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食べたいものを食べるハードル

食べたいケーキを見つける

私は甘いものが好きだ。
甘いものの代表格?であるケーキももちろん好きだ。
「苺タルト」はケーキの中でもかなり好きな部類に入る。
そんな苺タルト。ケーキ屋さんでは大体売っているけど、スーパーではあまり見かけない。
ケーキ屋さんは、摂食障害の私にとっては精神的にも、そしてお財布的にも色々と厳しいところがあるので長らく行っていないけど、スーパーのスイーツコーナーはどうしてもチェックしてしまう。

そして1月半ば、スーパーのスイーツコーナーで気になる商品を見つけた。
それが、「苺のタルト」である。

スーパーで売っているケーキは、クリスマスや何かのご褒美として時々買うことがある。
しかし、苺のタルトはなかなか売っていないため買うことがほぼない。
私はタルトに飢えていたのかもしれない。
苺のタルトが無性に食べたくなった。

摂食障害によるハードル

先ほどもちらっと触れたけど、私には、中学生の頃から十数年の付き合いの「摂食障害」がある。
私の摂食障害について書き始めると、おそらく長い話になってしまうのでここでは書かない方がよさそう。
簡単に言えば「食へのこだわり」や「カロリーに対する恐怖」などがつきまとっている状態。(それだけじゃないけど)
毎日、毎食、摂取するカロリーの許容範囲がある。(自分の偏った考えで決めてしまっているだけだけど)
そしてその許せる範囲のカロリーを超えて食べてしまうのが異常に怖い。
なので、ケーキを食べるのは毎回とても大変だ。

食べるための計画

苺のタルトは2個入で販売されているもので、1個当たりのカロリーはさほど高い方ではない。
しかし、それでも私の普段の食事で食べる食品と比べると、高い。
「食べたい!買って食べよう~♪」とスムーズにいくわけがない。
その場で買う勇気はない。
買って食べるためには、自分が許せるように計画を立てなくてはいけない。

一度、家に帰って考えよう。
そう思ってお店を後にする。

家に帰って、食べるための1人作戦会議が始まる。
まずは食べる時間。
夜にカロリーが高いものを食べるのはハードルが高い。
今回もそのハードルに負けて、お昼に食べることにする。

お昼の内容も、自分が許せるカロリーに少しでも近づけるように、しっかり考える。
ケーキ以外はなるべくカロリーを抑えて、だけどケーキだけだと栄養が不足しそうだから…と、自分なりに考えまくる。

これとこれを食べて、そしてケーキを食べよう。
前後の食事も食べ過ぎないようにしよう。
それでも怖いけど……何とかいけそうだ。

買いに行った日に売っていなかったら、それもそれで予定が崩れて取り乱してしまう可能性が高い。
なので、いつまで売っているか確認しておかないと、不安だ。
ネットで調べても、お店の入荷予定までは分からないので、お店に直接電話する。
そんなことを聞いたら迷惑かもしれない。面倒な客だって思われるかな。
そんなことを考えながら電話をした。
対応してくれた人は、親切に調べてくれ、しっかり予定を教えてくれた。とてもありがたい。。

食べる日の計画が立ち、いつまで売っているかも分かった。
あとは心の調子が良く、食べられそうで、食べたい気分の日が来たら買いに行こう。
そう決意したのが1月下旬。

ようやく買いに行く

時は過ぎて2月中旬を過ぎた。
決意してから2週間。まだ買えていない。

買おうかなと毎日のように迷うのだが、本当に今日が食べたいのか、今日は食べられそうなのか…と、考えすぎて疲れるだけ。
何だかんだで「買う」までたどり着けなかった。

買おうとしているスーパーでは、2月末までの取り扱いだとのことだった。
まだまだ時間があると思っていたが、気づけば残り2週間を切っている。

毎日のように食べようか迷っていると、本当に食べたいのかどうかも見失っていく。
しかし、ここまで考え抜いて、問い合わせまでした。
そして考え直しても、やっぱり食べたい。

ようやく買いに行く日を数日後に設定する。

そしてその数日後。
お昼に食べられるよう、お昼前にケーキを買いに出かける。

お店に到着。
ケーキを買うと言っても、私が買おうとしているのはケーキ屋さんで売っているものではなく、スーパーのスイーツコーナーで売っているケーキ。
なので、自分でカゴに入れてお会計をする。

そしてケーキを手に取る。
食べ物を買うときはカロリーを見るのがもう習慣になっているので、自然と裏の栄養成分表示に目が行く。

やっぱり、高いな…

当然ケーキのカロリーが低いはずもない。(事前に調べているので分かり切っていることだけど)
ふだんの昼食より、高カロリーの食事になる。
そう思うと怖くなり、一旦ケーキを棚に戻す。

そのまま、しばらく固まる。
どうしよう。買おうと決めてきたけどやっぱり怖い。
静止したまま数分。他のお客さんが来るので、とりあえずそのまま移動する。

数日前から食べたくて、買おうと決めていたんだ。
ちゃんと計画して大丈夫だって思えたから、大丈夫なはず。
それでもやっぱり怖い。そのぶん運動で消費できるほど元気もないだろうし…
きっと食べたらおいしいだろう。
食べなかったら後悔するかな?
食べても、食べちゃったことに後悔するかな…?

そもそも、食べたいという気持ちは本当なのだろうか?
自分は甘いものが好きだから食べたいはずだと思っているだけで、本当は別に食べたくないのではないか?
食べなくても人生に影響するわけでもないし、食べない方が楽なのではないか?
なんで食べたいと思ったんだろうか…?

そんなことをぐるぐる考えながら、店内を徘徊する。
もう10周くらいして、疲れ切る。
そろそろさすがに怪しい。決断をしなくてはいけない。
そう思って、スイーツコーナーに戻り、ケーキを見る。

…おいしそうだな。

見た瞬間にそう思った。思うことができた。
もうここで考えたらまた分からなくなることは分かり切っていた。
すぐにタルトをカゴへと入れる。

買えた。
怖さは消えていないけど、買えたことがまず嬉しかった


おいしく食べる。タルトはうまい。

家に帰って食べる。買うまでの長い葛藤に比べたらよっぽどスムーズにできた。
しっかり計画して「大丈夫だ」と思えた自分を信じられたというのもあるが、疲れて考える力をなくしていたことも大きい気がする。
なんにせよ、おいしく食べられたのは嬉しいことだった。
ここまで考え尽くしたのに食べられないこともよくあるので、これでもよくできた方なのだと思う。

タルトは、とてもおいしかった。
小さい頃から大好物だったので、おいしいに決まっていた。
イチゴジャムが乗ったタルト。
ケーキ屋さんの苺タルトのようなフレッシュな苺ではないところが、かえって酸っぱすぎなくて好きだ。
タルトのポイントであるカスタードクリームもしっかり入っている。
タルト台の香ばしさもある。
お手ごろ価格で食べられるのはありがたい限り。

おいしく食べられて満足できた。
買ってよかった。そう思えた。

嬉しくて、Twitterで呟く私。


まだまだハードルは高い

おいしいものを食べることは大好きだ。
しかし、おいしいものを食べるためのハードルはまだまだ高い。
今回も、食べたいと思ってから食べるまで、考えることが多すぎて…正直、疲れ切った。
おいしいものは自分へのご褒美でもあるのに、ご褒美を堪能するのにはかなりのエネルギーを使う。
それでも、食べたいと思うのは、やっぱり食べることが好きなんだと思う。
だからたぶん、また私は多大なエネルギーを使い葛藤しながら、おいしいものを食べていく。

いつか、もう少し食べることへのハードルを下げられたらいいな。


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