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【Vol.13 グローバル人材インタビュー】海外ビジネスの苦労を乗り越える原動力。それは自分の中で“ブレない芯”を持つこと

小林 良介(あだ名:コバ)
ミナミホールディングス海外事業担当。MINAMI(COMBODIA)CO.,LTD. 代表取締役
ベトナム駐在を経て、カンボジアに外資系としては世界初となる自動車学校を開校。現在は自動車学校の運営だけではなく、カーレンタル事業、カーハイヤー事業、日本語学校など多角化経営を実施。現在に至る。

自動車学校の「変革」を断行。その先に見えた「海外」という新しい挑戦のステージ

よし
早速ですが、コバさんは現在カンボジアで活躍されています。カンボジアに来ることになった経緯を教えて下さい。もともとコバさんに海外志向があって、学生時代にバックパッカーなどをされていたのでしょうか?

コバ
海外旅行は好きでしたが、当時海外で働こうとは全く考えていなかったですね(笑)。父が転勤族だったので、自分が子供の頃、小学校も4回くらい転校しました。その経験もあって、「自分は絶対に転勤の無い会社に入ろう」と決めていました。

自動車学校であれば、「転勤は絶対にない」と確信していたので、“南福岡自動車学校”に入社することに決めたのです。なので、海外志向があったかと言われると、答えとしては「全くなかった」と言えます(笑)。

よし
意外な答えですね(笑)。そこからどのように海外に繋がっていったのでしょうか?

コバ
自動車学校は良く言えば「法に守られている」という点があるのですが、悪く言えば「あまり変化がない」という点が入社後見えて来ました。これは自動車学校全体の特性といえます。平成2年から3年までは右肩上がりで教習生も増えていましたが、それ以降は少子化の問題もあり、教習生も右肩下がりで落ちて行きました。そんな状況だったので、「このままでは会社はつぶれてしまうだろう」と感じるようになったのです。

更に、今後は自動運転技術が発展すると「自動車学校っていらないよね」という状況になり兼ねないと思ったのです。そんな危機感が募る中で、会社の中でも「変革をしていこう」という話になりました。それが2012年頃でした。

変革を断行すると、私が管轄していた教官半数が変革に耐えられず、退職しましたした。変革の中で、自動車運転の教育方法も抜本的に見直しました。昔の教習所の教官ってちょっと上から目線で「おい、こら、お前」的なノリがあったと思うのですが、イメージとしては「近所のお兄さん、お姉さん」のように気軽に相談できる教官像を目指し、かつ運転だけではなく、例えば教習生の就職の相談に乗ったり、時には恋愛に関する相談にも乗ったり、そんな親近感を得られるように“教官自身の変革”も行いました。

社内の組織変革を終えたところで、今度はエリアについても検討するようになり、その中で勢いのある「東南アジア」に目を向けるようになったのです。

よし
それが、「カンボジア」に繋がっっていったのでしょうか?

コバ
いえ、最初はちょっとした縁もあり、ベトナムのある会社に出資することを決めました。ベトナムには既に自動車学校は存在していたので、そこに「日本の安全運転の技術を導入する」という目的でビジネスをスタートさせる事になったのです。

よし
そこにコバさんがベトナム駐在員として選ばれたということでしょうか?

コバ
はい。国内でやることもなくなっていたので選ばれたのでしょうね(笑)。ベトナムに駐在してからは、ベトナムの自動車学校の現状分析を行い、我々が描く将来の姿とのギャップがどの程度あり、それをどのように埋めて行くかの戦略立案を行っていました。

よし
私も過去ベトナムに2年駐在経験があり、うまくいかないことばかりでした。コバさんのケースはうまくいったのでしょうか?

コバ
うまくいかなかったですね(笑)。ベトナムではジョイントベンチャー(JV)の一員として働いていましたが、現地側の代表とも戦略面で折り合わなかった部分もありますし、仮に業務がうまく回った場合も、我々サイドが得をするのではないかという懸念を抱かれていました。

そんなこともあり、もっと我々の会社だけで自由にやりたいことをやれる場所を再検討することにしました。東南アジアを色々調べた結果、カンボジアでは自動車学校を開校するのに外資規制がない(*当時)という事が分かりました。もう一点、カンボジアは“ドル経済”なので、ドルでビジネスが出来ることも大きな利点だと感じました。

更に付け加えると、僕はカンボジアを新婚旅行で訪れる程好きな場所だったので、最後は「好きな場所だしいいか」という軽いノリも入ってカンボジアに進出することを決めました(笑)。

世界初。外資系として自動車学校を開校。自動車学校から派生する新たなビジネスモデルでカンボジア社会に貢献する

YouTube: カンボジア進出と多角化経営について(抜粋)

あやの
カンボジアで多くのビジネスを手掛けていますが、現地のローカル社員へは自動車学校から派生するこれらのビジネスに対して、その意図や目的を事細かく説明しているのでしょうか?

コバ
「感性あふれる”ひと”を創る」というのが我々の会社理念なのです。そういう意味で、従業員や顧客など、我々に関係する人が我々のビジネスを通じて「幸せ」になることが重要なのです。

自動車学校の運営も、そこから派生する教育や車のリースなどのビジネスも、カンボジアの人達の雇用機会を創出し、まずはお金を稼げる仕組みをつくることによって幸せになって欲しいというのが狙いなのです。

従業員にはビジネスの具体的説明よりも、まずはこのような会社の理念を説明し、それに共感してもらうように努めています。採用の時にも特にこの話をさせて頂いています。

「何をしている会社ですか?」と聞かれた際には、「お客さんを幸せにする会社です」と答えています。お客さんを幸せにできるビジネスであれば、極端な話“レストラン”でも良いのです(笑)。ダメであればやめれば良いだけです。

よし
そのような理念を持ちながらビジネスも多角化している訳ですが、カンボジアの方々と一緒に仕事をする中で、一番の苦労は何でしょうか?

