打ち上げ花火
夏を題材にした映画や小説は、なぜ心をこんなにも揺らすのだろうか。
僕は夏を題材にした小説をよく購入する。春や秋や冬より、圧倒的に。
タイトルから夏を感じる小説もよく買うのだが、やはり表紙が夏模様だと、つい手に取ってしまう。内容もよくは読まずに、そのままレジに並ぶことが、よくある。
近頃は、そんなジャケ買いが増えている。
小説家に知られたら怒られてしまいそうだ。
家に帰って自分の部屋で買ってきた小説を読む。やはり夏を舞台にした内容のようだ。
そんな内容の小説を、1ページ1ページ、ゆっくりと、夏を少しばかり感じる5月上旬に、1人で読む。
こういう読み方をすると、小説の内容とリンクし、夏が待ち遠しくなる。
外では小学生くらいの子供たちが4人ばかり、明るい声を響かせ走り回っている。
ああいう時代もあったなと、高校生の私は感じてしまうのだ。
なんとも年不相応だ。ただ、こういうことを感じる年齢になったのだなと、自分の成長を感じることも、よくある。
60ページ程を読み進め、目と頭が程よい疲れを感じ始めたため、リビングで休憩を取ることにした。
小説を机に置くと、夏を感じる日差しが、表紙の打ち上げ花火をより輝かせる。
「表紙がいい小説は内容もいいんだな」と、自分の悪い買い癖を肯定しながら、リビングに向かう。
続きは明日、大切に読み進めよう。
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