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駐在員の存在意義。精神論を語る前に知識・技術・仕組みを正しく伝承する

こんにちは。よしです。先日社内で「ワールド改善フォーラム」というイベントが開催され、我がチームはなんと「ワールドチャンピオン」に選出されました。チャンピオンになったので、タイ人チームに「なんでもやってやるぞ」と調子に乗って言ってしまい、「週明けまでに髪を染めろ」と言われ正直困っているところです。

さて、先日、「海外で働きたい」と考えている日本人若手社員と複数の駐在員を招いての「座談会」なるものが開催されました。私もそこに招待されたのですが、今日はその中で受けた質問の一つを取り上げてみたいと思います。それは以下の質問です。

「品質マインドを海外現場に浸透させるのは、難しいでしょうか?」

この類の質問はこれまでにも何度も受けた事があるので、少し深堀りしてみたいと思います。

✓よくある質問「~マインド」について

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私の駐在期間中に受けた代表的な質問は、若干生産系には偏ってしまうのですが、以下のようなものが多かったです。

 ✓ものづくりマインドをどのように現地に醸成しているのか?
 ✓品質マインドをどのように現地に浸透させているのか?
 ✓ビジネスマインドをどのように現地に植え付けているのか?

いずれもよくある質問なので、生産系に携わる駐在員が同じような質問をこれまでに受けているかもしれません。

マインドは滅茶苦茶大事です。ですので、上記の質問は本当に大事な事を聞いてくれているのですが、一方で抽象度が相当高いので、しっかりブレークダウンして考える必要があります。

✓現地社員は本当にマインドが欠落しているのか?

私は東南アジアを中心に仕事をしているので、あくまで東南アジアで働いた私の経験に基づく考えになりますが、東南アジアの現地社員もそれなりに「ものづくりマインド」「品質マインド」それから「ビジネスマインド」を持っています。なので、「持っているか」「持っていないか」の2択で答えると「持っている」と言えるのです。

ところが、その「レベル感」には、こちらの期待値とは大きなギャップが存在するのです。では、そのギャップはなぜ存在するのでしょうか?

✓マインドのレベル感にギャップが存在する理由

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マインドのレベル感にギャップが存在する理由とは、ズバリ知識・技術・仕組みの欠落です。圧倒的に現地社員の知識・技術が足りていないのです。そして、社内の仕組みも不十分になっているケースが大半です。

具体的な例を挙げると、私が携わる飲料製造には「殺菌工程」というものが存在し、殺菌の重要なパラメーターとして「温度」と「時間」が存在します。

ところが、「なぜその温度設定にしているのか?」「なぜその時間設定にしているのか?」そもそも「殺菌とは?」の知識がなければその管理も正しく出来ません。そしてその重要な「温度」や「時間」が時として設定より下回った場合、それを検知する仕組みがなかったりするのです。

上記のような検知する仕組みもそうですが、従業員を「教育」するシステマティックな仕組みも不十分なケースが多いのです。

✓駐在員の存在意義。精神論を語る前に知識・技術・仕組みを正しく伝承する

「~マインド」につられて、日本本社から送付されて来たポスターを社内に張り出し、「社内への~マインド醸成に努めています」という駐在員もいるかもしれませんが、正直本質的な解決方法にはなりません。

駐在員の存在意義は、現地社員の知識・技術レベルを正しく認識し、まずはそのレベルを底上げする事です。そしてその為の「仕組み」づくりを徹底して行う事が肝要です。知識・技術・仕組みが積みあがっていけば、マインドは勝手に醸成されていくのです。

精神論を語る前に、現地社員の知識・技術、社内の仕組みを正しく構築する事が、駐在員の重要な役割の一つです。

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