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駐在3ヵ国の赤字会社をすべて黒字化した男が語る、異文化コミュニケーションの難しさ。それは1+1=2にならないこと。

2018年に海外で活躍している方々にインタビューをさせて頂く機会を得ました。先日のGoogle Asia Pacificの山田理禾(あやか)さんに引き続き、今回は日系消費財メーカーで数々の海外経験のある住野温さんのインタビューを抜粋し、特に「異文化コミュニケーション」と「グローバル人材」について、住野さんの個人的見解を文章にまとめてみました。

こんな人達に読んで欲しい
・異文化コミュニケーションに興味がある、もしくは苦労している
・異文化コミュニケーション能力を向上させたいと思っている
・グローバル人材とは何か?そのために何をすべきかを考えている

----------現在住野さんのお勤めになっている日系消費財メーカーの海外展開状況について教えて下さい
 
1960年代から海外事業展開はスタートしているので、会社として海外展開は比較的早くスタートしています。海外ビジネスは好調に成長しており、特にここ数年は海外売上が毎年大きく伸びています。現在、東アジア、東南アジア、欧州、中東、南アフリカを中心にビジネスを展開しています。

1.異文化コミュニケーションの難しさ、それは1+1=2にならないこと


----------海外勤務経験を通じ、皆が良く口にする「異文化コミュニケーションとは一体なんだと思いますか?」そしてその能力がなぜ必要だと思いますか?

海外勤務経験を通じ、その国それぞれの国民性があるのは確かだと思います。背景としては、生まれも育ちも環境も、そして宗教も異なるというのが勿論あると思います。その中でまずは、「日本のような暗黙知や、察する文化は通じない」という事を前提として理解しておく必要があると思います。

海外でビジネスする上で重要なのは、全く異なる文化の中であっても、物事を正しく伝え、自分の思う方向(会社のゴール)へしっかり動いてもらうことです。

その為にはやはりコミュニケーションが最も重要で、それが上手くいかないと、1+1=2にならず、極論ゼロになる可能性もあります。但し、コミュニケーション次第では、1+1が3にも4にもなり得るのも事実であり、その「力の倍数」をどれだけ高められるかが、異文化コミュニケーション能力だと考えます。

2.戦略は細部に宿る。異文化コミュニケーション能力向上のために、すべきこととは何か?

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----------住野さんの中で、異文化コミュニケーション能力向上の為に、具体的に取組んでいることを教えて下さい

異文化コミュニケーションの能力とは、つまりは異文化環境下で「相手を納得させ、共感させる力」だと思っています。その上で重要なのは、コミュニケーションの手段を選ばず、「絵に描き、表にして、理解させる」など、目に見える形で伝え、確実な相互理解に努める事だと思います。

もう一つ重要視しているのが、竹中平蔵氏の言葉でもありますが、「戦略は細部に宿る」を実践することだと思います。異なる価値観を持つメンバーであっても、具体的に戦略がイメージ出来るレベルまでディテールを描ききる事が重要で、そのイメージが共有できてはじめて人が動き、結果が出て、信頼されるのだと思います。

3.グローバル人材とはズバリどのような人材を指すか?

----------住野さんにとって「グローバル人材」とはなんですか?

語学が重要だと言われますが、語学はあくまでツールの一つです。英語が流暢だから仕事が出来るというわけでは必ずしもありません。

簡潔に言うと、「色々な考えを持つ人たちの中で、自分の考えを正しく伝え、共感してもらい、同じ方向に向かって物事を進めることが出来る人」だと思います。

そして「自分の軸を持ち、目の前の小さな成功を積み重ね、現地からの信頼を勝ち得る事の出来る人」がグローバル人材と呼ばれるのだと思います。

住野温
99年に国際部に異動し海外業務をスタート。海外マーケティングで欧州担当の販促を実施後、アジア事業部として2005年からタイビジネスに従事。2006年タイ事業の再生計画を立案しそのままタイに駐在、自身の策定したビジネスの再生計画を作成・実行。2011年に日本に帰任し韓国子会社立上プロジェクトリーダーとして韓国立上げを企画実行。立上げ後、現地責任者に指名され、2012年より韓国で韓国社社長として駐在を開始し、実質ゼロからビジネスを立ち上げる。2017年からCEOとしてマレーシアに異動、駐在した3社にてすべて赤字会社から黒字化を実現。2019年2月に日本へ帰任。現在に至る。

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