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現役Google社員が語る、「日系企業」と「外資系企業」の違い。そこから見える「グローバル人材」の人物像

2018年に海外で活躍している方々にインタビューをさせて頂く機会を得ました。本日はその中から、NTTドコモという典型的な「日系企業」とGoogleという典型的な「外資系企業」の恐らく文化が正反対と思われる両企業での勤務経験を持つ山田理禾(以下、あやか)さんのインタビューの中から、特に「日系企業」と「外資系企業」の違いについて、あやかさんの個人的見解を文章にまとめてみました。

こんな人達に読んで欲しい
・「日系企業」と「外資系企業」の違いを知りたい
・グローバル人材とは何か?そのために何をすべきかを考えている
・将来の「自分ブランディング」を考えている

1.日系企業と外資系企業の違いは何か?


----------日系企業と外資系企業の違いとは何だと思いますか?違いがあるならば、強みと弱みはどこにあると思いますか?

日系企業の強みはルールに従い、同じ気持ち、同じ方向性、同じやり方を持って、チームの絆を深めながらゴールに進む事だと思います。但し、強みと弱みは表裏一体だと思っており、逆に言うと、チーム内で外れた意見などは言いにくい状況が見られます。

個人プレーではなく、皆で足並みを揃えていく企業習慣が一般的に多いと思います。また気質上、マニュアル化や綺麗にプロセスを作り上げるのは日系企業が得意としている事だと思いますが、それを行う為に仕事の大半の時間を割いており、結果的に残業が多くなるのだと思います。

人との調整も同様であり、「根回し」などは時として強みとなり得ますが、そのために意思決定のスピードは極端に遅くなり、スピードの速い業界(例:IT業界)などでは大きな弱みにもなると思います。

ですので、弱みはこれらの強みに足を引っ張られ、爆発的なイノベーションが起こしづらい事や、スピード感も出しづらい事だと思います。人事の面でも昇進含め、「みんな一緒」の習慣がまだまだ存在している為、優秀な社員を伸ばしづらいだけでなく、一人ひとりの個性を伸ばしづらい環境にあると思います。

一方で外資系企業の強みは、まずは結果を怖れずやってみるという企業家精神が根付いている事であり、トライアンドエラーで物事を作りこんで行く文化があることだと思います。

やりたい事は個人がなんらかの方向で進め、実現できる社内の仕組みが存在すると思い、それは社内のルールがガチガチに固まっておらず、自由度が高い事が背景にあると思います。

結果が求められるので、個人が会社にいながら事業主のような働き方をし、プロフェッショナルで優秀な人材が集まり易く、そこで相乗効果を生み易い環境にあると思います。

当然外資系企業にも弱みが存在し、日系企業と異なりマニュアル化が苦手で業務プロセスが時として雑なため、結果多々エラーが発生します。お客さんの対応一つを取ってもマニュアル化が苦手な事が影響し、詳しい情報をタイムリーに与えられない状態が発生します。

連帯感は日系企業に比べ薄く、結果を出そうと個人のアピール合戦になりがちなので、日系企業のようなチームの絆が生まれづらいのは実感としてありますが、だからこそ「リーダーシップ」が重要だと思います。

社内文化としては自由度が高すぎるところもあり、極端な話し、さぼろうと思えばさぼれる状況にあるため、徹底した自己管理能力が必要と思います。

*リクナビでも違いは解説されています(以下参考)

2.グローバル人材とはズバリどのような人材を指すか?

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----------日系企業と外資系企業の両側面を経験したあやかさんにとって「グローバル人材」とは何ですか?


そもそも今のグーグルには「グローバル人材」という言葉が社内にありません(笑)。もともとグーグルのビジョンや戦略は、グローバルに沿ったものに設定されており、それを実践出来る人を社内では「グーグラー」「グーグリネス」と呼ばれるのですが、あえて言うなら、それを忠実に実践出来る人は「グローバル人材」と言えるかもしれないです。

*グーグラー&グーグリネスの解説は以下参照

具体的に言うと、使う人の事を一番に考えることのできる「ユーザーファースト」である事。そしてオープンマインドで情報共有を積極的に行い、引っ張っていくだけの昔のリーダーシップスタイルではなく、バランス感覚を持ち、色々なメンバーの意見を聞きながら、限られた情報量の中でも正しく判断し、行動できる人などを指すと思います。

勿論それを遂行する為には、やり方の違い、行動の違いなど、言語レベルを超えたいわゆる「異文化」と言われる部分の理解力が必要です。「この人はこういう人だ」と決めつけることが、コミュニケーションの妨げになり得る為、個々の違いを受入れ、理解するマインドセットが必要だと思います。

コミュニケーションエラーは「拒否」から始まるため、自分の譲れない部分を守りながら、自分と合わない部分と折り合いをつけるスキルが必要だと思います。

3.個人が目指すべき、将来の姿とは?

----------あやかさんは、”Co-Active Coaching’”の資格を取得し、プロとして個別コーチングセッションも開始していますが、これは何か意図はあってのことですか?

私自身は今後会社の名前を使って活躍するのではなく、「自分ブランディング」を行う事が将来的に必要だと思っています。

現在、プロとしてコーチング業務も開始しましたが、それは「外に発信する能力」「人に対する影響力」を磨き、結果的に自分というブランドを高めて行く事を目指しています。会社のルールに沿って生きていくだけでなく、自分の信じている事を今後実践したいと考えています。

山田 理禾(あやか)
インドの Mahindra United World Collegeを経て大学ではイギリスの University College London に留学。卒業後、NTTドコモに入社。約7年間の勤務を経て、Google Japanに入社。4年間日本の法人で勤務した後、2015年10月より、シンガポールの Google Asia Pacific にて、グーグルのクラウドテクノロジーを企業に導入する際に起こる社員の働き方、企業文化、ビジネスプロセスなどへの変化に各企業がスムーズに対応し、本来の目標を達成できるよう人組織に関するコンサルティングに従事。また、個人の活動として、米国の世界最大の対面型コーチ養成機関である ’Coaches Training Institute(CTI)’ が提唱している’Co-Active Coaching’ の資格を取得し、プロとして個別コーチングセッションを提供している。


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