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MY FAVORITE 1970 Porsche911T archive 20年乗ったポルシェのエピソード2

episode2 About 12years ago.

クーラーのないクルマにとって唯一蒸し暑い梅雨時だけは乗るのを控えたいのですが、そんなわけにもいかない時も、、、。

マニアック過ぎなので、ほとんどの方は興味のない話です、多分。

ちょっとした打ち合わせで人待ちをするために青山のギャルソンの前の道路に駐めていました。雨なので窓を閉めてタオルで汗をぬぐいながら、外を見てると、見た目20代?の白人のカップル(場所柄か二人ともモデルのようにオシャレでかっこいい)がこっちを見てる、っていうか車の周りを男の子が指さしながら彼女に何か話しながらぐるりと回ってる。「へえ、こういうのに興味を持つ若い子もいるんだ」

そうやって何分か見てたら、突然ウィンドウを指でつつくので、「雨だから開けたくないなあ」と思いながらちょっとだけ開けると、何やら早口で男の子が話し始めましたが、ただでさえ英語が苦手の上、アメリカ英語の早口と雨の音と雑踏の喧騒で、何言ってるのかわからない、でも彼は話し続ける、、、なんとなく頻繁に「ヒューシュ(そう聞こえた)」を繰り返す。

(・・・???)

そのうち「ホイール」「キャスティング」「ロングホイールベース」とかの単語が頻繁に出てくる。

(ん?ひょっとして、まさかこのナローのFuchsフックス製ホイールのこと話してる?、、、まさか)

そう思ってその耳で聞き直すとだいたい次のようなことを言っていたことがわかりました。

「このポルシェが大好きだ。前期のショートホイールベースより後期のこのロングホイールベースの方がスタイリングバランスがすごくいい。そしてこのフックスホイール、マーヴェラス!ロスやニューヨークでも最近はこのホイールも見かけなくなった、最高だよ」

「この車、ロスから輸入されたものだよ」

「Wow!いい車見られて嬉しいよ 」

「こちらこそありがとう、チャオ」

握手して別れました、、、隣の彼女にハグしたかったけどやめときました、、、雨だったしw

やはりアメリカは音楽に対しても自動車に対しても奥が深いということを身を以て実感しました。

それにしても20代(30代かもだけど絶対40代ではない)の若者の興味や知識、まんざら捨てたもんじゃないな、と雨で蒸し暑かったけど心が晴れやかな時間になりました。

ps: フックスホイールとは、鍛造ホイールという金型に溶かしたアルミ合金を流し込み、冷やして固める際に大きな圧力をかけて製造するワンピースホイールで、当時かなり高価でこの時代のナローポルシェのみに供給されていたと言われています。普通は鋳造でツーピースに別れているホイールが使われていますが、鍛造ホイールは高い技術が要求されますが、耐久性とともに精度も優れ軽く作ることができいわゆる腰下荷重軽減に寄与して高速安定性にも有効とされる。


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