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はたらくママ@シンガポールコミュ発起人まっきーさんに聞く、駐妻のリアルな悩み、そして今後のコミュニティーのあり方とは?

小野麻紀子(愛称:まっきー)
はたらくママ@シンガポールコミュ(500名)発起人。現在は「コミュニティコンサルタント」「ライフワークコーチ」として様々な女性のキャリアをサポート https://makico0414.com/

私がかつて駐在したシンガポールで知り合い「はたらくママ@シンガポールコミュ発起人」であり、現在は「コミュニティコンサルタント」「ライフワークコーチ」として様々な女性のキャリアをサポートをしている小野麻紀子(愛称:まっきー)さんにオンラインインタビューをさせて頂きました!(2020年11月29日)

----------簡単にまっきーさんの自己紹介をお願いします。特にシンガポールに住み始めて以降のキャリアについてお聞かせ下さい。

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2018年に夫の仕事の関係でシンガポールに住むことになりました。それ以前は日本で「女性の新しい働き方」を提唱する人材系の企業で広報を任されていたので、誇りを持ちながら仕事をしていました。

シンガポールでは現地採用として仕事を探しましたが、当時TOEICは300点で、英会話も日常会話レベルも危ういほどでした(笑)。よって、そもそも選択肢が少なく、最初の仕事は営業を日系企業向けに行うものでした。

正直日本でやっていた頃のように「誇り」や「やりがい」を仕事の中で持つことが出来ず、自分を表現する場を失ったように感じました。シンガポールに住み始めて1年半くらいは、「アイデンティティーロス」に陥りました。

夫が自分のやりたい仕事を通じどんどん成長する姿を隣で見るも素直に応援出来ず、そんな自分が嫌になりました。ホテルに家出したり、3日に1回は「この世の終わりだ!」と叫び、今思えば「自分で自分を認められない状態」だったのだと思います。

そんなモヤモヤが1年半くらい続いたのですが、その後本業であった「人材業」としてリクルートのシンガポール法人に転職したのがきっかけで、「誇り」や「やりがい」を少しづつ取り戻すことができました。

----------キャリアを模索していたまっきーさんが、「はたママ」というコミュニティーを形成するまでの過程も教えて下さい。

私のように現地採用で働いているママさんは少数派だったので、シンプルに仲間が欲しかったというのが理由の一つです。それで同じような立場の友達2人と「はたらくママ@シンガポール=はたママ」を立ち上げました。

はたママの活動自身はリクルートで働きながらボランティアでやっていましたが、続けるうちに見えてきたのが、皆さん「子育てと仕事の狭間で悩んでいる」ということです。そんな人達に向けて何かサポートしたいと思うようになったのです。

私自身の子育てやリクルートで働いた経験をベースに、「子育て×働く」が自分が提供できる価値であり、同じような悩みを持っている人の役に立つのではと思い始めました。

----------「はたママ」は今では凄く大きなコミュニティーに発展していますが、このコミュニティーがどんどん膨らんでいった要素は何でしょうか?

一番の理由は「人と繋がりたい」というニーズがあったからだと思います。例えば、職場にシンガポリアンの先輩ママがいたとしても、日本人の感覚で話を聞ける人ってほとんどいないのが現状です。そうすると「他の日本人はどうしているのかな?」と不安に思ったり、気になったりするんです。

凄い細かい話ですが、例えばシンガポールの保育園で野菜がほとんど入っていないヌードルが給食として出される時があります。シンガポリアンにとっては当たり前でも、日本人の感覚で「それで子供の栄養大丈夫?」って思ったりするんですね。そんな小さな話でも聞いてもらえたり、共感してもらって、笑い話にできるだけでもいいのです。

別の例で、子供が生まれて離乳食を何時にあげるのかも、働いていることで育児書と異なっていたり、専業ママと話して自分だけが違うと実は凄く不安になったりします。

でも同じ境遇の仲間に話をすると皆一緒の不安を持っていたり、時に共感してもらったり、それを通じて「不安が勇気に変わる瞬間」があるのです。女性にとって「共感」ってやはり大事なのです(笑)。

最初このような話は「現地採用組」や「国際結婚組」の現地で働いている人を中心に行っていたのですが、実は現在働いておらず「これからどうしよう?」と思っている人達にもニーズがあることに気づきました。

その気付きから「プレはたらくママ」という、“今は働いていないけどこれから働きたいと思っている人達も参加できるようにしました。その中に多く「駐在員帯同妻(以下駐妻)」も含まれるようになったのです。

----------実は今回まっきーさんとお話させて頂く機会を得たのは、まっきーさんに私の書いたブログ「駐在員帯同妻(駐妻)が持つ2つの側面。その現実について正しく理解しているか?」についてのご意見を伺いたいと思ったからです。まっきーさんの視点からこのブログを読んだ時にどのような感想を持たれましたか?そして駐妻の方々も多くコミュニティーに参加されている中、その方々のリアルな悩みは何なのでしょうか?

