね。その頃のマスコミ・放送メディアがどうなっていたか、書き遺しておきたいと思います。日本のマスコミ・放送メディアがなぜここまで低迷したか、少しご理解いただけるのではないかと考えます。

基本的にほとんどの社員がリモートワークに切り替わりました。役職に就いている社員はコロナ禍でも出社を余儀なくされ、何かあった時の対応に備えていました。営業活動は封じられ、イベント等も全面禁止でしたから、取材もできない、ロケもない。しかしながら、この時点ではデジタル化しておらず、ZOOMなどを活用するにしても対応できる人間がいないという状況。時間が経ってから、機材を買い揃えた状態でした。半年は経っていたでしょうか。実はコロナ禍が起こった時は、それまで付いていたスポンサー企業はすぐに離れなかったのです。「惰性」は放送メディアの得意技ですから「波風さえ立てなければ継続される」という意識の下、こういう時は代理店に任せておけば良いんだよ。という考え方が支配していました。自分たちが責任を取りたくなかったからです。だから、すぐにリモートで出演者と繋ぐことには対応してくれませんでした。

しかし、現場を預かる制作スタッフはそうも言っていられません。番組を作らなくてはならないのです。成立させなくてはならないのです。もちろん、出演者の中にはスタジオに来たがらない人もたくさん出てきました。ゲストは基本NGです。私たちは混迷を極めました。そうこうしている間に、少しずつ、スポンサーが降りていくことになります。仕事が減り、アシスタントを1人、また1人と切らざるを得ない状況になっていきました。企業は社員を守るために、取引先から切っていきます。犠牲になったのは若手アルバイトスタッフや派遣です。制作会社やフリーランスの人間が守られることはありませんでした。本当に厳しかったのはエンタメに関わっていた人たちだったと思います。ライヴハウスがクラスターの原因と報じられたことにより、悪者にされた上、仕事をさせてもらえませんでした。飲食店同様にゼロゼロ融資を受けた制作会社もかなり多かったはずですが、コロナ禍が終わったとされた今もなお、返済の糸口は見つけられていないと思います。

タレントや制作会社にとっては大きな打撃になったコロナ禍ですが、基本的に放送メディアの社員はほぼ影響を受けませんでした。元々、働かなくても給料は確保できる「ぬるま湯体質」です。「自分たちさえ何とかなれば良い」という典型的な考えの下、周りの人がどうなろうが知ったこっちゃない。という状態でした。しかし、彼ら社員は職域接種という絶対にワクチンを接種しなければならない局面にも晒されることになるのですがね。

コロナ禍だろうが何だろうが、現場で活動する人たち、例えば、出演者、カメラマン、音声、美術、ディレクターにAD、事務所のマネージャー、メイクさんなど、当然ながら、接触しまくりでした。放送メディアはリモートワーク推奨でしたが、できるわけがありません。しかも、現場は個人事業主も多く、コロナに感染して休むことになっても補償はありません。タレントは基本的に全員が個人事業主です。病気で休むことは事業主の責任です。タレントの場合はある程度、事務所が守ってくれる場合もありますが、タレントが働かないことで、痛手を被るのは事務所ですから、今回の松本人志氏の問題でもそうですが、最終的には吉本興業は松本人志氏を切るでしょう。ですから、松本氏は裁判には勝てても、名誉回復にもならなければ、再び、仕事ができるようにもならないと想像できます。政治家だったら良かったのにね。また、コロナ禍でも接触しまくることで、出演者やタレントにも感染が広がり、休まなければならなくなったりしましたね。まあ、感染経路はイチャイチャするからですけどね。

