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MOA美術館のMOAはなんの略か?

わたしは勝手に、
Modern of Art
みたいな感じかな、と思っていた。

正しくは、
Mokichi Okada Association
である。
Mokichi Okada = 岡田茂吉 というのはこのMOA美術館の創立者・岡田茂吉のことだ。

先日、熱海旅行へ出掛けた際、MOA美術館に行ってみた。

開館は昭和57年だが、平成29年に改修工事がなされているそうで、その改修工事でロビーエリア、展示スペースの設計を手掛けたのは「新素材研究所」だともらったパンフレットに記載があった。

新素材とか研究所という単語に興味が湧いて調べてみると、同研究所というのは、現代美術作家の杉本博司と、建築家の榊田倫之によって2008年に設立された建築設計事務所とのことだった。

MOA美術館に入ればわかるのだが、展示作品の多くは日本や中国の歴史的な作品が中心であるため、設計を担当した事務所の「新素材」という単語との相性が悪そうな感じがして疑問が湧く。

そこで新素材研究所のホームページを探してみると次のような説明があった。

その名称に反して、古代や中世、近世に用いられた素材や技法を研究し、それらの現代における再解釈と再興に取り組んでいます。
近代化の中で忘れ去られようとしている技術を伝承し、さらにその技術に磨きをかける。
全てが規格化され表層的になってしまった現代の建築資材に異を唱え、扱いが難しく、高度な職人技術を必要とする伝統的素材にこだわる。
杉本博司と榊田倫之は、時代の潮流を避けながら、旧素材を扱った建築をつくることこそが、いま最も新しい試みであると確信し、設計に取り組んでいます。
(http://www.shinsozai.com/sp/index.html#)

なるほど、素材や技法を古典から学び、伝統的な素材を活用しながら現代的な空間を表現する、というコンセプトがあっての「新素材研究所」だったのか。

MOA美術館における展示品は古典的なものが中心だけど、建物自体は現代的

今回訪れてみた率直な感想としては、古典的なものが現代的な空間に配置されているというのは全然ミスマッチではなくて、むしろ古典的なものがもつ魅力を引き出すように感じた。
まぁ、新素材研究所の狙いどおり(?)の感覚になったわけだ。

ただ、この感覚になったのにはもうひとつポイントがあると思う。
それは動線の工夫。

受付でチケットを購入したあとはひたすら長い長いエスカレーターで上に昇っていくのだが、その先にまず待ち受けているのは天井に様々な色を映した円形ホール。エスカレーターの時点で未知の世界に連れていかれるような雰囲気があるうえに、円形ホールでは万華鏡をマッピングしてあるのだから、古典的なものとはかけ離れている、というかむしろめちゃくちゃにモダン。

その先、一度外に出るとムア スクエアと呼ばれる場所がある。名前の由来は広場の真ん中にある彫刻「王と王妃」の作者、イギリスの彫刻家ヘンリー・ムアなのだろう。
南側を観れば相模灘を眺めることができる。メインエントランスへと続く階段は幅が広く、ひとびとは広場や階段で景色を楽しむことができる。

ムア スクエアからメインエントランスへ向かって階段登っていくとようやく入口があり、美術館へと入ることができる。

ここまでの印象で、展示品を観ると、先程まで感じていた空間と目の前の作品の属する世界が違っていて、そのコントラストが作品へと集中を誘っているような気がした。

結局、なぜMOAという名前にしたのか?

岡田茂吉美術館とか岡田美術館とかそんな感じの和名でも全然違和感はないのに、なぜMOAというカッコイイお洒落な名前にしたのだろう?

調べてみてもその答えは見つからなかったが、MOA美術館の改修に携わった「新素材研究所」のコンセプトである「伝統的な素材」で「現代的なデザイン」を創出するというあたりにヒントがありそうだ。

MOAの勘違いからスタートする謎な記事になってしまった。

展示品の感想などはまた別の機会にまとめようと思う。

*MOA美術館 基本情報
所在地:静岡県熱海市桃山町26-2
開館時間:9:30〜16:30(最終入館16:00)
休館日:木曜日(祝休日の場合は開館)、展示替え日
ホームページ:http://www.moaart.or.jp


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