Step#25|茨木のり子『倚りかからず』を読んで
NHKクローズアップ現代で
詩人・茨木のり子の特集が放送されていました
茨木のり子 “個”として美しく~発見された肉声~
恥ずかしながら、この放送を見るまで、
どのような方か、全く知りませんでした
▼
茨木のり子は、
1926年大阪生まれの詩人、エッセイスト
19歳の時に終戦を迎える
その後、結婚し、家事の傍ら、
詩の創作を始め、同人誌を創刊する
詩集『倚りかからず』など多くの作品は、
2006年に79歳で亡くなった後も
人々の心に響き続けている
詩集『倚りかからず』を読んで
気になった作品を2つご紹介
▼
『苦しみの日々 哀しみの日々』
苦しみの日々
哀しみの日々
それはひとを少しは深くするだろう
わずか五ミリぐらいではあろうけれど
さなかには心臓も凍結
息をするのさえ難しいほどだが
なんとか通り抜けたとき 初めて気付く
あれはみずからを養うに足る時間であったと
少しずつ 少しずつ深くなってゆけば
やがては解るようになるだろう
人の痛みも 柘榴(ざくろ)のような傷口も
わかったとてどうなるものでもないけれど
(わからないよりはいいだろう)
苦しみに負けて
哀しみにひしがれて
とげとげのサボテンと化してしまうのは
ごめんである
受け止めるしかない
折々の小さな刺(とげ)や 病でさえも
はしゃぎや 浮かれのなかには
自己省察の要素は皆無なのだから
▼
『倚りかからず』
もはや
できあいの思想には倚りかかりたくない
もはや
できあいの宗教には倚りかかりたくない
もはや
できあいの学問には倚りかかりたくない
もはや
いかなる権威にも倚りかかりたくはない
ながく生きて
心底学んだのはそれぐらい
じぶんの耳目
じぶんの二本足のみで立っていて
なに不都合のことやある
倚りかかるとすれば
それは
椅子の背もたれだけ
▼
いずれも簡単な言葉で、
ストレートに語られています
組織や他人に依存したり、
迎合することなく、
自らの足で戦争や苦難を
乗り越えてきた生き方が表れています
また、素直な表現の数々に
非常に励まされますし、
読み終わった後も、
深い感慨に浸れるような気さえします
▼
この詩集では、20ほどの詩が紹介されていました
その中で、この2つが引っ掛かったということは
僕の価値観ときっと深く関係していますね
鮒谷さんの個別コンサル時に提出した
質問書を見返してみると
「事なかれ主義」「旧態依然」よりも
「努力」「変化」「諦めない」の方が好き
と書いてありました
これを機に、他の詩集も読んでみようと思います
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?