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Step#25|茨木のり子『倚りかからず』を読んで

NHKクローズアップ現代で
詩人・茨木のり子の特集が放送されていました

茨木のり子 “個”として美しく~発見された肉声~

恥ずかしながら、この放送を見るまで、
どのような方か、全く知りませんでした


茨木のり子は、
1926年大阪生まれの詩人、エッセイスト
19歳の時に終戦を迎える
その後、結婚し、家事の傍ら、
詩の創作を始め、同人誌を創刊する
詩集『倚りかからず』など多くの作品は、
2006年に79歳で亡くなった後も
人々の心に響き続けている

詩集『倚りかからず』を読んで
気になった作品を2つご紹介


『苦しみの日々 哀しみの日々』

苦しみの日々

哀しみの日々

それはひとを少しは深くするだろう

わずか五ミリぐらいではあろうけれど

さなかには心臓も凍結

息をするのさえ難しいほどだが

なんとか通り抜けたとき 初めて気付く

あれはみずからを養うに足る時間であったと

少しずつ 少しずつ深くなってゆけば

やがては解るようになるだろう

人の痛みも 柘榴(ざくろ)のような傷口も

わかったとてどうなるものでもないけれど

(わからないよりはいいだろう)

苦しみに負けて

哀しみにひしがれて

とげとげのサボテンと化してしまうのは

ごめんである

受け止めるしかない

折々の小さな刺(とげ)や 病でさえも

はしゃぎや 浮かれのなかには

自己省察の要素は皆無なのだから


『倚りかからず』

もはや
できあいの思想には倚りかかりたくない

もはや
できあいの宗教には倚りかかりたくない

もはや
できあいの学問には倚りかかりたくない

もはや
いかなる権威にも倚りかかりたくはない

ながく生きて
心底学んだのはそれぐらい

じぶんの耳目
じぶんの二本足のみで立っていて

なに不都合のことやある
倚りかかるとすれば

それは
椅子の背もたれだけ


いずれも簡単な言葉で、
ストレートに語られています

組織や他人に依存したり、
迎合することなく、
自らの足で戦争や苦難を
乗り越えてきた生き方
が表れています

また、素直な表現の数々に
非常に励まされます
し、
読み終わった後も、
深い感慨に浸れるような気さえします


この詩集では、20ほどの詩が紹介されていました
その中で、この2つが引っ掛かったということは
僕の価値観ときっと深く関係
していますね

鮒谷さんの個別コンサル時に提出した
質問書を見返してみると
「事なかれ主義」「旧態依然」よりも
「努力」「変化」「諦めない」の方が好き
と書いてありました

これを機に、他の詩集も読んでみようと思います

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