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北のまほろば 〜GW津軽の旅〜 ⑤五所川原編

2024/05/06 DAY5

白神岳に登った翌日。せっかく南九州から北東北まで遠征してきたのだから、未踏の百名山である八幡平に登ろうと思っていた。しかし、カーナビで調べてみると、なんとここから車で4時間半もかかる!

それでもまだ行くつもりだったのだが、朝4時半に起きてみると、身体が重い。このコンディションでは、到底4時間も運転できそうにない。
さっさと諦めて、二度寝を決め込む。

民宿汐ヶ島のこんなゴージャスな朝食をゆっくり食べられただけでも、やめて正解だった。

民宿 汐ヶ島の朝食

そもそも、予報によれば、この日から天気が崩れるのである。
実際、昼過ぎから雨が降り出した。苦労して行ったところで、きっと楽しくなかっただろう。

八幡平は、秋田側からだと非常にアクセスが悪い。またの機会に、岩手側からリベンジすればいい。
それに、津軽で旅を完結させたほうが、美しい。旅は一つの物語なのだから。

さて、ではどこに行こう?

地図を眺めてみると、ここから青森に戻る途中に、五所川原を通ることに気づいた。そこで、金木(現五所川原市)の斜陽館—太宰治の生家—に行ってみることにした。
自分は太宰治のファンというわけではないが、中高生のときは太宰や芥川ばっかり読んでいたのだ。

斜陽館はかつて旅館として使われていたが、1996年に金木町(当時)が買い取って往時の姿に復元し、記念館として再出発したという。それで良かったと思う。
それにしても、太宰は陰鬱な小説ばっかり書いているのに、こんな大ブルジョワだったとは知らなかった。しかも11人兄弟の10番目という。

斜陽館
太宰が育った家
中央の漢詩に「斜陽」の二文字が見える

すぐそばに、幼少期の太宰が子守りのタケに連れられてよく来たというお寺(雲祥寺)がある。太宰は、そこにある地獄絵図を見て、怖くて泣き出したという。

太宰が幼少時に訪れた雲祥寺
お寺の中にある地獄絵図
雲祥寺の地蔵堂。キリスト教風味

隣に、津軽三味線会館という施設があった。斜陽館との共通券(1000円)を買ったので、それほど期待せずに行ってみた。

すると、三味線の生演奏にすっかり心を奪われてしまった。
GWの最終日だというのに観客はまばらで、特等席で鑑賞することができた。演奏中でも写真撮影可というので1枚だけ撮らせてもらったが、なんだかとてもいい写真が撮れた気がする。

津軽三味線

それから五所川原中心部に戻り、民宿のおばちゃんおすすめの「立佞武多(たちねぷた)の館」へ。
これがまた、非常に印象的だった。ビルの4階に匹敵する高さの立佞武多は、ただただ圧巻。エレベーターで一旦上まで登り、螺旋状にぐるぐる降りながら立佞武多を鑑賞する仕掛けになっている。

下から見上げる立佞武多:かぐや
下から見上げる立佞武多:素戔嗚尊
上から見下ろす立佞武多:かぐや
上から見下ろす立佞武多:素戔嗚尊

はるか昔、中学の修学旅行で青森に来たことがあるけど、こんなのなかったよな…と思っていたら、1996年に復活したものらしい。
明治頃まで、五所川原では立佞武多が行われていたが次第に縮小していき、いつかなくなってしまった。それが、民家から偶然、かつての設計図が発見されて、復活に漕ぎ着けたという。

青森に戻って「ワ・ラッセ」というねぶたの展示場も見学したが、五所川原のほうがずっと印象的だった。

青森市
ワ・ラッセのねぶた。ディズニーみたい?

GW最終日の青森の街には、冷たい雨が降りしきっていた。
これまで毎日、絶好の晴天が続いてくれたのは誠に幸運だった。【完】

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