また、コロナ禍が与えた大きな打撃の1つに、太古から受け継いできた「飲み会」などの非効率な営業方法を封じられたことがあります。この業界は人と人の繋がりで成り立っています。上の人間と上の人間同士の繋がりで決まる仕事の何と多いことか。いろんな仕事はお姉ちゃんのいる飲みの場か、ゴルフ場で決まるのが相場です。例えば、出演者を「オーディション」で選びます。と言っておきながら、関係性のある事務所にしか通知していないことも多いです。小さな事務所は基本的にはノーチャンスです。1人1人が頑張って、とにかく交友関係を広げるしかない。個人的に舞台でも何でもオーディションを受けたおし、出演が決まったら、周りにガンガン絡んでいく。それも鬱陶しいのではなく、良い子だと思われなきゃダメ。芸能界の99%はそうやって仕事を増やしていくのです。ですから、この業界では枕営業などの噂が後を経ちません。

そうやって、コロナ禍まではうまく回ってきたマスコミ・放送メディアですが、コロナ禍でSNSやYou Tube が台頭し、取材できないことで、X(当時Twitter)やYou Tubeからネタを得て、必死でネタをネット検索していました。この時点でおかしいということに誰も気づいていませんでした。放送メディアのネタ元は全てネットです。素人さんが発信したネタです。まさに本末転倒です。それ以来、テレビのネタは完全にネット頼みになってしまいました。勿論、制作も楽だからです。しかしながら、人が減っている上に、ネットからのコピペが多くなってしまったことで、裏取ができず、幾度となく、誤りのアナウンスが流れることになってしまいました。フェイクニュースを流してしまう前に、放送メディアは、再度、自分たちで取材したネタを中心に構成する必要があります。しかしながら、それはもはやできないでしょう。コロナ禍で大量に若手を切ってしまいましたから。

もう少し早く、マスコミはデジタル化を進めるべきでした。デジタルテレビの特性もうまく使えなかったので、当然、デジタル化などできるはずがないとは思っていましたが、要するに「知らない」のです。何をどうすれば利益に繋がるのか、いや、そもそも何ができるのか、解ろうとしない世界です。私がデジタルコンテンツを取り入れようとした時も恐ろしいほどの拒否反応がありました。もう7〜8年前の話です。デジタルコンテンツはマスコミの敵だと考えていたようです。この業界は絶対に廃れていくと思いました。

「例えば、You Tube の動画を作ったとして、権利はどうなるの?」
「音楽作品などと同じで、制作者が著作権を有します・・・」
「じゃあ、その動画を売って収益にするの?」
「You Tubeの場合は再生回数に応じて収益できる仕組みです」
「権利関係がよくわからんなぁ・・・」
「だから、同じです」
「だって販売しないんでしょ?」
「ですから、収益化とそうでないものと2種類ありまして・・・」
「よくわからないなぁ・・・」

という感じです。ですから、素人の皆さんの方が放送メディアより圧倒的に成功できるチャンスがあるかと思います。放送メディアに残された道は「Abema TV」方式しかないのだと思います。どこまでいっても、放送メディアは権利商売しかしたことがないので、わからないのです。どちらにせよ、日本にはYou Tubeに肩を並べられる動画共有プラットフォームはありません。今の日本ではYou Tubeで動画をアップし、SNSで拡散することを、企業単位ではなく、個人単位で行なっているように見せる方が近道だと思います。しかし、それには、海外のサービスを使う選択肢しかなく、どの選択肢をとるにせよ、日本企業の収益が上がるものではありません。コロナ禍は結果的に日本経済全体を沈没させることになったわけです。本格的に表に現れてくるまでにはまだ何年もかかるでしょう。

ただ、その頃には、マスゴミの元凶となった世代は定年退職で逃げ切っているでしょう。マスコミでは「やり逃げ」が基本です。「もう放送メディアは終わりだよね」とわかっていて「新しいことはしなくて良いから」「退職金もらうまでそっとしておいて」という静かな圧力から、マスコミは成長を諦めたのです。若い世代が声を上げられない空気が漂い、時間だけが無情に過ぎて行きます。今、20代〜30代の若手社員は自分たちが実権を握る頃、売りが何もないという状況ではないでしょうか。大変ですよね。電波もどうなるかわからないし、このまま「権利」だけが奪われてしまうことになったら・・・。若手社員は潰しが効きます。早く逃げましょう。

実はマスコミは老害の巣窟。
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