まず率直な感想で、「男性でここにしっかり向き合って書こう」と行動されたことことは凄いなと思いました(笑)。女性がこの件について書くのはあるかなと思ったのですが、男性がここについて書くというのが素晴らしいと思ったのが一番です。

内容に関しても、よしさんがこれまでの海外生活の中で、実際駐妻の方々から見聞きして感じたことが、スッと入って来ました。

ブログの中で“話を盛りつつ構築された華やかなイメージが「駐妻」と思うのです”という一文がありましたが、私もここが一つのキーだと思っていて、特に日本での仕事を辞めて駐妻になった皆さんは「自己表現の場」を失ったと感じる方がとても多いです。

私の場合、かつて「仕事が自己表現の場」と思っていて、駐妻の方々に限らず、ママになって職場から離れた場合にも「自己表現の場」が極端に少なくなります。それで皆「人生の迷子」に陥ると思うのです。ある駐妻さんが、かつて「駐妻になることは、強制リセットボタンを押される」という表現をしていましたが、まさにそれに近い感覚があるのだろうと思っていました。

自己表現が出来なくなると、皆それぞれに「価値」を持っているはずなのに、自分で「自分には価値がない」と感じてしまいがちです。冒頭私も1年半ほど「アイデンティティーロス」があったと言いましたが、仕事をしていても「誇り」や「やりがい」がないだけでそう感じる訳ですから、「自己表現の場」は凄く大事だと思うのです。駐妻の方々の悩みを聞くと、ほとんどの悩みがここに行き着きました。

----------そんな「自己表現の場」を失い、自分自身の「価値」を小さく見積もり、「人生の迷子」になっている人達にどのようなアドバイスをされているのですか?

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駐妻の方で以前「シンガポールに来て3ヶ月ですが、全く何もやっていないんですよ」と自信を失いかけていた方がいました。話を聞いてみると、子供のケアや日本食をどこで購入したら良いかなど、生活基盤を整えるのに実際は凄く沢山の事をされていたのです。

経験者はわかると思うのですが、海外で生活基盤を整えるのは凄く大変なことなのです。基盤を整えるのは必然的にやらなければならないことですが、「頑張り屋さん」であるほど、そういうことを「価値」として捉えていないケースが多く、「私は普通のことをやっているだけ」と捉えがちです。ですので、一つは話を聞きながら「それって価値があることだよ」と本人に気づいてもらうように働きかけます。

もう一つが、駐妻の方もそうですが、特にママになった途端、仕事をしているしていないに関わらず、「自分の本来好きだったこと」を忘れがちになっていると思います。そんな人達に向けてまずは「何が好きなのか?」「何をしたいのか?」をもう一度思い出してもらい、「また始めようよ!」と互いに励ましあいながら、前に進めるように働きかけます。

もちろん、そのように働きかけただけでうまくいく場合もあれば、いかない場合もあるのですが、いずれにしても自分の「生き方」を見つめ直すきっかけになります。私が現在「ライフワークコーチ」の中でしていることも、「生き方」を見つめ直すサポートなんです。

----------特にコロナが発生して以降、企業外の共通の価値観をもった “コミュニティー” に注目が集まっていると思います。それがこれからの「生き方」に凄く重要だと思うのですが、「はたママ」を立上げ、コミュニティーづくりの先駆者であるまっきーさんの視点でこの辺りはどうお考えですか?

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私がやっているのは「ビジョンコミュニティー」だと思っています。本来は企業でもビジョンがあって、それに共感した人が集まって仕事するのが一番だと思うのですが、それを企業外でやっているのが私のコミュニティーです。そして私が大事にしているのは、会社のネームバリュー、年齢などを抜きにして「みんな丸裸になっちゃえー」という感じです(笑)。

もう少し具体的に言うと、自分の「ありのままでいられる」を叶えるコミュニティーで、そんな中ではみんな無条件にそれぞれの夢を応援してくれるのです。そして応援してもらえる夢はだいたい叶うものだと思っています。
そんなコミュニティーをつくる為には、まず私が自分自身をさらけ出し、自己開示することを心がけています。そこから徐々に、相手も自己開示を始めてくれると考えています。

一緒のビジョンを持ったコミュニティーの中で、自己開示を行い、そしてありのまま自分の夢を語って、コミュニティーの中で夢を応援し合えば、その夢はきっと叶うと思います。そんなコミュニティーの中では自己表現がしやすく、自分の良いところや価値をお互いに伝え合うことで再認識する場になると思うのです。

あとがき by よし
女性、はたらくママ、駐妻などをキーワードに話を聞きましたが、まっきーさんの話は男性である私にもとても響く内容でした。

性別や仕事をしている、していないに関わらず、「自己表現の場」を持つ事や、「自分自身の価値」を認識する事は、人が生きていく上で重要であり、多くの人はそれを「仕事」の中に求めがちです。

ところが「自己表現の場」や「自分自身の価値」は「仕事外」でももちろん存在するのですが、そのことに気づいていない人が特にママや駐妻になり、一時的に仕事から離れた人の中で多いのだと思います。ただ、そんな不安は実は誰もが持ち得るような不安だと思います。事実男であり、現在働いている私でも持っているからです。

不安を素直にさらけ出す場や、現在の自分自身の価値や好きなことを再認識し、更にそれを応援してくれるコミュニティーがあればどんなに安心できるでしょうか?そんな場を皆さんお持ちでしょうか?まっきーさんはそんなコミュニティーを構築し、そこに属する人たちが新しい「生き方」にも向き合えるようにしているのだと思います。最高ですね!(^^♪

私の周りには、ママや駐妻になって一時的に仕事を中断した期間にMBAの学位を取得したり、これまでのキャリアをまとめて本を出版したり、SNSでアウトプットを行い有名なブロガーになったり、「新たな生き方」を見つけて「自己表現」や「自身の価値」を高めている人もいます。ママや駐妻期間も捉え方によっては「新たな生き方」を見つける絶好のチャンスと思います。

インタビューを通じ、私も大きな気づきを沢山得ました。これを読んで頂いた方にも少しでも何か気づきがあれば嬉しいです!

まっきーさん、ありがとうございました。

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