コバ
苦労は数えきれないくらいありますね(笑)。ですが、一番の苦労はやはり“コミュニケーション”だと思っています。カンボジアの方々は日本と比べると、学校の教育水準が低いので、難しい事を言ってもなかなか伝わらないのです。

多角化の件に関しても、我々の理念に対する理解はしても、自分たちの頭で考えて、新しい何かを提案するという事も殆どないのです。

ある程度の道筋はこちらで立てた上で、それも彼らがわかるレベルまで粒感を小さくして説明し、理解してもらうということが大切だと思っています。
とは言え、我々のやりたい事をしっかり理解してもらい、簡単なことばかりやらせるだけでは従業員が自分の成長を実感できません。成長を実感してもらう為にも、時には難しい課題を与え、それを自分で考えてもらい、少しづつでも良いので成長してもらうように促すようにしています。

私達はカンボジアでビジネスをやっているので、ビジネス的に考えると従業員に“できることだけやってもらう”というのもありです。彼らの成長など考えなければ随分楽だと思うのです。だけど、教育も現在我々のビジネスの柱になっているので、そんな私たちが彼らの教育に目を背けてはダメだと思っています。我々が従業員を教育し、従業員が教育を受ける事によって成長し、成長しながら自分たちの力でビジネスを回す事が出来れば、それは従業員の幸せにも繋がり、結果我々の会社理念とも繋がって行くと思うのです。そんな会社を目指したいです。

出所:WANTEDLY

海外で成功するために大事にしていること。それは自分の中でブレない「芯」を持っておくこと

よし
これまでベトナムやカンボジアの仕事についてお話しを聞いて来たのですが、海外で働くことの苦労があった半面、「魅力」も存在したと思います。コバさんにとって、海外で働くことの魅力とは何でしょうか?

コバ
ベトナムとカンボジアに限った話ですが、良い意味で規制が日本よりも緩いので、「何でもできる」、そしてそれが「日本よりも安い費用でできる」というのが魅力ではないでしょうか。一言で言うと、「チャレンジしやすい」という事です。

「チャレンジしてみて、ダメだったらやめればいいじゃん」という感じでビジネスがスタートできるのが、海外の一番の魅力だと思います。

よし
コバさんの今の楽しそうな顔がそれを一番表してますね(笑)。

あやの
もう1点、海外で働く上で、「これだけは譲れない、もしくは自分の中で大事にしていること」はありますか?

コバ
自分の中で“芯”を持っておくことだと思います。私の場合、先ほども話したように、“ビジネスを通じて「幸せ」になる”というのが、私の中で一本筋の通った考え方なので、これがブレてしまうようなビジネスや仕事のやり方は行いません。人によってその“芯”は違って良いと思うのですが、「これをやるんだ!」という強い想いがないと、海外で直面する苦労に途中でつぶれてしまうと思うのです。

よし
現在コロナ禍の影響もあり、多くの産業で変化が起こり始めていますが、コバさんの業界もしくはビジネスは今後どのように変化するとお考えでしょうか?

コバ
今私が置かれている立場で申し上げると、日本では今後自動運転の方向に進んで行くと思います。自動車学校の教官になろう思う人もどんどん少なくなり、いずれはいなくなってしまう可能性があります。

更にコロナという観点では、自動車学校は生徒と教官が車の中で「密」な状態で接します。座学も人が多く集まって行う訳ですからリスクは非常に高いのです。

そんな背景もあり、現在日本側で「AI教習所」というものを設立しようと検討しています。座学の講習をオンラインで行ったり、自動車教習もAIで行うなどです。具体的な内容は近日中にプレスリリースもありますので、今は概要だけお伝えしておきます。

規制の問題もあり、日本で出来ることは限られるケースもありますし、カンボジアや他の国でしか出来ないことなど課題はあります。しかし規制が緩い地域では逆に知恵さえ出せば勝ち組になれるケースがある訳です。

今はコロナの影響でなかなか日本から海外に出るという事は難しいと思うのですが、いずれ新薬などが開発され、海外に出られる日が戻って来ると思うのです。だからこそ、その時に備え今のうちにチャンスはどこに潜んでいるかを見極め、その準備をしておくことが必要だと思います。

よし
最後に、今後海外に挑戦したいと考えている人に対して、メッセージをお願いします。

コバ
これからは益々「国」という概念がなくなっていくと思っています。つまり、「アジア」がまるで一つの国であるように捉えなければならないと思います。そうなった時に「日本」だけを考えていては通用しなくなると思います。だからこそ、チャンスがあればどんどん外に出て行くべきと思っています。

僕は海外に挑戦している新卒の若手なども見て来ましたが、海外では必然的にやる事も増えて、守備範囲が圧倒的に広くなるため、「成長スピード」が日本にいる時と全く異なると感じています。そう言う意味でも、若い人には特にチャンスがあれば海外に挑戦して欲しいと思っています。

2020年8月20日インタビュー@Zoom


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